柳広司のレビュー一覧

  • ラスト・ワルツ

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    80年も前の第二次世界大戦頃の世界を暗躍するスパイ組織の話しではあるのに、なぜか今まさに現代の話であるかのように感じる。歴史は繰り返すのか?! 
    もちろんフィクションではあるけれど、『今』を切り取る鋭いストーリーに引き込まれた。どうか世界が平和に向かいますように…3.2

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    2023年05月25日
  • ラスト・ワルツ

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    ネタバレ

     ワルキューレとアジア・エクスプレスの二つの物語はメディアの本質を語ってくれる。まず前者では、ナチスドイツが実際に用いたプロパガンダを取り上げている。具体的な手法を知りたい人は『わが闘争』(角川文庫)や『ヒトラー演説』(中公新書)などを読むといいが、この話を読むと、人は無意識のうちに報道側の思想に染まること、人が音楽と映像によって理性を失ってしまう恐ろしさがわかる。
     後者の話に関して、本編のp296とp299で情報の扱いに対する苦労が描写されている。この話で鍵となる伝書鳩は、諜報活動が盛んであった当時、欧州において意外な活躍をしたとある。電信通信による傍受を防ぐために、あえて古典的なやり方で

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    2023年04月29日
  • パラダイス・ロスト

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    ネタバレ

     『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第三弾。「誤算」と「暗号ケルベロス」は既にアニメ化されているが、小説版のほうが心情描写が細かく、はっとすることが多かった。今回も諜報活動に勤しむスパイたちの行動にハラハラしたが、それと同時に日本陸軍の言動が目に余り、とりわけp251〜253の描写が象徴的だ。ドイツが発明した暗号機エニグマの誕生によって世界情勢に衝撃をもたらした。しかし、それを受けた陸軍は日本語の言語的特徴や構造を過剰に特別視したせいか、エニグマが誕生して間もないころは何とも思わなかった。その後日中戦争の泥沼化から日本独自の暗号を開発するように至ったが、それでも「絶対に」不可能と、根拠なき謎の信条

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    2023年04月24日
  • ダブル・ジョーカー

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    ネタバレ

     今回読んだ物語の多くがアニメ化されていないが、どの話も常に緊張感がある展開で面白く読めた。本作最初の話である『ダブル・ジョーカー』p12は、岡崎久彦『戦略的思考とは何か』(中公新書)で指摘された内容が如実に反映されている。それは日本が日清戦争と日露戦争で勝利した経験から根拠なき自信をつけてしまい、反省を怠ったことである。それが今回の話のように、諜報活動が重視される現状の世界情勢を無視して、組織が膠着状態に陥る。 
     スパイとは周囲から関心を寄せないように工夫を凝らさなければならないと前作でも再三言われてきたが、本作の後半に収録される「ブラック・バード」を読むと、スパイとは平時だからこそ役目を

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    2023年04月24日
  • パラダイス・ロスト

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    ネタバレ

    安定の面白さ!
    魔王の正体がどんどん暴かれていって、、、暴かれてしまうー!!!と、読者がヒヤヒヤしている間に
    それも全て仕込まれていた話だった。
    用意周到もここまできたら
    本当に何を信じていいのか、わからなくなってくる。
    本当にこんな人物がいたら
    すごく孤独なんだろうな。
    孤独に打ち勝てるタフすぎる心。
    いや、孤独なんて魔王にとっては感じないのかもしれない。

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    2023年03月22日
  • ダブル・ジョーカー

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    ネタバレ

    やっぱり面白い。
    前作よりも、スパイの危機的瞬間が描かれていた気がした。
    いつなん時も自分を曝け出せない孤独の中に生きているんだなあ。

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    2023年03月19日
  • ダブル・ジョーカー

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    ちょっとダークな話もありますが、何となくスカッとする不思議な感じです。D機関が無双するのがヒーロー戦隊ものとかプリキュアを見る感覚に近いのでしょうか。スリルと安心感が短編で味わえるのでお得ですね。

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    2022年11月26日
  • パラダイス・ロスト

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    お馴染みの世界観であらたなD機関のメンバーが暗躍する。今回は魔王の若かりし日が暴かれる逸話がなんとも新鮮!それも必要以上に晒さないところがまた分かり易い狙いであっても、じつに憎らしい笑。まさにチラ見せ!シンプルにこういうのに弱いのは人たる本能か笑笑

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    2022年11月08日
  • ダブル・ジョーカー

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    1作目に続き相変わらずの世界観。D機関のメンバー達のそれぞれの暗躍が短編集として描かれているため読みやすくもある。さて、この物語はこのあとどんな山場を迎え、どんなエンディングを迎えるのだろうか。

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    2022年11月03日
  • はじまりの島

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    かのチャールズ・ダーウィンが連続不審死を解明する物語
    歴史上の舞台で歴史上の人物が名探偵になる設定はこれまでにもあったようだが、初めて体験してみて面白かった。
    歴史と創作の融合で新しい世界が体験できた

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    2022年10月31日
  • ラスト・ワルツ

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    戦時中の時代のスパイ短編集です。
    登場するスパイたちはクールで殺伐としていますが、その活躍の舞台は、舞踏会の夜のように華やかさを感じさせたり、アジア・エクスプレスのように旅情を感じさせたりして、なかなかニクい演出です。
    舞踏会の夜のスパイはズルいなあ。あれはコロッといってしまいそうだ。

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    2022年09月02日
  • パラダイス・ロスト

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    何年ぶりかの読書。息子が2歳になったしそろそろ自分時間を作ろうと積読してた一冊。
    ジョーカーゲーム、昔読んだような気がするけど結構忘れてて、それでも興奮して読めた。

    スパイものは回収がきもちいいな。
    結城中佐の生い立ちに触れたところなんかも見どころ。短編ってもともと苦手だったけど、最後の二篇は前編後編になっているし、結城率いるD機関が関わる短編だからギュッと人間模様が詰まっていた感じだった。

    軍国時代背景がすごく緻密で丁寧だから読書慣れしていない自分がざっくり手を出しても一読で楽しかった。子育て中につきなかなか一気読みは難しいからとびとびになりがちだけどもう2、3回集中して楽しみたいところ

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    2022年08月17日
  • ラスト・ワルツ

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    D機関にしてはなんだかちょっと優しかったり、詰めが甘かったりして、違和感があった。

    それはそういうことでしたか!

    いや〜裏切りませんな!
    いや裏切るんですけどね。

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    2022年08月08日
  • 百万のマルコ

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    何が『百万』と思い、蓋を開けると面白い話が次々と出てきます。
    イタリア好きの私には、登場人物の設定から興味津々で(名前・出身) 、毎回の話に笑いを抑えながら楽しめました。

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    2022年06月07日
  • トーキョー・プリズン

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    ジョーカーゲーム以来いつか読もうと思っていた一冊
    二本のメインストーリーがどう絡むのかな、と読んでいたが一応落ちが着いており面白かった
    舞台となる「戦争」について、読み手として辛くなるくらい筆者がきちんと向き合い書き込まれており良かった
    若い人に読んでもらいたい

    自由の反対は義務、ではなく責任

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    2022年06月04日
  • 百万のマルコ

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    「百万の」とはホラ吹きのこと。ジェノヴァの牢に囚われたヴェネチアのマルコ・ポーロと、物語作者ルスティケロとの出会いにより邦題『東方見聞録』が著された史実を基にした物語。ホラ吹きマルコという別名を持つことを知って本書を入手した。各話は、事実と虚構が入り混じった世界で、持ち前の機知、頓智によって切り抜けるもの。それは世界各地に伝わる落とし噺の集大成と言えなくもない。「四面楚歌」や大岡裁きのように、中国の故事に出典を求められるものも多そうだが、マルコの創作力とルスティケロの編集力が抜群だったのだと思えた。

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    2022年05月19日
  • ダブル・ジョーカー

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    ジョーカー・ゲームの続編、「ダブル」の示すところは第二のスパイ組織との対峙。前作と比較してかなり高度な物語構成になり、難解なところもありつつ、読み応えあった。

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    2022年04月17日
  • ダブル・ジョーカー

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    柳広司による戦前のスパイ小説・第2弾。

    舞台が海外になり、時代も太平洋戦争となり、D機関がよりリアリティを感じた。

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    2022年02月28日
  • トーキョー・プリズン

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    ネタバレ

    「メリークリスマス、ミスターローレンス!メリークリスマス!」

    上記のセリフは映画「戦場のメリークリスマス」のラストシーンですが、本小説は明らかに戦メリを意識していますね(笑)
    本小説のラストは戦争が終わって20年が経っており、社会情勢としては「戦後」がようやく一段落して次のステージに歩みかけてる時期なのだとおもいます。
    その象徴がキョウコなのであり、キョウコに「メリークリスマス!ミスターフェアフィールド」と言わせるあたりは作者(というより兄イツオが述べていた)の「自由と責任」を体現させているようで心地よかったです。

    小説の中の謎解きである、連続自死案件、キジマの戦犯容疑それに伴う記憶喪失案

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    2022年02月26日
  • ラスト・ワルツ

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    シリーズ第四作。舞踏会でワルツを踊る結城中佐。まさかのロマンス?そんなはずなく、やっぱり任務を果たしてました。続編でないかな。

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    2022年01月10日