坂口安吾のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
思想・評論❨というよりエッセイ❩が沢山収録されている。文化とか恋愛とか色々述べるが、時々いや度々難しい言葉とか表現とか使っていて読んでて辛いが、根っこの部分は同じことを言っているように思う。耐えることをしないで乗り越えるにはどうしたらよいかという思想があるからこそ、人間の進歩があるのだという部分は大賛成。
しかしだが、著者のハッキリとした物言いには少々冷や冷や、そんなハッキリと対象の名前を出してバッサリ酷評してよいのか、と思いながら読むも、読み進めていくとこれは自戒の意味を込めてのことだと述べている章にたどり着く。そんな皮肉分かるかいな。文章だけで書き伝えられてないじゃないか。ベンメイが必要なのではないか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ墜落論を前後編に分け、間に白痴を挟み込んでの漫画化。
坂口安吾の視点も現代から過去に飛んで描かれている構成になっている。
第二次世界大戦が終わって、日本は急速に変化した。
戦時中にあんなに一体化して、虚しい美しさに溢れていた。
「あの偉大な破壊の下では 運命はあったが 墜落はなかった 無心であったが充満していた」「しかし人間の真実の美しさではない」「人間の正しい姿とは何ぞや?」
・・・まず、戦時中が美しいかったということにも、そして、人が墜落してゆくのは戦争のせいではない、と言うのにも驚いた。
人が墜落するのは人だからだ。人間は元来、そういうものだ。
墜ちて墜ちて、そして這い上がれと。
時代が変わって価値観があべこべになったように見えても、それは上面の皮の上だけのこと。
天皇の制度についても、「祭り上げる」ほうが実権を握るに楽だからだと。
今読んでもなかなか刺激的な内容でした。
白痴についても、現代では描きにくい題材だと思う。けど、空襲の最中、サヨの死を願いつつも見捨てては行けず、未来に不安を抱えつつも、捨てていけるほどの張り合いもないと一緒にいる井沢にホッとする。 -
Posted by ブクログ
若い頃大好きだった安吾をひさしぶりに読む。
安吾は構成なんか考えない人だったから、長編はことごとく失敗しているし、短編だって、きちっとまとまっているわけではないのだが、何とも言えない魅力がある。
これは自伝的小説を集めた本だが、今の感覚で読むと、名前や場所など、今ならぼかしたり変えたりするところがそのまんまであることに驚く。当時の純文学は私小説が多かったとは言え、ここまでストレートに書かれては、身内や文壇仲間はともかく、小説家とは知らずに関わった一般人はたまらないな。今なら訴訟ものだ。伏見の下宿屋一家の話なんか、とんだプライバシーの侵害。(夫婦の下世話なところが面白いけどね。)
若い頃はそんなことつゆ思わず、安吾と矢田津世子の恋愛の不可解さが大人になったらわかるかと思っていたが、今読んでもよくわからない。
矢田津世子が美人で作家(才媛)だったからビビったんじゃないの?未亡人や元娼婦とは気安く付き合えたんだから。と、昔より意地悪なことを思う。
しかし、母との複雑な愛情や、教員であった頃の、子どもを見つめる目は、今読んでも感動する。
「風と光と二十の私と」は、教員を志す人、教育困難校で教える教師は是非読んでほしいという気持ちは変わらない。