村枝賢一のレビュー一覧
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和也覚醒の巻とでも言うべきだろうか。ワールドカップへの出場権を得ると同時に、大黒柱だったエースが負傷交代することになった。その事態で、エースたる伊武が託した和也の役割が大きな意味を持ち始めた形である。
ここまで和也は旧日本代表とリザーブドッグスのつなぎ役を任されていたわけだけれど、そうした消極的な意味合いではなく、より積極的な意味合いでチームを動かし始めた和也は、まったく違った意味で日本代表になくてはならない存在となりつつある、ということである。
新たな進化を得た和也が、完結まで残り少ない巻数の中でどんな風に暴れてくれるのか、楽しみなかぎりである。
物語の熱さと言う意味では、前回で一 -
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リザーブドッグスの勝利に終わった代表を決める試合だったが、この旧代表と新代表の対立が鮮明な形で残りながら、最終予選が始まる。
そのことに怒りを覚えている和也の姿には、深く感銘を覚えるところだ。自分こそが代表だと、我利を剥き出しにすることが悪いわけではないが、それがワールドカップにつながっていないのなら単なる私利私欲に過ぎない。そのことを、つまりは代表を背負うということが本質的にわかっている、という描写だろう。
シンプルな描き方であるが、こうした正当な怒りの持ち方は本当に主人公らしいところである。間の巻であるが、星四つ半相当と評価したい。 -
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今回はセレッソ戦。ロシア代表選手を補強したセレッソの中で定位置を奪われた拓馬は、持ち前のテクニックを封印してゴールゲッターの道へと進む。そうして臨んだ試合が、おおよそ前半を終えたところで締められている。
バンディッツは良いチームになっていて、簡単には崩れない。最初こそワンタッチゴールを決められていたが、それもチーム力によってカバーしてしまった。次なる展開がどうなるのか楽しみなところである。
この場合、優勝争いをしているバンディッツとセレッソ、どちらの立場で見ていればいいのか微妙ではあるが、さて。親友同士の対決をただただ楽しめばいいのだろうが、どうも主人公は拓馬のようにも見える。
今回 -
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12巻では、グラグラと煮えるような試合展開が続く博多デルフィネス戦が描かれている。
後半の頭、チームメイトである中盤の土黒が覚醒し、一方で拓馬が怪我で限界が来ている。ここからどうなるか、というところで、拓馬は意味深な言葉を口にしたところで巻は閉じられている。
まだまだ一筋縄ではいかない状況が続く中、次に引き続く展開は心憎くも思える。ドラマが展開されていないため、これまでの試合風景と比べるとやや薄いが、それだけにプロとしてのプライドが際立っていて、勝敗の価値は大きいがゆえの、展開の重みだろうか。
とりあえず、今回は星四つ半相当と評価したい。