鈴木大介のレビュー一覧

  • 貧困とセックス
     「貧困」がキーワード。コンビニとかに置いてある実話誌や男性向けの娯楽誌出身のライター二人の対談集。これほど濃い中身だとは思わなかった。大手マスコミのエリート記者では、ここまで取材できないだろう。
     貧困の原因とか、裏側に潜むもの、あまりに酷い実態、そう貧乏と貧困は違うのだ。本書の見出しをいくつか書...続きを読む
  • 最貧困女子
    自分が知らない(接点のない)世界のルポタージュは学びが多い。
    読書の効能の一つに、「世界の成り立ちを知る」というのがあるけど、社会の底辺を知ることは有用である。社会の矛盾や問題は底辺に滞留するのだから。
  • 脳は回復する―高次脳機能障害からの脱出―(新潮新書)
    ここまで詳細に経過と症状をご自身の内省を踏まえて書いたものは珍しいのでは無いか。
    医療者側と患者側の「障害」の捉え方に大きな差を感じる。
    患者側が感じている「生き辛さ=障害」を非常にわかりやすく言語化されているのが、とても勉強になる。
    私自身、高次脳機能障害に深く関連する医療者なのだが、学校で教えら...続きを読む
  • 最貧困女子
    貧困に絡めとられて暮らす女性の様子が淡々と描かれている。解決策の提言も少し。ルポルタージュならではのリアルさかある。
  • 最貧困女子
    ニュースや政治の中では取り上げてもらえられないが、これ本当に深刻な問題。
    ここまで現場や該当者に寄り添ったルポライターには頭が下がる思いです。
    格差が広がる現代、無縁社会、孤立して貧困で、女のカラダを売ってでしか生きていけないという最貧困層の人が、案外身近に存在している、という事実を知るべき。
    また...続きを読む
  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
    ★お妻様につきあえた著者のすごさ★脳梗塞を起こしてからの著者の本をいくつか読んでいる。ちょいちょい触れられていたが、奥さんは想像以上のキャラクターだったんだ。発達障害でよく言われるように、察するのが難しく、仕事は細かく分けて伝える必要がある。著者も自分が病気をしたからこそそれが実感できたといい、分か...続きを読む
  • 最貧困女子
    ★福祉では救えない★湯浅誠によると、貧乏は低所得で、貧困はその上で人間関係を失った状態だという。それを受けて著者は貧困の追加定義として3つの無縁・3つの障害を挙げる。家族・地域・制度の無縁と、精神・発達・知的の障害だという。制度に頼ることを知らない(避けたい)し、手続きを踏めないのはある種の障害のた...続きを読む
  • 脳は回復する―高次脳機能障害からの脱出―(新潮新書)
    ★体験記を書けた病状と能力が両立★脳梗塞からのその後の回復記。「脳コワさん」という表現で困った日々を少しでも深刻に感じさせない妻の工夫が光る。妻が発達障害だから分かる部分があるというのが興味深い。前著に比べると、純粋な回復記に近づいている。できることとできないこと、それを周りに理解してもらうことの大...続きを読む
  • 老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体
    特殊詐欺グループの内情に迫るルポ。
    高度な組織化と、優秀な人材を選抜して育成するシステム、高いモチベーションの源泉、名簿屋、道具屋、A店舗(受け子外部委託)などののビジネススキーム etc。
    啓蒙されながらも被害が無くならないのは、被害者の落ち度だけとは言えないのだと分かった。
    頭が切れる人間がシ...続きを読む
  • 最貧困女子
    貧困とはお金がなく、かつ精神的にも困窮状態にあることを言い、その背景には三つの無縁と三つの障害が存在する。
    貧困は自己責任、という論調があるが、幼い頃から極限状態で生きてきて、教育を十分に受けていなかったり、努力が報われる成功体験をしてきていない人たちは、そもそも頑張り方がわからないケースが多くある...続きを読む
  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
    実は、先日ADDと診断された。注意欠陥、遂行機能障害、作業記憶の低下…この本に書かれている言葉を使えば、これらの症状が第二子出産後に顕著になった。私と、夫との間において「障害」となった。辛かった、どうにもできないで、責めて泣いて自分をコントロールできなくなった。改善策に処罰を用いる夫に、その冷酷さに...続きを読む
  • 老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体
    オレオレ詐欺の裏側がしっかり描かれている点はさすが。ただ、取材対象(オレオレ詐欺の犯人たち)への思い入れが強い点に少々違和感を感じる。その意味では、本書は、オレオレ詐欺の犯人たちを主人公にした、小説風味のノンフィクションと思ったほうがいいかもしれない。
  • 脳が壊れた
    脳に障害がある状態の時、どう感じてるのか、どうしてほしいのか、たいがいの場合、本人は、伝えられないし、障害のない人は、理解出来ない
    鈴木さんのおかげでやっとわかった
  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
    お互い理解し合う、尊重しあうってことを教えてもらった本です
    発達障害の方や脳障害の方の家族にとって、心強い本です
  • 脳が壊れた
    若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していたことに気づく。老人だ...続きを読む
  • 貧困を救えない国 日本
    学校は学ぶというところから、もう少し生活を支えていく場所というところへと考えを広げてほしい。(阿部 彩:p319)

    このコメントは、教員である私自身も納得しているところであるが、現場の教員でこのような感覚を持っている人は、残念ながらごくわずかであるのが悲しい現実かなと。

    示唆に富む意見が多く、大...続きを読む
  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
    前半、お妻様の強烈な個性に慄きながら読み進めました。
    正直な所、鈴木大介さんはよくこのような方と結婚したのだと思ったものですが、読み進めるうちに、「お妻様」が愛おしくなってきました。
    脳梗塞で倒れ、高次脳機能障害を背負った著者が、自分の高次脳機能障害の症状と妻の発達障害を重ね合わせて考えるようになり...続きを読む
  • 老人喰い ――高齢者を狙う詐欺の正体
    世の中には詐欺を生業としている人がいる。そのような人たちがどんなモチベーションで詐欺を行っているのか(特にどのように罪悪感を克服しているのか)、そしてどうしてそのような人たちが世の中からいなくならないのか、ということに迫ったルポ。

    全体的に強烈。軽くカルチャーショックですらある。世代間格差とそのル...続きを読む
  • 貧困とセックス
    教育、性産業、福祉・介護、この3つのつながりとその悲惨な状況、平成日本、見も蓋もない話、出口のない、答えの見つからない絶望的な話、中村淳彦と鈴木大介の二人が語ります。2005年、裸の世界が普通の女性だらけになって、売春からもこぼれ落ちる女性たち。AV~風俗~売春。何百万円と言う奨学金の返済のため一流...続きを読む
  • されど愛しきお妻様 「大人の発達障害」の妻と「脳が壊れた」僕の18年間
    出来事も感情もリアルに迫ってきた。

    思い返せばあの人は…
    妊婦の時の私は…

    普通が普通でないことは日常に溢れている。
    不自由を障害にしないための環境作り。
    世のため人のためは難しくとも、せめて身の回りの人のためだけでも心を配りたい。