柳広司のレビュー一覧
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購入済み
旧日本軍が苦手とした諜報もの
史実では、ゾルゲ事件や紫暗号解読など旧日本軍は諜報戦を苦手とした と 一般的に言われている。
この小説はそこを逆手にとってこんな諜報機関があったのだ という視点で書いている。
現在、歴史として記録に残っていないのはその諜報機関(D機関)がうまく機能したことの証拠である と空想してしまいそうなほど良くできた小説である。
今の日本における諜報活動にも思いをはせそうな小説。 -
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再読。
D機関シリーズ第3弾です。
そして、私はこの第3弾が1番好き。
全5編(うち2編は「暗号名ケルベロス」の前後篇)あって
どの話もとにかくクオリティが高い。
その中でも1番好きなのは「誤算」かな…。
どう読んだって任務の"失敗"だと思うことの連続、
それが全部誤算ではなく計算つくされて
起きた事象だったという話。
D機関のスパイ達、というか結城中佐の抜かりなさが
度肝を抜くレベルです……。
「失楽園」もすごくスマートなどんでん返し的話だし、
「追跡」も信じてたものがひっくり返される。
全編通して全く展開が読めないのが面白いんだな…
はーーー本当大好きです。
ジョーカー -
ネタバレ 購入済み
極限
圧倒的なスリルと冷酷さにとらわれ,どんどん読み進めてしまう。
自分とかけ離れた能力の人達が生きる,非日常の世界。
決してハッピーなストーリーではないけれど,終わらせ方が,嫌いじゃない。 -
Posted by ブクログ
いったい誰が悪いのか。
私立探偵・フェアフィールドは記憶を失った囚人・キジマとともにプリズン内で起こった毒殺事件を追う。探偵がワトソン役とは面白い。最後はちゃんと探偵も探偵するけど。
推理小説だけど、反戦小説の色が強い気がした。
二転三転もする展開。あの人が実は犯人では……という予想が実際そうだったときの悲しさは、予想通りだったつまらなさではなく、そうでなければ良かったのにという思いから。
主人公がアメリカ人でも日本人でもなくニュージーランド人なので、客観的に当時の日本を見れた気がした。
「ジョーカー・ゲーム」で興味を持った作家さんだけど、これも映像化してほしいな。ミステリとして楽しみながら、 -
Posted by ブクログ
全3巻。
霜月さんの絵が好きでそこから見つけた漫画。
面白かった。すんごく。
ドキドキ。
ジョーカー・ゲームっていう原作があるんだー。そっちも読んでみたいなぁ。
「天皇が生きた神だと、日本人が平気で口にするようになったのはいつからか知っているか?
…10年。
20歳そこらの貴様にとっては大昔に思えるかもしれないが、たかが10年前のことに過ぎぬのだ。
そのような同語反復(トートロジー)で仕込まれた今の天皇のあり方を問うて何がおかしい?
貴様が何を信じていようが構わん。
シャカだろうがキリストだろうがイワシの頭だろうがな…
ただしー
それが本当に自分の頭で考えた末に信じたものならばだ。」
「 -
Posted by ブクログ
内容説明
D機関、暗躍す。
「Dの魔王」堂々完結巻となる本作。
昭和13年、戦局はますます不安定な様相。
陸軍内でも特殊諜報機関の有用性が声高に論じられる。
必然的に陸軍諜報員養成所[D機関]の精鋭スパイ達は、
陸軍の“闇"を担う存在としてさらなる責務を果たすこととなる。
然して、その“闇"は、常人には、複雑で、歪で、狂気だった。
悲しきD機関のスパイの生き様を描く第3集。
霜月かよ子さんの絵が好きだったので3巻続けて買いました。
原作の小説を読んだことがなかったので、絵の綺麗さからその世界観に引き込まれて読み続けたけど、スパイとしての技術や能力を魅せた1巻、彼ら -
Posted by ブクログ
まるで、いつもの挨拶を交わして一日が始まるかの様に物語の幕は開く。
(あぁ、いつもどおりの朝じゃないのに…)
(この後、悲劇が待ってるんだ…)
胸はドキドキ。
でも、物語はあくまで淡々と進んでいく。
それぞれのタイトルからは
お馴染みのストーリー展開と、オチをついつい想像してしまう。
>ろくろ首 >耳なし芳一 >雪女 …
答え合わせのように、
現在進行形の物語の上に、解答を重ねるような読み方にはなってしまうとは思うけど…
怪談とは不思議なものだ。
そのうす暗い道を行くのなら、待ち受けているのは『悲劇』だとわかっていても、歩きだしてしまう。
かつて、何度も歩いた事のあるはずの道だとし -
Posted by ブクログ
ネタバレ目次
・合言葉は”パンとペン”
・へちまの花は皮となるか実となるか
・乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦
・小さき旗上げ、来(きた)れデモクラシー
語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。
そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。
次の仕事が見つかるまで、売文社で半分居候のようになりながら、世の中のことをいろいろと勉強していく。
世間や政府やマスコミが言うことが無条件で正しいのではなく、自分の目で見て、角度を変えて見直して、本当にそ