鈴木大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自称B級ライターの鈴木氏と中村氏が、セックスワーカーへの取材で気づいた貧困についての対談。
熱く語る鈴木氏と、合理的に客観的に(時にはものすごく堅気に)突っ込みを入れる中村氏。このコンビの対談だからこその面白さ。同じ貧困に出会っている2人だが、それぞれの向かう方向や思想も異なる。
なんとなく、今までも社会保障は「本当に手を差し伸べるべき人に届いていない」感じがしたのだけれども、ほんとに届いていないようだ。
そうして取締りに関しても、弱者の逃げ道をふさぐ方向になっている。
かといって、取り締まりを行わない場合、それはそれで困る人が居たのだろうと思おう。平等に幸せになるな
んてことは起こりえない。
世の中にはたくさんの気づかないことがある。
上から目線で見ると、気づかないことがたくさんあること。
「貧」と「困」を分けて考えること。
QOLを重視すること。
いや、こうして本を読まない層がいるってことに、そもそも気づかないといけない。
各個人が、「自分が幸せになってもいい」「つらさを感じる」ことから始まるのか。 -
Posted by ブクログ
振り込め詐欺の被害額は年間約500億円。被害者の8割が60歳以上の高齢者。
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取材の中でとにかく痛感したのは「詐欺に遭う側が愚かだ」とあう言説がいかに愚かかだ。そうではない。騙す側が、圧倒的に洗練されているのである。
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詐欺は、最悪の犯罪ではないって言葉が印象的。
貯金ゼロの人間を騙して無価値なものを200万円全額ローンで売るのと、貯金2千万円の人間を騙して200万円を奪う。犯罪は後者だけど、なんとなく前者の方が悪い気がする。
詐欺組織はすごく組織化されてて、株式会社のよう。捕まるのはほんとにとかげの尻尾だけ。その人は上の人をそもそも知らないから、上の人は捕まりようがない。
人材と才能の消費、浪費。つまりは、もったいない。詐欺組織の人はすごい才能がある。モチベーションもめちゃ高い。組織の幹部も、マネジメントスキル高い。そんな人達を雇用出来てない社会は、損失してる。
詐欺プレーヤーにするための洗脳がすごい。自分も洗脳されそう。
あと名簿屋。高級ゴルフ会員の名簿とか。 -
Posted by ブクログ
老人喰いというのは、振り込め詐欺に代表される高齢者をターゲットとした詐欺のこと。
本書は、騙される側ではく騙す側の事情を取材したルポ。
驚いたのは、詐欺をしている若者たちの素性である。
彼らは不良とばかり思っていたが、実は大卒の普通の若者もいる。
そんな彼らが何故詐欺に手を染めるのだろうか。
一つには現場の洗脳がある。
いかにも詐欺は大した犯罪ではないかのように言いくるめられる。
お金を持っている人から搾取することと、貧乏人から搾取することどちらが悪いかとか、富の再分配とか、「貯金ゼロの人間を騙して200万円のローンを組ませるやつがいる。テレビを見てみろ、効くかどうかも分からねえ怪しげな健康食品がすげー値段で売られてる」(p136)これらの詐欺まがいの商品を引き合いに出して、彼らの理論をぶちまける。
そうすることにより、若者たちの罪悪感は薄れていく。
そのやり方や、組織の構成、詐欺のテクニック、どれもすごくよく考えられており、これでは高齢者が騙されるのも頷ける。
そしてそれ以上に、若者のお金に対する執着、お金を得ようとする執念、お金を持っている高齢者に対する反発がなければ、このような甚大な被害を及ぼすまでにはなっていなかったかもしれない。
今の高齢者は努力すれば報われる時代を経てきたが、若者たちは努力しても報われることもないという絶望的な現実を実感しているのだろう。
真っ当な道では、今の生活を抜け出し、余裕のある生活を営むことは出来ないと考えている。
本書に登場する詐欺グループの話を知り、愕然とした。
昨今言われている貧困は、実は私自身が思っているよりもかなり進行しているのかもしれない。
その貧困の様に驚いた。
夢も希望も持てなくなるほどの生活苦に、努力しても切り開けない未来。
それらは、大人や国がしっかりとケアしてこなかった代償でもある。
日本は、人材が唯一の資源といわれているのに、人材を育てる努力を怠っているとしか思えない。
だが、どんな理由があれ、詐欺は立派な犯罪であり、他人のお金を搾取することはしてはならない。
著者は裏社会の少年少女をテーマとした著書が多く、若者寄りの目線で、詐欺を働く彼らを若干擁護しているように感じたことと、ノンフィクションとはいえ脚色されたと感じられる部分があり、その辺が気になった。
とはいえ、「老人喰い」とは単なる詐欺ではなく、もっと根深い問題が潜んでいることを知ることができ、今までと別の角度から見ることができた。 -
Posted by ブクログ
同じく鈴木大介氏が著者で、幻冬舎新書から出版された「最貧困女子」の姉妹版ともいえるのが本書。
本書の方がよりきめ細かく、様々な立場の人を取材対象としており、読み応えがある。
タイトル通り、売春を続けるシングルマザーだけでなく、風俗業者のスカウトマン、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」代表の明石千衣子氏に取材をしており、生を声を聞くことができる。
女で一つで子供を育てることが尊ばれるこの国において、彼女らのように、福祉を拒絶し、自らの精神を病み、売春を続けてまで子育てを行う姿はどう考えても健全ではない。
しかし、子供への差別を極度に恐れるがあまり、彼女らは出口の見えない生活を延々と続けるのだ。
貧困問題を語る上で必ず出てくる自己責任論。これは本書を読めば、本当に有害無意味であることが分かる。彼女らは、もう十分に頑張り過ぎているのだから。しかも、頑張り方が間違っている。いや、間違っているというより、他に選択肢がなかったのだ。
この救いようのない現実を目の当たりにしても、やはり著者の言う通り、本当に貧困に苦しんでいるのなら、躊躇なく福祉が手を差し伸べるべきであるし、福祉の世話になったとしても、それによって差別や不利益を被ることがあってはならないと強く願う。
余談だが、出会い系にアクセスしてくる男性のクズぶりも印象に残った。 -
Posted by ブクログ
路上生活に飛び出す少女らの多くは、地元の児童相談所や響察といった制度側とは根本的に相性が悪く、その理由は彼らの支援の根本理念が「親がいるなら親元に戻す」「親子関係が破綻しているならその解決に助力する」に終始していることに他ならない。そこに「少女自身による独立」という選択肢がないのだが、それこそが彼女らの求めるものなのだ。親権者と対峙してでも、少女自身による自立と再生をサポートすること。それが支援者にできる何よりのことではないだろうか。
また、多くの家出売春少女を取材した中で感じたのは、彼女らが常に「自由とリスク」を天秤にかけているということだった。劣悪な環境の親元を飛び出して売春ワークに入り、日々の売春は苦痛だし危険だが、元の環境に戻るよりは自由がある。どこまで苦痛に我慢できるのか、彼女らはそんな限界チャレンジを続けながら、次第に消耗していき、抜け出せない貧困の中に固定されていくように見えたのだ。そんな彼女らにとって、「自由を奪う支援」はやはり、肌触りが悪い。民間の支援者がやれることは、あくまで「彼女らが利用したくなる支援」なのだと思う。
一方、管察や補導員によって彼女らが捕捉された場合について。昨今聞かれる「売る側の少女にも罰則を」といった言説はあまりに無理解で無意味のため論ずる価値もないと思うが、願わくば「補導はチャンス」と言えるようになってほしい。地元児童福祉も何もかも振り払って逃げてきた少女らにとって、補導は最悪の事態であったとしても、制度との再接近に他ならないからだ。前述したように現状は「地元児童相談所に連絡→親権者・保護者のもとに戻す」が大前提であり、補導が重なったり他に窃盗や傷害など余罪があったり、他の少女に対する使役関係があれば、児童自立支援施設や家庭裁判所への送致もある。これでは一層彼女らは社会から遠いところに追いやられ、孤立し、その痛みや貧困は不可視化してしまう。
確かに彼女らは手に負えない非行少女なのかもしれないが、本質的には被害者なのだ。
徐々にでもこんな四角四面の方針が改善されていかなければ、いくらなんでも少女らが救われないではないか。
世の中で、最も残酷なこととはなんだろうか?
それは、大きな痛みや苦しみを抱えた人間に対して、誰も振り返らず誰も助けないことだと思う。そんな残酷は誰もが見たくはない。道端で倒れて七転八倒している女性がいれば、多くの人が手を差し伸べるだろう。
だが、その女性が脂汗を拭きながらも平然を装っていたら?声をかけても「大丈夫ですから」と遮ってきたら?睨み返してきたら?その女性との間に一枚の壁があったら?人々は通り過ぎるだろう。さらにその女性が何か意味不明なことを喚き散らしでもしていれば、人は目を背けて足早に歩き去るかもしれない。
助けてくださいと言える人と言えない人、助けたくなるような見た目の人とそうでない人、抱えている痛みは同じでも、後者の痛みは放置される。これが、最大の残酷だと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレそう言う人もいるのだなと、知見が得られました。
確かに今の社会は学校教育に順応できたタイプの人間が作ったから、順応できないタイプの人間は置いてけぼりだ。
そう言う人が全て発達障害とかのジャンルに入るってわけじゃないよね。名前のない病気というか、症状というか、特性というか。とにかくそう言う人も居るって事。
学生時代の友達が先生から「点数が足りないから、未提出のレポート出せば特別に単位出してやるぞ」って言われてた。でもレポート出さなくて、単位もらえなくて、卒業できなくて、国立大学合格を棒に振ってた。全く理解できなかったけど、この本に書かれてる人達と同じ感じなのかな?と少しわかった気がする。