冬森灯のレビュー一覧
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祖父の代から営むベーカリー・コテン。
昭和のパン屋さんをそのまま残したようなお店とこれまた懐かしさと暖かみのあるパンたちに魅了された人たちのそれぞれの人生の行く先と人との縁を連続短編集という形で綴られています。
人生は決して良い事ばかりではない。寧ろ上手くいかないことの方が多いわけで、そんな時に周りにいた人たちに教えられたり、そっと寄り添ってもらえたら、どんなにか救われた気持ちになるでしょうか。
焼きたてのパンの香ばしい香りやフワッとした食感に小さな幸せや癒しを感じながら、前を向いて生きていく姿に元気をもらえたような、じんわりと心が暖まるお話でした。 -
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イルミネーションに飾られた小さなサーカステントにキッチンカー、お腹のなるようないい香り。出会えたらあなたは運がいい。そこは期間限定で現れる幻のビストロ「つくし」。
あなただけのために作られるスペシャリテ。素晴らしい芸術と味わう料理は、世界でいちばんおいしい料理。
芸術ある場所に現れる幻のビストロ「つくし」と、そこを訪れるお客様の姿を描くおいしくて優しい小説です。
某文学系イベントに行った際購入した、出版社さんの福袋に入っていた一冊。
本当にタイトル通り「すきだらけ」にふさわしく、数々の美味しく美しい料理、素晴らしく情熱的な芸術、優しく温かな人々と「好き」なものに満ちたお話。また、シェフや -
Posted by ブクログ
店主の志満さんと孫の希々香さんが営む夕食店シマ、通称うしろむき夕食店は、着物姿でおもてなししてくれる、懐かしさを感じる古風なお店。
季節の野菜を使った数々のお料理とおいしいお酒。
そして最後に、おみくじ形式でメニューが選べるなんて面白い発想です。
表紙に描かれているハート型に盛り付けられたエビフライに魅かれてしまいました。
お店に訪れるお客さんたちのエピソードもそれぞれよかったけれど、ずっと探し続けていた志満さんの夫、希々香さんのおじいちゃまの話が、回り回って最後にはすべてが一つになって、その円満な空気がとても気持ちよかったです。
昔の苦い思い出にばかりしばられて思い悩むこともあるけれど、