小野不由美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小野不由美さん著者、『営繕かるかや怪異譚 その弐』。
住まいにまつわる怪異に向き合う営繕屋・尾端を描いた『営繕かるかや怪異譚』の第二作。古い家や町並みに残された記憶と、そこに宿る怪異を描いた全6篇の怪談短編。
【あらすじ】
古い町屋や民家など、さまざまな住まいを舞台に、そこに暮らす人々が不可解な現象に遭遇する。死者の気配や人影、童謡、声、異臭など、日常の中に現れる怪異には、それぞれの家やそこに暮らしてきた人々の過去が深く関わっていた。
恐怖だけではなく、住まいに残された人々の記憶や思いにも焦点を当て、怪異と向き合うことでその背景にある物語を描く。
【感想】
前作と比べて、直接的な怪異の恐ろしさがより強く描かれている点が印象に残る。一方で、恐ろしい怪異が必ずしも恐ろしい結末へ向かうわけではなく、背景にある人の思いや過去によって、悲しさや柔らかな印象へと変わっていく。怪異の捉え方にも幅があり、読者に多様な解釈を委ねる余韻が魅力的な作品。
その中でも「まつとしきかば」では、誰かを想う気持ちそのものが怪異を生み出す一方で、本来あるべき時を引き止めてしまうことで、それが悪異へと変化してしまうようにも感じられた。死を受け入れることで止まっていた時間が動き出し、結果として良い方向へ向かう展開にも捉えられる一方、そこに存在していたものが本当に主人公の想いから生まれた存在だったのか、それとも悪意から生まれた存在だったのか。その答えが明確に示されないからこそ、別の選択をしていた場合に待ち受けていたかもしれない結末を想像し、恐怖を感じた。
怪異の恐ろしさだけではなく、「死との向き合い方」にまで思いを巡らせることのできる、「心」を焦点に捉えた一編として紹介したい。
怪異の捉え方によって異なる解釈が生まれる魅力を味わえたからこそ、次回作ではどのようなテーマを持った怪異が描かれるのか、3作目への期待が高まる。人の思いが交差する物語と、直接的な恐怖が思いがけない結末へと変化していく展開に驚きも感じられる作品として、おすすめしたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレホラー描写も怖いには怖いが、やはり怖いのは人間の方。
身内だったり、ご近所の人だったり。
乗り込んでくる他人なんて本当に怖い。
でも、ドールハウスの話は「物」も怖かった。
そして、ドールハウスも小さいながら「家」なので、尾端さんの営繕が活きるのがいい。
怪異を直接お祓いはできないが、家を調えることで「折り合いをつける」シリーズ3作目。
それで果たして解決するかは分からない。
その後を見せてくれないから分からない。
それでも、ちょっと背中を押してくれる。
きっと大丈夫だと思わせてくれる、そんな物語の数々。
今回は母親(義母を含む)や家族の話が特に印象的だった。
最後が強烈な母親が出てくる『茨姫』だったから、よりそうかも。
家も世界も「風通し」がよくないと「澱む」よなとひしひしと感じた。
この澱みや閉塞感を描くのが先生は頗る上手いのである。
個人的には『骸の浜』がより印象的だったかなあ。
ちょうど同じような話がニュースになっていたから余計に。
小さい子が犠牲になる話はどうしても、胸が痛みます。