坂口安吾のレビュー一覧
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“捕物帖のことですから決して厳密な推理小説ではありませんが、捕物帖としては特に推理に重点をおき、一応第二段に推理のタネはそろえておきますから、お慰みに、推理しながら読んでいただいたら退屈しのぎになるかも知れません。作者はそんなツモリで捕物帖をかいているのです。第三段の海舟が心眼を用いるところで本をふせて一服しながら推理することに願います。海舟は毎々七分通り失敗することになっていますが、今までの探偵小説では、偉い探偵の相棒にトンマな探偵が現れて大マチガイの推理をはたらかせてあんまりバカすぎたようです。よんでいる方でも、自分の推理が当たらないと、トンマな探偵氏と同じようなトンマに見えて自分がイヤになるのが通例ですが、海舟という明治きっての大頭脳が失敗するのですから、この捕物帖の読者は推理が狂っても、オレもマンザラでないなと一安心していただけるでしょう。そこでメデタシ、メデタシ、というのが、この捕物帖です。”[P.5]
アニメ「UN-GO」を見た影響で。
“今日は、彼の他にもう一人妙なヤジウマが早朝から詰めかけている。お梨江である。朝の新聞で紳士探偵出馬の記事を読んだから、私も探偵の心眼を働かして犯人を捕まえてあげましょうというので、馬にまたがって早朝から乗りこんでいる。新十郎の書斎へ詰めかけて、
「あなた、お馬にお乗りにならないの」
「乗りますけれども、馬を持っておりません」
「じゃア、人形町のような遠いところへ、どんなもので、いらッしゃるの?」
「歩いて参ります」
「アラ、大変。私、お馬を持ってきてあげるわ」
「ところが、連れがありますので、ぼくだけというわけに参りません」
「存じております。気どり屋の通人さんに、礼儀知らずの剣術使いでしょう」
「ほかに古田さんという巡査がおります」
「じゃア、四頭ね」
と言ったと思うと、馬にのって駈け去る。やがて馬丁と四頭の馬をひきしたがえて、戻ってきて、庭木へ一頭ずつつないでしまった。”[P.93] -
Posted by ブクログ
マンガで読破シリーズ。堕落論(前編)→白痴→堕落論(後編)という順番で書いてあります。
堕落論は、論説文を無理矢理マンガにしたようなものなので果たしてこれが原作に忠実かといわれると少し微妙な気がするのですが、まあわかりやすくできていると思います。特攻兵の表情の、なんと自信に満ち溢れていることか。「靖国で会おう」って約束も何だか実際にしてた人がいそうですよね、これ。
戦争という負の部分を美しかったと表現し、物欲に支配され利益を求める人間を堕落しているとするならば、現代人は全て堕落していることになります。それどころか資本主義、なんて名乗っていれば全て堕落しているといえるでしょう。しかしそれは人間らしいことであり、決して悪いことではないと、この本は語りかけます。
白痴は、検閲が蔓延る戦争時代に芸術家であろうと試みようとする伊沢と、おそらく知的障害がある人妻サヨの人間愛に関する話なんですが、マンガにしてしまうと何だか人間的にリアルな部分の魅力が薄れてしまうなあ、と感じました。私がマンガを読みなれてるせいかもしれませんが、豚に乗るサヨの描写のところで、原作では明らかに「奇妙だ」と取れる行動も、マンガにすることで「ユニーク」「シュール」くらいに印象が和らいでしまうような気がするのです。伊沢が圧倒的な威圧感を覚え、この話の核ともなるサヨが爆撃に怯える描写も、白目になって、大きく口を開けて…などといったことを再現してみると確かにマンガのようになるとは思いますが、原作を想像しているものと大分異なるような気がします。故に「人」というより「キャラ」という印象が抜けず、イマイチ身近にリアルを感じ得ない、という。
これが小説とマンガの創造性の違いなのか…これに関してはやはり原作を読まないことにはどうしようもないかなあ。 -
Posted by ブクログ
学生時代に読んでいたと思うけれどもう一度読んでみた。
相変わらず、内容を覚えていなかったのには自分で驚いた。
戦争後の勇士たちが闇屋になり、未亡人が他の人の面影に胸を熱くする。
それこそ人間たるものであり、いくら政治で決めたって変わるものではないということ。
人間は堕落するけれど、それが常だけれど、際限なく落ちていくわけではない。
だから、落ちきれば良い。そこから見えてくるものがある。
天皇制について言及していたり、60を過ぎた戦犯たちが法廷に連れ出されるこことと
20で英雄のまま死に靖国に祭られることの価値如何、そして日本人がそもそも2君に仕えたり
昨日の敵と今日友になったりする民族なのだということ。
ここまで書くのかというのを読んでいて心配してしまうような文章であり
発表当時に人々の関心を呼んだのは当然だと思った。 -
Posted by ブクログ
漫画でなく原作を読んでみた。堕落論と続堕落論と解説のところしか読んでいないのでレビュー書くのは微妙だけど、まぁこういう読み方もたまにはいいかな。
「原作挫折→まんが→原作」って感じで読んでみました。原作を最初に読んでみたときはもうチンプンカンプンでしたが漫画読んでから読んだらそこそこ読めました。漫画なかなか凄いじゃん!それでもわからないとこ多数で萎えましたが!
漫画は堕落論と続堕落論が描かれていることに気づきました。
「続」の方が歴史的カラクリを具体的に説明しているためわかりやすいです!原作を読む人は「続堕落論→堕落論」って読んだ方が良いかもしれません。
しかしこんな10ページくらいでここまで社会に影響を持たせるっていうのは凄いな〜!時代が時代ってのもあるけど、当時の人たちがこれを読んだら今の僕たちが感じる以上に半端なくビックリするんだろうな〜って思いました。今までのなんだったの?的なね。
内容は「まんがで読破」の方のレビューで書いたとおりなんですが、原作では原作ならではの表現があってそこが面白かったです。たとえば、「武士道は人性や本能に対する禁止条項であるために非人間的反人性的なものであるが、その人性や本能に対する洞察の結果である点においては全く人間的である。」というパラドキシカルな表現など、すごって思った!
評論だけあって受験時代の現代文の超難しい版って感じで大変でした。
美しいものを美しいままで終わらせたいというのは小さな人情で、特攻隊は闇屋へ、未亡人は新たな面影へ(恋)、天皇は人間へなるところから本当の人間の歴史が始まるんだというこの主張。正しいかどうかは抜きにして面白い洞察でした。
落ちるところまで落ちきって自分を発見し救う。堕落自体は悪いことだが、真実をつかむためにはしょうがないことだそうです。だからこそ堕ちるときに徹底的に堕ちろと言っています。
久々に深い文章を読んだら疲れちゃいました。
いよいよ3年生も始まったな〜。。。しっかり堕落しているので大丈夫かな?笑
安吾の書斎汚ったねー。