鈴木大介のレビュー一覧
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この本の端緒となった2019年のデイリー新潮の記事を当時読んだ。当時の著者と同じように、YouTubeでおかしくなる人おるなあとシンプルに捉えていたので、認識を更新できてよかった。
単語というか符牒というのか、仲間内に目配せするために使われる悪意と差別意識に満ちた言葉がネット空間には多く流通している。ネット上の一部の地域では、その言葉を知っていること、口に出すことが「山」「川」みたいな機能をもつ。その醜悪なやりとりを日々目にしているから、だれかがその言葉を発した瞬間に「あっこいつあっちやな」と判断してしまう傾向はわたしにもある。
が、それは発言者の拠って立つところを示すというよりは、うかつさ -
Posted by ブクログ
ネタバレ貧困のさらに下層である最貧困女子の現状を記したルポ。人は低所得に加えて「三つの無縁」「三つの障害」から最貧困へと陥る。本来支援されるべき方々が世間に可視化されていないので、支援が難しい現状がある。
「第一章 貧困女子とプア充女子」を通して、例え月10万くらいの低所得でも周りの友達の支援やシェア文化が整っていたら、上手くQOLを保ちながら生きていけると改めて感じた。地方は低所得でも地域の支えを受けやすいので、その点地方出身者は強いなと。
元々家庭環境が良くなくて教育も十分に受けていないので、そもそも思考力が欠如していて努力するベースがないから、貧困は自己責任では片付けられないと感じました。
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購入済み
昔は世界に対する幅広い興味を失わなかった父親が、その晩年にその発言がネット右翼であるかのように変貌してしまったことに苦い思いを抱いていた著者。父の亡き後に改めてその足跡を丁寧にたどり、家族のつながりを回復していく話。
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Posted by ブクログ
富裕老人をターゲットにした特殊詐欺グループのルポ。ドラマ仕立てで書かれているので生々しさがある。
管理・統制された組織で行動している。資産・性格・その他諸々の個人情報を漏洩名簿から綿密にスクリーニングされており、顧客ターゲットは非常に明確。電話の手口も巧妙で、複数名で痴漢現場を再現するなど、リアリティも高い。
ステレオタイプの振込詐欺を想像しているようではカモにされると思った。
摘発されないための行動ポリシーが徹底されていて、下ッ端をつかまえても幹部の摘発は困難だ。
マーケティングリサーチ、リーダーシップ、組織統制、人材育成など、妙なベクトルに進化したビジネス形態に唖然としてしまう内容だった。 -
Posted by ブクログ
これって,日本の話なのか?と思うほど,ビックリする貧困女子の現実がある。
以前,『神が棄てた裸体』という本を読んだときも,少女売春に向かわざるを得ない状況に驚いたが,それと同じようなことが日本でも普通に起きていることにビックリである。
そして残念ながら,その解決策からはほど遠いと思わざるを得ない。自分が受けたことを,また自分の子どもに再生産していくなんてことを見せられると,ほんとにいたたまれない。
著者は,そういう裏社会の若者たちと本音で向きあい本ルポを書いていく。まずは,現実を見て貰うこと,知ってもらうことに意義があるということだろう。
解決策があるとすれば,まず,子どもの時にち -
Posted by ブクログ
発達障害の人たちにとって、世界はどう見えており、何がどう難しいのか、なぜ難しいのかが物凄く分かりやすく説明されている。
ただ疑問に思ったのが、話が長くなるほど冒頭の話を忘れたりインパクトがある点のみに執着してしまい、その間に会話が流れていってしまい全体像が掴めなくなる特性が強いとのこと。
それって、映画見たり本読んだりして全体の流れが掴めるのか?また、それでおもしろいと思えるのか?というところ。(本の中で、発達障害のある妻がドラえもんの映画が面白いと言っている)
もう一つの疑問が、妻は約束を必ず守るタイプだ と前半に書いてあるものの、後半には約束の時間を守れない妻、とも書いてある。どっちや -
Posted by ブクログ
脳梗塞の後遺症で高次脳機能障害にかかり、そこから回復できた筆者が、障害の時の気分や体調を言語化した貴重な本(筆者談)。感情や言動がうまく表現できなかったり歯止めが利かなくなる時の状況が分かりやすく伝わる。
本人は苦しみ、もがいていても医者や周囲の人の理解が得られずに孤独を感じてしまう様子も、明るい調子ながら克明に文章化されている。
筆者の妻が発達障害を持っており、以前はその妻を支える立場だったのが、逆に支えてもらう立場になった。その筆者が最後の方で語る、「高次脳機能障害者を扱えない組織・上司はダメだ」という言葉に説得力がある。
本書は脳機能の障害を持った人への理解を深めると共に、昨今言わ