【感想・ネタバレ】うしろむき夕食店のレビュー

あらすじ

レトロな洋館に、ステンドグラスの嵌め込まれた観音開きの扉。ドアの両側には二つずつの格子窓。そこから見える満月のような照明と、おいしそうな香りが漂ってきたら間違いなし。そこが「うしろむき夕食店」だ。 出てくる料理とお酒は絶品揃い。女将の志満さんと、不幸体質の希乃香さんが元気に迎えてくれる。 お店の名物は「料理おみくじ」。いろいろ迷ってしまうお客さんに、意外な出会いを与えてくれると評判だが――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっと不思議な食堂「うしろむき夕食店」が舞台の連作短編集。

「うしろむき」はネガティブな意味ではなく、レトロなお店で昔を懐かしんだり、過去を振り返って歩んできた道を確かめたりして、前に進む力をくれるお店。一日の終わりに、「おかえりなさい」と迎え入れられて、「いってらっしゃい」と送り出される。

各ストーリーの主人公は別々の人だけど、直接または間接的に少しずつ繋がってる人たち。それぞれ仕事で悩んでいるなど、人生に帰路に立っている。

どのストーリーも主人公が初めてお店を訪れるところから始まる。一人称で語られるストーリーで、お店の構造や調度品の説明がされるけど、みんな同じものを見ているのにそれを表現する言葉が違うのが面白かった。例えば、磨き込まれた赤茶色の木の家具を「うなぎのタレを思わせる色」「みたらし団子」「紅茶みたい」など…

「乾杯」のグラスがぶつかる音やお酒の香りの表現も、それぞれの主人公の思いが込められていて、印象的だった。

一日一日を大切に生きて、それが積み重なれば、うしろを振り向いた時に、自分にしか歩けなかった人生が見える。

一日の最後に食べる夕食や、寝る前の一杯の飲み物が、その日を生き抜いた証となるように…

夕食店店長の志満さんの言葉に、頑張って働いた一日の終わりの過ごし方を豊かにしたいと思った。

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2023年04月30日

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