冬森灯のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表紙のカツサンドに惹かれて手に取った本書。
(最近“食べ物系”ばかり読んでいる気がするかも・・飢えているのか?私・・色んな意味でw)
東京・駒込の商店街にある、昔ながらのパン屋さん〈ベーカリー・コテン〉を中心とした悲喜こもごもなストーリー、連作四話が収録されております。
・婚約者とのすれ違いに悩む理央(第一話「まごころドーナツ」)
・就活がうまくいかず、落ち込む大和(第二話「楽書きカレーパン」)
・行方がわからなくなってしまった、大好きな“ミユキちゃん”に会いたい、中学受験を控えた花(第三話「花咲くコロネ」)
・〈コテン〉を引き継ぐことにしたものの、“自分らしいパン”への道を試行錯誤する、三代目・和久(第四話&表題作「縁結びカツサンド」)
・・と、いった様々な悩める人々が〈コテン〉のパンを食べて元気になったり、お客同士のふれあいの中で気付きを得て前向きになっていく、安定の“食べ物系鉄板ストーリー”です。
一応〈コテン〉が、登場人物達の交流のハブ的な場所にはなるのですが、〈コテン〉の三代目・和久自身が店の今後について絶賛お悩み中なので、各話ごとに和久が〈コテン〉の昔ながらの良さを残しつつ、新しさもある新作パンを考案して、それを食べた悩めるお客さんの抜け出すきっかけになると同時に、和久自身も一歩前進していくという、いわば“お客さんの悩みによって三代目も成長”していく・・みたいな感じですかね。
印象的なのは、第三話で小学生の花ちゃんと〈コテン〉の初代・喜八(通称:鬼八)お祖父ちゃん(の幽霊?)との会話シーンで、特に喜八祖父ちゃんが語る、
“誰にだって冬って季節はめぐってくる、辛いことがあっても、運命にノーと言わない強さが人を育ててくれる(簡略)”
“いいことも悪いことも、すべてが縁の結び目ってやつだ”
という台詞が、心に染みました。
この喜八祖父ちゃんの冒頭のお手紙がまたいい味出ているんですよね~。
一時は、新しくできたお洒落なベーカリーカフェに客を持っていかれてしまう〈コテン〉ですが、第四話の夏祭りの屋台出店で、思わぬアクシデントから作り出された「縁結びカツサンド」が大好評でお店もええ感じに上向いて、ハッピーな着地で良かったです。
と、いうことで、やっぱり、パンって幸せな気持ちにしてくれる食べ物だなぁ・・と思える作品でございました♪
どのパンも美味しそうでしたが、個人的にはカレーパン(色んな味があって楽しそう)と、カツサンド(最強でしょ)が食べたくなりました。
あ、結局作れなかった、“黒船ドッグ”も気になりますけどね~。 -
Posted by ブクログ
“うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。きりりと白髪をまとめた女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。
お店の名物は「料理おみくじ」。
今宵の食事も人生も。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。(あらすじより)
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料理が出てきて、読みやすくて、でも奥行きがあって、ストーリーがしっかり組み立てられている、まさに私好みの1冊。
短編ごとに主人公は違うけれど、みんなが繋がっていて伏線になっていて、最後はハッピーエンドという流れ。
心穏やかに読みたいときにぴったり。 -
Posted by ブクログ
タイトルから恋愛のお話なのかな〜と思っていましたが、人と人のいろんな縁を結ぶ人情味のある物語でした。心がじんわりあったかくなりました。とにかくパンが食べたくなった、、
商店街が舞台なので、だんだん廃れてしまっていくリアルな部分もちゃんと描かれていましたし、それでも自分たちらしくお店を続けていこうと、みんなで助け合って乗り越えていく姿に、元気づけられました。
新しいお店もいいけど、昔ながらのお店って人の温もりを感じるからいいですよね。実際に、この物語のように模索しながら続けておられる昔ながらのお店も、たくさんあると思うので、ずっと続けてもらえるように消費者として応援していきたいなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシェフとギャルソンが兄弟の、移動フレンチレストラン「つくし」彼らの世界一美味しい料理をお客様に提供することを自負している。彼らの行くところには必ず芸術がある。
料理の描写は絶妙、特にフルーツシャンパンの食前酒と前菜が食べてみたくて仕方がない。最前半部にあるとある牧場を舞台に描かれるパンの食し方も、読んでてよだれが止まらない。
ただ肝心の物語がちょっと残念。短編一つ一つは良い出来なんだけど、風呂敷を畳んでいくときに今までの物語がつながりにくい。謎の人物をおいかけるミステリー形式でもあるんだが、その謎解きも人物の正体ももうちょっと意外性が欲しかったし、そもそもの人物相関図が頭に入ってきづらい部分もあって。
こちらの期待が大きすぎたのと、ここ最近連作短編の傑作を読みすぎて舌が肥えすぎてしまっていたのもタイミングが悪かった。