あらすじ
41歳で脳梗塞を発症。リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった! 小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。当事者、家族、医療関係者、必読の書。
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Posted by ブクログ
脳梗塞を発症し、高次脳機能障害が残った著者から見たとき、どんなことが起きていたかが述べられている一冊。
ご自身の身に起きた変化を、感じた違和感を、ここまで観察し、文字に残すことができるのか!と、驚きとともに読みました。
何が苦手で、どんな配慮や工夫があれば、パニックに陥ることなく過ごせるのか。
妻のサポートが合理的でさっぱりしていていいな、と思いながら読みみました
伴走者の基本姿勢は肯定。
浩二脳機能領外どうして苦しいのか、自分でもわからない。苦しいということすら、人に伝えられなくなる。
「そばにいてくれるだけ」でできることが増えていくという。それもまた今まで気づくことのできなかった観点だったので、はたと膝を打ちました。
支援者として、そしていつか支援を受ける側に立つものとして、多くの学びが得られる一冊でした。
Posted by ブクログ
前作から文章を読む限り著者はすっかり回復してジャーナリストに復帰したのかと思っていたら、取材記者は引退して漫画の原作や記事の執筆など書く方に専念しているのだと知る。免許センターに電話して簡単な質問をするだけのシーン、地味に書かれているが感動。電話が終わって妻のところに行き「電話もして会話ができたよ〜、こうやっていろいろなことができるようになるのかなー?」と泣きながら報告する。妻は素晴らしい理解者。自身も発達障害で若い頃は家出したりしていたが、著者の病気に動じることなく、言葉を発せずミャーミャー言うしかないパニック状態の夫を楽しそうに面倒見る。
企業でも分業をすれば、脳コワさんでも働ける、はなかなか説得力がある。飛び込み営業ができる人がルート営業までして時間を使う必要はない、から始まり機能的に分業して脳コワさんが活躍する社会は強い社会なのではないか。
Posted by ブクログ
ここまで詳細に経過と症状をご自身の内省を踏まえて書いたものは珍しいのでは無いか。
医療者側と患者側の「障害」の捉え方に大きな差を感じる。
患者側が感じている「生き辛さ=障害」を非常にわかりやすく言語化されているのが、とても勉強になる。
私自身、高次脳機能障害に深く関連する医療者なのだが、学校で教えられるのは「〇〇障害」=「〜が出来なくなる」「〇〇の検査で何点以下」というような内容である。その為、この著者が書いているような、実際の生活上の困難さに対して落とし込む事が出来ていない者たちが多くいる。(私も含めて)。
この本は、高次脳機能障害がいかに生活に困難さを与えるのか、そして私たち医療者の仕事は、その生活に困難さを覚えている人達と共に生きる事であるという事を教えてくれる。
Posted by ブクログ
(発達障害より)高次脳機能障害のほうが職場の理解と配慮、環境調整は得やすいかもしれないなと思ったり。身体障害より精神障害のほうが社会の理解は得られないという話はよく聞くが、詳細な記述を通じて自分もまた理解が足りなかったなと思うし、高次脳機能障害の声を通じて精神障害の理解が進む展開もあり得るのではと感じた。
Posted by ブクログ
脳コワさん(脳機能に不自由を抱えた人々)の筆者が、脳機能障害について自己観察と検証、考察を繰り返しながら、回復していく。重苦しいテーマだが、脳コワさんの先輩である奥さまのおかげで、筆者も本作自体も救われる内容なのが良かった。
Posted by ブクログ
脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害にかかり、そこから回復できた筆者が、障害の時の気分や体調を言語化した貴重な本(筆者談)。感情や言動がうまく表現できなかったり歯止めが利かなくなる時の状況が分かりやすく伝わる。
本人は苦しみ、もがいていても医者や周囲の人の理解が得られずに孤独を感じてしまう様子も、明るい調子ながら克明に文章化されている。
筆者の妻が発達障害を持っており、以前はその妻を支える立場だったのが、逆に支えてもらう立場になった。その筆者が最後の方で語る、「高次脳機能障害者を扱えない組織・上司はダメだ」という言葉に説得力がある。
本書は脳機能の障害を持った人への理解を深めると共に、昨今言われている多様性、「自分と異なる考えの人との関わり」の在り方考えさせられる。
Posted by ブクログ
★体験記を書けた病状と能力が両立★脳梗塞からのその後の回復記。「脳コワさん」という表現で困った日々を少しでも深刻に感じさせない妻の工夫が光る。妻が発達障害だから分かる部分があるというのが興味深い。前著に比べると、純粋な回復記に近づいている。できることとできないこと、それを周りに理解してもらうことの大切さと難しさがよく分かる。
Posted by ブクログ
脳梗塞による高次脳機能障害の当事者による、回復(筆者曰く95%までの回復)までの貴重な体験記。置かれた状況は深刻なのだが、一つ一つの症状に対する奥様の絶妙なネーミングに、ちょっと笑ってしまう。
具体的に事例が書かれているので、「そうか、当事者の心のうちはこんな状態なのか」と思うことしきり。
『その人が苦しいって言ってたら、苦しいんです!』という最期の一言を忘れないようにしよう。
Posted by ブクログ
高次脳機能障害から回復した著者の貴重なルポ。これほど詳細かつ具体的なルポは他にないのでは?脳梗塞だけでなく、他の脳障害とも共通する症状も多く、非常に勉強になる。
全国の高次脳機能障害者数は約50万人といわれているが、著者が指摘するように当事者研究が一向に進んでおらず、医者がトンチンカンな回答しかできない現状では、かなりの不満が渦巻いているのではないかと危惧する。
Posted by ブクログ
『脳が壊れた』の続編。頭が働いていないように側から見えても、当事者はいっぱいいっぱいでフリーズしてる、というのは、わかっていてもなかなか上手く対応してあげられなさそう…、ってか、相手が自分が思っても見ない困り方をしてる場合がある、ということにまず気づくことからなのかも。
Posted by ブクログ
ギャングース鈴木さんの続編。脳梗塞の後遺症からの回復記。実体験に対してこういう感想もあれだけど、本当にこの人しかないという人を選んで発症したようなお話。
Posted by ブクログ
前作「脳が壊れた」の続編で、高次脳機能障害になり自らに当てはまった症状の紹介(妻による症状それぞれに対する命名が面白い)や、妻との出会いのエピソードなど、全体的に補足な話。
医師ではなくリハビリ担当者(言語聴覚士など)にお金を払いたい!と言うほど親身に世話になったことがよくわかるのだが、私自身はリハビリにかかったことがないのでよく分からない点が多く、もっと世の中にピックアップされて欲しい仕事だと感じた。
また、妻との出会いエピソードもこれまた独特で、それはそれで1冊書けそうだなと思った。
(タイトル的にそれっぽいものが出版されているが未読)
Posted by ブクログ
自身も記す通り、かなりの部分で回復した後に書かれた本書だけに、前作よりもまとまった内容。前作のエッセンスも盛り込まれているから、時間が無ければ本書だけでも可。そもそも言語化能力に長けた人の手になる、なかなか理解されづらい領域の内容だけに、資料的価値も高い。
Posted by ブクログ
「脳が壊れた」の続編。脳梗塞から時間が経って、その間、相当つらいことも多かったようだが、身体機能だけでなく、高次脳機能も回復してきたようで、相当程度回復したところで、回復途上の苦しさや問題点を回顧しつつ、発達障害などによる貧困者という著者がライフワークとしている要支援者との類似性、そして、支援の枠組みの類似性について考察・主張している。
著者が声を大にして言いたいことの一つが、医療者が当事者の愁訴をきちんと受け止めていないのではないかということ。たしかに、経験者としての切実な響きがあり、また、経験していない健常者には分かりにくいことなのだろう。
家族や職場に、「脳コワさん」がいる人が読むと、本人も周囲も少しハッピーになれそうな気がする。
Posted by ブクログ
41歳で脳梗塞を発症。リハビリを重ね、日常生活に復帰した「僕」を待っていたのは「高次脳機能障害」の世界だった!小銭が数えられない、「おっぱい」から視線が外せない、人混みを歩けない、会話が出来ない、イライラから抜け出せないの「出来ないこと」だらけに加えて、夜泣き、号泣の日々。『脳が壊れた』から2年、著者はいかにして飛躍的な回復を遂げたのか。当事者、家族、医療関係者、必読の書。(袖)
言葉はわざと軽くしているように感じましたが、内容は重いです。
述べられている要望に応えられるかというと、現状、自身、難しい。
ただ、せめても心に余裕をもち、向き合いたいと思いました。