鈴木大介のレビュー一覧
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前作から文章を読む限り著者はすっかり回復してジャーナリストに復帰したのかと思っていたら、取材記者は引退して漫画の原作や記事の執筆など書く方に専念しているのだと知る。免許センターに電話して簡単な質問をするだけのシーン、地味に書かれているが感動。電話が終わって妻のところに行き「電話もして会話ができたよ〜、こうやっていろいろなことができるようになるのかなー?」と泣きながら報告する。妻は素晴らしい理解者。自身も発達障害で若い頃は家出したりしていたが、著者の病気に動じることなく、言葉を発せずミャーミャー言うしかないパニック状態の夫を楽しそうに面倒見る。
企業でも分業をすれば、脳コワさんでも働ける、はなかなか説得力がある。飛び込み営業ができる人がルート営業までして時間を使う必要はない、から始まり機能的に分業して脳コワさんが活躍する社会は強い社会なのではないか。 -
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ネタバレ当事者ならではのリアリティがあり、非当事者の自分でも非常に納得感がある。
やりたいのに出来ない、という感覚はどうしても出来る側からすると理解が難しい。
不定形発達の方じゃなくても、仕事中に上司からのザックリとした指示が飛んで、完璧にやったつもりでも上司の求めるクオリティに達しておらず怒られて、じゃあお前がやれよとふてくされる、というケースは非常に多いと思う。家事の話では非常に既視感を得た。
「やれて当たり前」の価値観を押し付けないよう、やれる側は環境を改善することでみんなが行きやすい世の中になればいいなと思う。
お二人には末長く幸せに暮らして欲しい。 -
Posted by ブクログ
私の周囲でも脳梗塞という話がちらほら聞こえてくるようになり、さすがに少し気になって手にした一冊。
現役バリバリのルポライターが41歳の時に脳梗塞で倒れ、本書はそのセルフルポだ。
脳が障害を起こすと何が起こるか。とても想像などできないのだが、そこはルポライター。この説明しづらい状況を何とか文字にしようと躍起になる。自分の左側が見られない症状を「全裸の義母」(=見たくないもの、見てはいけないものが自分の左側にある、の意)で表現するあたりは、まさに真骨頂。
などと書くと、単なる明るい闘病記と聞こえるかもしれないが、さにあらず。著者は、高次機能障害で人の顔を正面から見ることができなくなり、感情が暴走し、注意力が散漫になるのだが、これに強い既視感を覚える。それは、これまで自身が取材してきた中で出会った情緒障害者たち、貧困に陥った女子たちがとった行動と同じではないかと。そこで著者は、自分のこれまでの取材の浅さに気づき、同時に脳梗塞を発症するに至った要因は、自身の性格や思想、それに基づく行動にあったと結論する。ここに至って、本書は闘病記の域を超え、人生の再生物語へと昇華した。
そう考えると、第8章以降のかなり個人的な話の記述、特に著者の妻に関するくだりが大きな意味を持ってくる。かなりユニークな人物であることは、この本の前半部分でも垣間見れるが、その理由が同章で明らかになる。彼女は若年期に精神障害を患った経験があるうえ、結婚後に脳腫瘍の摘出手術を経験しているのだ。言ってみれば、彼が取材対象としていて、既視感を覚えた人物たちの先人であり、かつ、脳の病の先人でもあったのだ。脳梗塞で倒れ、リハビリを続ける著者にとって、これほど強いサポーターがいるだろうか。再生物語は始まったばかりだ。 -
購入済み
感想 ギャングース
面白い。迫力満点。ストーリーも時事性が強く、さらに、全てのキャラがイイ。
今迄のヤンキー漫画、ヤクザ漫画とは大きく違う。
作者の取材力に脱帽する出来栄えだ。
ワルの中にも一筋の人間性(良心)が感じられほっとするところも良い。
もっと、もっとメジャーになってほしい漫画です。 -
Posted by ブクログ
他の人にぜひ読んでほしいと強く思った。読書感想文の課題にしてほしいくらい。中学だと厳しいかもしれないので高校くらいで。
どんな人でも同じ境遇になり得ること、うまくいっていても板一枚下にはつらい境遇が待っていること、それらを知る心の準備をするため。それから、もしその境遇になったときにどんな方法があるのかをあらかじめ知っておくため。
その境遇になってからでは調べる気力もなくなり、抜け出せなくなる。
最貧困シングルマザーと聞いて「自己責任」とか「甘え」とか思い浮かんだ人は、本書を読んでみると考えが変わるかもしれない。いや、そもそも想像力が欠けているから批判しているのだろうから、批判は変わらないか。
それよりも「なぜ抜け出せないのか」「あれは使えないのか、これはどうだろう」と考えられる人にこそ読んでほしい。筆者がその考えを代弁し、一つ一つ否定されていく。
自分が、圧倒的に持たざる者で、子供がいて病に倒れたら、いったいどう抗えるのか。
救いの手を握れない理由は、とてもとても根が深い。地道に改善しようにも、頭・お金・容姿のなにかしらを持つ側の多くに想像力が欠けているのでは、訴えても効力がない。
現実が見えて、かつ力のあるものが制度設計をしないと、変わらないのではないかと思う。本書には、その視点の提案がある。
政治家にも読んでほしい。
福祉に関心のある議員に働きかけよう。 -
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鈴木大介『ネット右翼になった父』を読んで
この本を読んで、まず気になったのは自分自身のイデオロギーだった。
私は自分を比較的保守的だと思っている。しかし、右翼、とりわけネット右翼に対しては嫌悪感がある。だからといって、リベラルな考え方にすべて賛同しているわけでもない。残すべき日本の文化や伝統、国の在り方がある一方で、個人の尊重や社会の変革も必要だと思っている。
右翼や左翼という枠組みには、自分たちと異なる考えを排除しようとする傾向がある。その排他性こそが、私が一部の政治家や、過激な右派・左派に嫌悪感を抱く理由なのだろう。
では、自分のなかにある嫌韓・嫌中意識は、右翼的なものなのか。この疑問に対し、筆者が示した「国民一人ひとりへの嫌悪ではなく、政体への嫌悪」という考え方は腑に落ちた。隣国の反日政策や、一部の旅行客のマナー問題などを見聞きするたびに、自分の考えが硬化していく。それがメディアの報道姿勢によるものなのか、自分から否定的な情報を探していたのかは分からない。
ヘイトコンテンツに染まる問題は、年代を問わず起こり得る。アルゴリズムによって似た情報ばかりが表示され、思考が固定化される影響も大きい。しかし、その根底には、自分でも言語化できていなかった感情を、ネット上の言葉が可視化してしまうことがあるのではないか。
一方、高齢者の不用意な発言を、すべて政治思想の問題として捉えることにも疑問が残る。以前は許容されていた言葉が、現在では差別的とされることもある。社会の変化に合わせて、価値観や言葉の意味をブラッシュアップすることが難しくなる。それが七十代以降に顕著なら、世代固有の思想というより、「老い」の問題でもあるのかもしれない。
高度経済成長期を企業戦士として生きた男性たちは、会社で求められるペルソナを身につけてきた。その時代を生きた人のなかには、仕事や生活を通じて在日韓国・朝鮮人との軋轢を経験し、個人的な嫌悪感を抱くようになった人もいる。背景を理解することと差別を肯定することは別だが、そうした感情まで「ネット右翼」という言葉だけで括ることはできない。
筆者が、亡き父はなぜネット右翼になったのかを探った末にたどり着いた答えは、「父はネット右翼ではなかった」というものだった。父の価値観は、ネットによって一から作られたわけではない。生きてきた時代や過去の経験、老いによって更新できなくなった認識がすでにあり、そこへヘイトコンテンツが入り込んだ。もともとあった感情を増幅させていったのではないか。
私たちは、自分が大切にしている思想を批判されたというだけで、相手をネット右翼や左翼と判定してしまうことがある。しかし、それは自分側の解釈であり、相手の真意とは限らない。その決めつけが対話を断ち切り、家族や社会の分断を生む。
相手の発言を自分のなかだけで判断せず、なぜそう考えるのかを尋ねる。その人が生きた時代や経験に耳を傾ければ、避けられる分断もあるのではないか。本書は父親を一つの言葉で決めつけるのではなく、他者に貼ったレッテルと、自分のなかにある偏見を見直すよう迫る一冊だった。 -
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「最貧困シングルマザー」に続いて同じ著者の本を読む。BOOKOFFオンラインにて購入。2014年初版、私のは2015年1月の第11刷。よく売れたんだろう。
「女子」とタイトルにある通り、10代、20代の貧困を取り上げている。
劣悪な家庭環境から家を飛び出した少女たちが路上生活の末、性風俗産業に取り込まれていく様子など。
印象に残ったのは容姿に恵まれず頭も切れない(あるいは知的障害などのある)少女たちは性風俗産業の最底辺で不可視化されているという記述だ。行政の福祉の網の目から取りこぼされ最低限の稼ぎしか得られずに貧困に陥っているということだった。
多少容姿に恵まれていたり、頭が切れたりすれば浮かぶ瀬もあるということらしい。
児童保護施設や警察の補導よりも路上で携帯の名義貸しや風俗の斡旋などを受けて自活する方が自由だと感じる少女たちの気持ちがわかるような気もした。ただ劣悪な環境というのには変わりない。
売春というのは世界最古の職業だと誰が言ったのかは知らないが、他の労働だって身を売る(労働力を売る)わけで性風俗ではなしに普通の労働もできそうな気もするのだが、着の身着のまま飛び出してきた少女であれば身分証も保険証もなく住むところもないわけで、やはり普通の職業にはつけないのだろう。 -
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YouTubeでひろゆきの切り抜きを視聴していたら、旦那が不機嫌。「あんな嘘つきの動画を見るな」というから「なら岡田斗司夫の方がいいの?」と訊いたらその方がいいと言うからYouTubeで初岡田斗司夫を見た。その切り抜き動画で岡田斗司夫が紹介していたのが本書。BOOKOFFオンラインにて購入。
シングルマザーの貧困というのには元々興味はあった。一般的に女性の方が給与は低い傾向にあるのだから、小さい子供を抱えていたりすれば思うように働きにも出られないし、貧困はすぐ目の前にある。
足りない生活費を捻出するために出会い系で売春するシングルマザーというのが本書で主に語られるのだが、そういった傾向は「頼れる実家がない」場合に特に顕著だ、という指摘はなるほどなと思った。
あとは、生活苦のシングルマザーの精神科の受診率の高さ。お金の心配や生活の心配が常にあるなら心がおかしくなるのは当然だ。
あとがきで室井佑月が書いていたように、本書の内容は対岸の火事ではなく私も一つ間違ったらそんなこともあったかもしれないと思う。 -
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さまざまなネット右翼化した家族の事例をまとめて時代を切り取るような内容かなと、タイトルだけで買って読んでみたら、完全に鈴木大介の父親に関してだけの超個人的な内容だった。
いろいろな方法で丹念に父がどうしてそうなったのかを検証したり調査したりしていくんだけど、結果的には父はネット右翼じゃなかった、父と息子の間にある緊張感がそうさせたんだ、みたいな結論になった。どういう展開だよ、と思った。
ただ、つまらないわけではないし、結構胸を打たれるシーンがあったんだよな。なのでクソだと一蹴はできなかった。
これは失った父親への愛の歌だし、父の人生を振り返り、父のした子育てについて書かれた本だなあと思った。本当にタイトルからは想像できない展開だったよ。タイトルつけるのヘタクソかよ。
しかし鈴木大介は多様性とか言ってるくせに、戦中生まれはネットの使い方はこうだとか、所々偏見が見えるな。これこそがステレオタイプだろ。