冬森灯のレビュー一覧
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特別なお弁当を作ってくれる「ききみみ堂」を中心に据えた北関東の街が舞台。
モヤモヤを抱えた登場人物たちに用意される特別なお弁当はヒアリングだけでなく会話の端々に滲むその人のパーソナルや大切な何かによっており、お弁当箱を開いた時に味わえるわくわく感やおいしさだけじゃなく、驚きもあったりして最後まで楽しめるのがいい。
お話としてはみんな問題を乗り越えて進んでいくのが次以降のエピソードで見られるので、上手くやれているんだな、成長したんだな、とわかるのがよかった。元野球少年の話がいちばん読みごたえがあったと思う。
しかしながら、仕掛けられた謎(秘密)も読んでいるとすぐに気づけてしまうのでその辺が -
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「誰かの大切な想いを包み込んだ、ひとつだけの、特別なお弁当」がしふく弁当です。
ききみみ堂の冴良が作るこのお弁当が、人の心を癒し、つなげていく物語でした。
装画のお弁当を見てもわかるとおり、ひとつひとつの話の中で作られたお弁当がどれも美味しそうで、さりげなくお弁当作りのコツも書いてありました。贈る人の気持ちを考えて
作られたお弁当、いいなと思いました。
話が進むにつれて、ききみみ堂のお弁当を食べた人達が繋がっていき、最後にはみんなが笑顔になれる物語でした。
考え方が違っても、一歩踏み出すために必要な何かが伝わってきました。
ききみみ堂のお弁当、コロッケパン、エクレアが食べたくなる小説で -
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初めましての作家さん。
美味しい物語を書かれているようです。
ちょうど、そういう感じの物語を読みたかったので手に取りました。
サーカステントにキッチンカー
シロクマのようなシェフと
猫のようなギャルソン(2人は兄弟)
マダム ウイが亡くなったと知らせが来た。
彼女との約束を守るために「翁」を探す旅に出る。
旅先での人々との出会い。
美しい芸術作品。
美味しい料理。
フランス料理は全く詳しくないですが、目一杯想像して、
芸術も詳しくないですが、螺鈿の重箱が美しいのはわかります。
そんな感じで想像して楽しんで、美味しい料理と人との出会いで、心が温まる時間をもらいました。 -
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まごころドーナツ、楽描きカレーパン、花咲くコロネ、縁結びカツサンド。4つのパンが出来上がる度に結ばれた縁。駒込うらら商店街にあるベーカリー・コテンの三代目とお客が紡ぐ物語でした。
どの話も、最後はあたたかい気持ちになれました。迷う気持ちを後押ししたりされたりする人の繋がりに好感が持てました。頑張ろうという気持ちにさせてくれる言葉や、励まされる言葉もあり、よかったです。
最後に第一回おいしい文学賞の最終候補になったもうひとつの『縁結びカツサンド』が特典で収録されていました。全く別の作品だけど、この作品が縁となったんだなと思いながら読みました。
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ハート型のエビフライに目が釘付けとなって、手に取った本書。
女将の志満さんと、孫娘の希乃香さんが切り盛りする〈夕食店シマ〉・・通称〈うしろむき夕食店〉を巡る連作五皿(話)&おまけの小皿が収録されております。
〈うしろむき夕食店〉なんて呼ばれていますが、決してネガティブな意味ではなくて、そのレトロな外観と居心地の良い内装で昔を振り返る気分になるから・・という意味でついた通称との事。
内容的には、"ハートウォーミング系料理店もの"ならではの、悩みを抱えていたり人生に行き詰った人達が〈うしろむき夕食店〉を訪れ、温かい接客&とびきり美味しいお料理に癒されて元気をもらう・・とい -
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仕事や日時生活で躓いた時に、ふと出かけたレストラン『うしろむき夕食店』で食べた料理やレストランのスタッフ達とのふれあいで、前に進むことができ事態が好転していく。
ひとつひとつは短編なんだけど、登場人物達が後の方の物語にも顔を出し、最終話にはオールスター勢揃い。
この本には限らないんだけど、最近の小説は登場人物達の名前の読み方が難しくて、一度では覚えられず、登場人物が多くなると頭の中が大変なことに。^^;
そんなに難しい名前にする必要あるのかな?と頭の中が疑問だらけになり、物語に集中出来ない。
それならそれで、フリガナをずっと付けて欲しいと思う。
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夜食をテーマにした6つの短編集
標野凪さんの「バター多めのチーズ入りふわふわスクランブルエッグ」
コレはかなりの元彼への未練たらたらストーリー
スクランブルエッグは無理矢理こじ付けた感がありました
冬森灯さんの「ひめくり小鍋」
終電を逃した為に初めて会った人とたとえ同じ女性でも行動を共にするか?それも深夜にお寺
たどり着いた店は合言葉が必要だったり占い要素もあったり、でも実際は新聞販売店と言う、いろんな要素満載の話しだった
友井羊さんの「深夜に二人で背脂ラーメンを」
自分が事故死した人の原因になったかもしれないと思った2人の話し
事故死ではなく真犯人がいるかのようなミステリータッチでドキ -
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サーカスのテントのような移動式の
不思議なビストロを舞台にした
ほっこり美味しい連作短編集。
料理の腕はいい兄と、経営手腕のある弟。
ふたりの定番の掛け合いも良いスパイスだ。
兄の独立を援助してくれた謎の老人を探して
援助してもらったという人たちを
訪ねて歩くロードムービー要素が「横糸」
でも、仕事で忙しくて疲れたOLや
彼女の好みに合わせようと
背伸びしている青年や
夫婦関係に悩む男性などなど
たくさんの人々の心とお腹を満たす
いつもよりちょっと手の込んだ一皿が
登場するのです。
そうして縁をたどっていった先に…。
うーん、やっぱり素敵なビストロ。