鈴木大介のレビュー一覧
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健常者だった方が事故で後天的に高次脳機能障害になりどのように生活が変わったのか、何が不自由で何が出来なくなったのかまたどのようの支援が必要か等当事者目線で分かりやすく書いてありました。
傾眠や感情のコントロールなどの症状、特に右凝視(左空間無視)の症状のことを知らなかったので勉強になりました。
荷物を持つ、本を読むために本を持つだけでも脳が指示して機能するためなのか集中力が低下したり疲弊してしまったりとあり驚きました。
もともと高次脳機能障害についての知識はほとんどなく高次脳機能障害の症状や困り事が自閉症に近いと聞いてその参考にと思って読み始めたのですが
ゼロ知識でしたが少し理解が進んだ気 -
Posted by ブクログ
筆者が、亡くなった父親との関係の分断について考察。キッカケは生前の父親が会話の中でネット右翼しか使わないであろう差別的なNGワードを使っていたこと。さらに死後、部屋にあったそれ系の書籍や、パソコンの中にあったそれ系の閲覧履歴を見つけ、分断は深まる。結果は、父親の行動はそれほど偏ったものではなかった。無自覚的に言葉を使ったりコンテンツを閲覧したりしていたものと判断。逆に筆者側は先入観や嫌悪感からくる認知バイアスがかかっていたと判断。ここでは親と子の分断について書かれているが、社会の分断も、かなりの部分、これと同じメカニズムなのだと思う。
私の中で曖昧な定義しかできていない思想に関する用語が、ど -
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ネット右翼になった父というのは、筆者の認知バイアスで、筆者自身がリベラルだったこともあつて生前の父の片言節句に衝撃を受け、子供の頃からの疎遠な関係もあって心を閉ざし、コミュニケーションが取れないまま父は逝ってしまった。
当初はネット右翼に取り込まれ、エコチェンバーの中で過激化したと思っていたが、母・姉・姪・叔父といった家族や父の親友の協力を得て解析した結果、等身大の父を見い出し、世代の問題で自分と相容れない部分もある一方、共通点も多くあることが2年の検証を通じて分かった。可能なら共通点を中心に距離を縮め、生前に分断を回避すべきだったし、そういう人がいればそうすべきという論旨。
世代間の認知 -
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ネタバレ「されど愛しきお妻様」他最近著作を続けて読む機会があり興味を持ち手に取り。
様々な困難のために社会の中で生き難い人たちを取材し本にしてきた著者が、まさに当事者となって体験したことで新たに得た視点が出色。
「そういうことだったのか」を苦心して言語化して何とか周囲に、読者に理解してもらおうとする姿勢に頭が下がります。
はっとさせられることばも散見されました。
「病名をつけなければ身動きがとれない。ゆえに最も見過ごされがちなボーダーラインの障害者には一層支援の手が届きそうにない(趣旨の要約です)」
「大きすぎる感情は言語化できない」「頼れる相手や頼るべき相手と頼りたい相手とは別物」
「一番身近な人 -
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ネタバレ愛ある一冊ですねぇ。
著者の本は「最貧困女子」を読みましたがなかなか壮絶なルポでした。その後「脳が壊れた」というのを何かの記事で見ましたがその本は読んでいません。で、この本。
大変稀有な人生、のように思えるしお妻様との出会いはお互いにとってこれぞ運命、というしかない邂逅だったと言えるように思います。
あえて露悪的な表現ぶりで書かれているように思いますがそのように書くことで夫婦の関係性や空気感を伝えたり、あるいは状態や状況の重さや深刻さを和らげたりする意図があるのかなと感じます。(違うかもだけど、「最貧困女子」は読んだのが物凄く以前なのであまり覚えてないけれど、確かこのような文体ではなかったは -
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ネタバレ新書大賞に名前が挙がっていたので手に取ってみた
タイトルからネット右翼を分析・批判した本なのかなと思っていたが、読んでみると全く違った。
年老いて、ファビョるやパヨクといったネット右翼的言動が増えた父に対して生理的嫌悪感を抱き、心を閉ざしてしまった著者。
父の死後、父と改めて向きあう中でネット右翼から家族の在り方まで問い直すハートフル?な一冊だった。
ネット右翼に関する本は読んだことがなかったので、初めて知る内容も多くおもしろかった。各世代で見てきた時代が違い、それによって感じ方や考え方が変わる。言われてみれば当然のことなのだが、なるほどと思わされた。
一方で、父はネット右翼でないことを願う -
Posted by ブクログ
これは完全にタイトル惚れ。2014年刊行で多少情報が古い可能性はあるが、その当時としても驚くべき現状をルポしており、正直たまげた。手に取った物は第9刷となっており、かなり注目を集めた内容であると思われる。
まさにタイトル通り、貧困層にいる少女たちにインタビューを行っている。想像の斜め上を行く、現実が描き出されている。その現状と過去を洗いだし、背景を分析して問題点を抽出し体系化することで、援助交際という一言で括られていたステレオタイプを打ち破り、経済軸と生存軸から彼女らを細分化することで、どのようにして社会が彼女らを守っていくことができるか?社会制度として救う事ができないかまで提案している。
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7〜8年前くらいの本だけど今はもっと貧困は拡大していると思う。出会い系アプリでは生活に困っているシングルマザーが自ら売春を働いていたり、Twitterでは「今晩泊めてください」のような呟きもたまに見る。なぜ家出少女や路上生活者は売春や風俗に従事する傾向があるのか。それは彼女たちはお金も住む場所も健康保険証すら持っていない中で補導に怯えながら路上を彷徨っている。そこで風俗のスカウトなどの支援者が宿を提供し、身分証や携帯電話を貸与する代わりに、風俗店で働かせる。外見が良くなかったり、障害を持っている女性はお店では働けず、違法の売春で日銭を稼いでいる。
筆者が取材した売春少女たちのエピソードは本当 -
Posted by ブクログ
ガッチガチの発達障害である奥さんと結婚した定型発達の旦那さんが事故で高機能障害になり、奥さんが見ている世界を体験することで、「発達女子の面倒見てる偉い俺」から降りて、「夫婦がうまくいくにはどうしたらいいか」を考えるという本。
正直、この旦那さんは確かに加害はしてたと思うんだけど、ここまで180度考え方を転換できる時点で、本当のモラハラパーソナリティではないと思う。本当のモラだったら、たとえ自分が同じような立場に置かれても絶対反省しないし、なんなら自分の身に降りかかった不自由は嫁のせいにしそう。
注意が何かにぴたっととめられてしまう「ゴリラグルー」の感覚は何となくわかる。改めて自分の特性を考える