あらすじ
レトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつの格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。 出てくる料理とお酒は絶品揃い。女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。 お店の名物は「料理おみくじ」。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。
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しあわせは、自分でつくるもの。
人にしてもらうものじゃない。
印象に残った言葉です。
どんなときも、食べることは続けなくてはならない。料理がほんとに美味しそうに感じる本です。
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この店に通っておみくじ料理引きたい。出てくる料理とその絵が美味しそうでお腹が空く。人との繋がりが温かくて、読んでてほっこり。うしろむき、って悪い言葉と思ってたけど、そうじゃないな、私には私の進んできた道があるからそれを振り返るのも悪くないって思えた。
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細い路地を何度も曲がってやっとたどり着く「うしろむき夕食店」は、二階建ての洋館に一枚の絵のように続く左右のステンドグラスの嵌め込まれた観音開きのドアの店。ドアを開くと、「お帰りなさい!」と、はじけるような笑顔の女将の志満さんと孫の希乃香さんが着物姿でお客を迎えてくれる。自分の勝手な想像だが、廣嶋玲子さんのふしぎ駄菓子屋銭天堂のイメージが浮かんできた。名物「料理おみくじ」には、ちょっとした言葉と料理名が書かれている。相手を想って作られたその料理が、とにかく美味しそう。それがお客の迷いや悩みの背中を押してくれることになる。五つの物語とおまけの一話は、だんだん面白くぐいぐい引き込まれていった。それぞれの話の登場人物が、その後の話にも登場して、それをつなぎ合わせて色々想像するのも楽しかった。
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あやごぜさんのレビューで知った本です。ありがとうございました。
この本の印象は、なんといってもハート型のエビフライ。イナコさんの装画に魅せられてしまいました。その他のお料理のイラストも思わず食べたくなるものばかりでした。
夕食店の店主、志満さんのお料理は、どれも気取ってないのにおいしそうなものばかり。彼女は、誰に対しても態度を変えない素敵な方でした。店員の志満さんの孫、希乃香さんが見送ってくれるときの「いってらっしゃい、明日もいいお日和になりますように」という言葉には、さりげない心遣いが感じられました。
おみくじでオーダーされた五つのお料理に込められた言葉は、その人のことをさりげなく後押ししてくれるものでした。最後の〈おまけの小皿〉の物語は、これからのうしろむき夕食店の始まりが描かれていて、みんなの笑顔が溢れていました。
うしろむきではなく、前向きにさせてくれるお店は、「相手を思うこと」で頑張っている人をそっと後押ししてくれていました。
とても優しい物語でした。
〈お品書き〉
一の皿
願いととのうエビフライ
二の皿
商いよろしマカロニグラタン
三の皿
縁談きながにビーフシチュー
四の皿
失せ物いずるメンチカツ
五の皿
待ち人来たるハンバーグ
おまけの小皿
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心温まる5つのお話ご書かれている。
店主と孫のお店に行ってみたいなぁと思うほど、素敵な店主とお客様。
とても読みやすくて面白い本でした。
『全てが巡り合わせ』いい言葉です。
心に染みる本でした。
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うしろむき食堂の常連さんのお話が短編で描かれています。お客さん同士が、うしろむき食堂以外の場所で少しずつ絡んでいて『世間は狭い』とはこういうことを言うのだなと思った。
皆いい人で個性的。
人生上手くいかないことも、通り過ぎてからふと振り返ってみると、それがあったからこその今なのだ,無駄じゃなかったじゃないか、ってなるよなぁとしみじみ。おばあちゃんと話せるお店,いいなぁ。
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一見さんは何故かなかなか辿り着けず不思議な何かに導かれる、悩みを抱えててもおみくじ料理を食べれば前向きになれる「後ろ向き夕食店」。
何事も考えようってことに尽きるんだけど、美味しそうな料理と少しずつ前向きになる様子は、実は私たちの身近にある日常に他ならない。
家族にもっと美味しいものを作ってあげたい、それが少しでも元気の栄養素になったら嬉しい。今日はいつもより心を込めて夕食を作ってみよう。そんな気持ちになりました。
「縁談きながにビーフシチュー」の話が一番好きだった。
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うしろむき夕食店は人生に躓いたり挫けそうになった人々がそこのお食事を食べることで前向きになっていくという優しいお話でした。幸せというのは誰かから与えてもらうのではなく自分で作り出すものというメッセージが響く。
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うしろむき夕食店?
なに?
どんな本なの?
と、???な気持ちで手に取った。
読後感
なかみは後ろ向きではなく、前向きでした。
美味しいものを食べると、人は幸せになるんだね
もちろん美味しいだけでなく、料理を作る人の心がこもっていることが大事ですがね。
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大きな特別なきっかけを与えるわけではなく、お店を訪れた人達が縁やタイミングを自分で感じ選び取って良い方向に向かって行く。周りの人との繋がりが温かいし、美味しそうな料理の描写もあわせて終始ほっこりと読めてとてもよかった。おみくじで料理を選ぶなんて素敵。
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手にしたきっかけは、なんと言ってもこのおいしそうな表紙ですよね!エビフライがハート型なのも、ビールが添えられてるのもたまらないっ!( ^_^)/□☆□\(^_^ )
都心から私鉄で20分、最寄り駅から徒歩10分ほどの場所にある「うしろむき夕食店」…その素敵なお店の雰囲気、提供されるお料理とお酒、お料理のおみくじ、そして来店者を「おかえりなさい」と迎えてくれると評判のお店。ここを訪ねるお客さんとお店を営む志満さんと孫娘の希乃香ちゃんのストーリー。
こんなお店が近くにあったらいいなって、この手の作品読むと必ず思いますね…!おいしいお料理食べたあとってみんな笑顔になって、幸せな気持ちになって、よし明日からも頑張ろうって思えますもんね♪
作中の志満さんの『人生に失敗なんて、あるものですか。そのときどきでうまくいかないことがあっても、それは失敗じゃなく、めぐりあわせですよ。仮にうまくかないのなら、その場所はうまくいくための経由地なの。時間が経てば、それも必要な経験だったと思えます。アタシはね、ひとの未来はすべてしあわせにつながっていると信じていますよ。』この言葉、いいですよねぇ…!登場人物だけでなく、読んでいるこっちまで、ポジティブになれる作品だと思いました。
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都心から少し離れた場所の少し分かりにくい路地裏にある「夕食店シマ」。別名は「うしろむき夕食店」。
そんな隠れ家的なこぢんまりしたレストランを舞台にしたヒューマンドラマ。
本編が「一の皿」から「五の皿」までの5話と、エピローグにあたる「おまけの小皿」の計6話からなる。
◇
店主は志満さんという高齢の女性。志満さんは元芸者だけあって客あしらいが上手く、出てくる小料理もしゃれていて見事だ。
給仕を担当するのは、希乃香という20代の女性。志満さんの孫娘で明るく元気で店のムードメーカー的存在だ。
ひとときの安らぎを求め、今夜も悩みを抱えた人が引き寄せられるように店を訪れる。
* * * * *
路地裏のわかりにくい立地。
迷いつつもなんとか近くまで行くと猫が案内に立ってくれる。
気の利いたちょっとした料理やさり気ない店主のことばで、行き詰まりを感じていた客の気持ちがほぐれていく。
という設定で、古内一絵さんの『マカン・マラン』によく似た雰囲気です。各話で主人公が違い、その主人公が店での食事をきっかけにして悩みを乗り越えていくという展開も同様です。
全体的に悪人は登場せず、それぞれが互いに少しずつ思いやりながらうまく融和していきます。だから、読んでいて安心できます。
そして物語を動かす重要な小道具が、店のオススメである「料理おみくじ」。
おみくじにはなにげないひと言と料理名が書いてあり、それを客が自分で解釈することで悩みから解放されていきます。
青山美智子さんの『猫のお告げは〜』でも使われていた手法で、読者に思わず展開を考えさせてしまう、うまい手だと思います。
気に入った話は第2話。こういう流れが大好き。それに第5話の収拾のつけ方も好みにぴったりでした。
最後に作品タイトルについて。
悩んだときは、自分の歩んできた道を振り返りましょう。これまでの自分ができてきた多くのこと。それを見返してみれば、悩みから抜け出す何かが見つかりますよ。
だから「うしろむき」は悪いことではありません。その姿勢は1日のなかでも大切なことなのです。
作品を貫くそんなテーマがよかった。常に前しか向かないというのはしんどいと思います。
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ちょっと不思議な食堂「うしろむき夕食店」が舞台の連作短編集。
「うしろむき」はネガティブな意味ではなく、レトロなお店で昔を懐かしんだり、過去を振り返って歩んできた道を確かめたりして、前に進む力をくれるお店。一日の終わりに、「おかえりなさい」と迎え入れられて、「いってらっしゃい」と送り出される。
各ストーリーの主人公は別々の人だけど、直接または間接的に少しずつ繋がってる人たち。それぞれ仕事で悩んでいるなど、人生に帰路に立っている。
どのストーリーも主人公が初めてお店を訪れるところから始まる。一人称で語られるストーリーで、お店の構造や調度品の説明がされるけど、みんな同じものを見ているのにそれを表現する言葉が違うのが面白かった。例えば、磨き込まれた赤茶色の木の家具を「うなぎのタレを思わせる色」「みたらし団子」「紅茶みたい」など…
「乾杯」のグラスがぶつかる音やお酒の香りの表現も、それぞれの主人公の思いが込められていて、印象的だった。
一日一日を大切に生きて、それが積み重なれば、うしろを振り向いた時に、自分にしか歩けなかった人生が見える。
一日の最後に食べる夕食や、寝る前の一杯の飲み物が、その日を生き抜いた証となるように…
夕食店店長の志満さんの言葉に、頑張って働いた一日の終わりの過ごし方を豊かにしたいと思った。
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和服姿の祖母と孫が切り盛りする「うしろむき夕食店」には常連客に愛され、口コミで訪れるお客さんに気に入られる居心地のいいお店。近所にすむ農家の新鮮野菜がおいしそうすぎて私も常連になってみたい。
※人生に失敗なんて、あるものですか。そのときどきでうまくいかないことがあっても、それは失敗じゃなく巡り合わせ。仮に上手くいかないのなら、その場所は上手くいくための経由地なの。時間が経てば、それも必要な経験だったと思えます。
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美味しそう。ちゃんと食材を選んで、YouTube見ながらじゃなく、食べる人のこと思い浮かべてご飯作って、テレビ見ながらじゃなくてちゃんとご飯食べたいと思った。
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ハート型のエビフライに目が釘付けとなって、手に取った本書。
女将の志満さんと、孫娘の希乃香さんが切り盛りする〈夕食店シマ〉・・通称〈うしろむき夕食店〉を巡る連作五皿(話)&おまけの小皿が収録されております。
〈うしろむき夕食店〉なんて呼ばれていますが、決してネガティブな意味ではなくて、そのレトロな外観と居心地の良い内装で昔を振り返る気分になるから・・という意味でついた通称との事。
内容的には、"ハートウォーミング系料理店もの"ならではの、悩みを抱えていたり人生に行き詰った人達が〈うしろむき夕食店〉を訪れ、温かい接客&とびきり美味しいお料理に癒されて元気をもらう・・という安定の流れで、ある意味期待通りのほっこり展開でございます。
面白いのは「料理おみくじ」なるもので、白木の三方に積み上げられた"おみくじ"を引くと、そこには料理名とともにひとこと添えてあるというもの。
「願いととのうエビフライ」
「商いよろし、マカロニグラタン」
等々・・
なんて、ちょっとワクワクするオーダー方法ですよね。
(あ、ちゃんと"普通のオーダー"もできますので、ご安心を!)
勿論、お料理描写もめっちゃ美味しそうで、私も〈うしろむき夕食店〉を訪れて「料理おみくじ」を引きたくなっちゃいました~。
ということで、タイトルに「うしろむき」なんて入っていますが、前向きな気持ちになれるストーリーでございました。
因みに、「二の皿 商いよろし、マカロニグラタン」で、紅谷先生が"駒込のうまいカツサンド・・"と言うていたのって、同著者の『縁結びカツサンド』の"あのパン屋"のことですよね?!
こういう"こっそりリンク"を見つけると、やたら嬉しくなって、また冬森さんの別の著書を読みたくなってしまうんですよね・・てか、これってまんまと戦略に嵌っているってこと?( ゚д゚)ハッ!
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仕事や日時生活で躓いた時に、ふと出かけたレストラン『うしろむき夕食店』で食べた料理やレストランのスタッフ達とのふれあいで、前に進むことができ事態が好転していく。
ひとつひとつは短編なんだけど、登場人物達が後の方の物語にも顔を出し、最終話にはオールスター勢揃い。
この本には限らないんだけど、最近の小説は登場人物達の名前の読み方が難しくて、一度では覚えられず、登場人物が多くなると頭の中が大変なことに。^^;
そんなに難しい名前にする必要あるのかな?と頭の中が疑問だらけになり、物語に集中出来ない。
それならそれで、フリガナをずっと付けて欲しいと思う。
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遊園地ぐるぐるめもさっき投稿。
そして同じ感想だけど、
こういうオムニバスが好きで、
最近よく手に取ってるからか、
いいんだけど、特に残らずさらっと終わってしまう。
物語だから、やっぱり最後はいい方に進んでいくのが
現実って、そんなに甘くなくね?
とか思ってしまうのは
読む側の自分がちょっと疲れてて
荒んでるからかな…
なんか否定してしまったけど、
人物設定もかわいいし、読みやすいし、
よい作品だとは思います
Posted by ブクログ
隠れるような分かりづらい場所で営業しているレストランに、なんらかの悩みがある人が立ち寄り、美味しいご飯とお店の人の言葉に勇気づけられる系のお話
前の話の人となんらかの繋がりがある人次の話のお客さんで、なんやかんやみんな顔見知り、みたいな感じの、わりとよくある話
おみくじで料理を選んで、そのおみくじの言葉がきっかけってところが独自性かな?
必然より偶然の巡り合せがテーマっぽい
お料理は凝った料理ってより馴染みある系で美味しそうだった
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「うしろむき夕食店」というなんとなくマイナスイメージのタイトルと、装丁の柔らかさとのギャップが気になり読んでみた。
サプライズもあり、前向きになれるお話の数々に温かい気持ちになりました。
Posted by ブクログ
温かくて美味しそうなお話でした。
それぞれみんな、
いろいろ人生につまづいたり、
迷ったりした時に、美味しいご飯と温かい会話があれば、
少し進む道が見えたり前向きな気持ちになっていたりするものです。
この本のお料理は、本当に、
とても美味しそうで、出来たてのにおいが漂ってくる感じが食欲をそそります。
おみくじの言葉の後押しもみんなの気持ちをほんの少し温かく灯してくれて…。
登場人物も個性豊かで、魅力的な人ばかり。
隠れ家的なこういうお店に私も出会えたらいいなぁと、心ほんわかじんわり温まりました。
Posted by ブクログ
こんなお店が近くにあったら絶対通うなあ
どのお料理もお酒も美味しそう
悩んだ時はうしろむきになって、自分の歩んできた道を信じようと思う
幸せは自分でつくるもの!
Posted by ブクログ
“うしろむき”なんて名前だけど、出てくる料理とお酒は絶品揃い。きりりと白髪をまとめた女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。
お店の名物は「料理おみくじ」。
今宵の食事も人生も。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。(あらすじより)
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料理が出てきて、読みやすくて、でも奥行きがあって、ストーリーがしっかり組み立てられている、まさに私好みの1冊。
短編ごとに主人公は違うけれど、みんなが繋がっていて伏線になっていて、最後はハッピーエンドという流れ。
心穏やかに読みたいときにぴったり。
Posted by ブクログ
安心して読める一冊。
美味しそうな料理と優しい人々。
五つの短編はうしろむきになってる人が、最後にはうしろむき夕食店のおみくじのように幸せになってくれる。
ほっと一息したいときに読むと良いかも。
Posted by ブクログ
お仕事小説、短編集って感じ。
お仕事に疲れたときに
立ち寄りたくなる食堂、
ってコンセプトなんだろうけど、
仕事の描写が多すぎて
でもあまり惹き込まれなくて、
途中で読むのをやめました。