柳広司のレビュー一覧

  • ダブル・ジョーカー

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    「ジョーカー・ゲーム」を越えはしなかったものの、好きなシリーズには変わりなく、短編ということもありサクサクと読めた。
    前作はD機関の人の話が多かったが、今回は誰がスパイなのか予想しながら読むのが楽しかった。
    スパイということもあり、全員が全員かっこよくやってやった!とはならず、不慮の事故やトラブルに巻き込まれることがリアリティを感じて、存在を否定出来ないなと思わせた。

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    2025年12月22日
  • パンとペンの事件簿

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    ネタバレ

    目次
    ・合言葉は”パンとペン”
    ・へちまの花は皮となるか実となるか
    ・乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦
    ・小さき旗上げ、来(きた)れデモクラシー

    語り手のぼくは織物工場で働いていたが、工場主が変わり、労働時間が長くなったにもかかわらず賃金が下がったことなど、雇用状況の不満を訴えようとして、逆にお抱えヤクザにぼこぼこにされる。
    そこを助けてくれたのが、堺利彦をはじめとする売文社の面々だ。

    次の仕事が見つかるまで、売文社で半分居候のようになりながら、世の中のことをいろいろと勉強していく。
    世間や政府やマスコミが言うことが無条件で正しいのではなく、自分の目で見て、角度を変えて見直して、本当にそれでいいのかを考える堺利彦や大杉栄たち。

    もちろんノンフィクションではないけれど、彼らの業績は史実に沿っている(多分、わりと)。

    社会主義者よりももっと危険視されていた民主主義者。
    ところが、第一次世界大戦に紛れ込んで利益を得るために日本政府が掲げたのが「デモクラシーを守る戦い」。
    これによって日本政府は、民主主義者を弾圧することはできなくなった。建前上は。

    息苦しくなっていく世の中で、24時間警察の監視下にあってなお、明るく飄々と生きる彼ら。

    ”社会主義の本当の担い手は、きみたちだ。(中略)労働者や小作人が主体となって、自分たちが望ましい社会へと変えていくのが本当の意味での社会主義だよ。(中略)僕たちがやっているのは本物の社会主義じゃない、所詮はインテリの道楽だ。(中略)道楽は道楽でも、命懸けの道楽もあるさ」

    最後、ぼくは就職が決まって売文社を去るのだが、その後について書かれることがあるかもしれないらしい。
    大杉栄のその後は知っているから、読みたいような読みたくないような…。

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    2025年12月20日
  • パラダイス・ロスト

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    スパイ作品が本も映画も好きなので読み始めたシリーズです。
    「ジョーカー・ゲーム」の第3弾ですが、このシリーズの好きなところはスパイが仲間とって訳ではなく孤高のスパイとして物語が進む面白さをどの作品も味わえるので好きで読みやすいです。

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    2025年12月19日
  • パンとペンの事件簿

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    大正デモクラシーの時期の堺利彦ら社会主義たちの時代に立ち向かいつつもおおらかに不屈に生きてきたことを描き出した良作。
    どんな無理難題の文書依頼もペン一本で解決してみせる実在した堺利彦と「売文社」一味″をめぐる物語。
    とかく暗く描かれがち思える題材を
    ユーモアたっぷりに描き出し生き生きとした人間として描き出していて楽しめました。

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    2025年11月05日
  • パンとペンの事件簿

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    この作家の書く大正時代からの話はジョーカーゲームを始めほぼ好きな作品ばかりで今回も裁判の話以外楽しく、そして編集長に振り回されながら時代を駆け巡るがごとく自分も一緒にいるような感覚に久々にこの世界に入ったと小学生の時の物語に入り込んでいた読書を思い出す。
    最近戦争の話ばかりだったので心が枯渇していたのかも。ジョーカーゲームを再読したくなった。

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    2025年10月28日
  • アンブレイカブル

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    小林多喜二、鶴彬、横浜事件、三木清など歴史の勉強では一行登場するかしないかの人達。でも、実際に生きていた人達の生きた証が、特高警察幹部の視点から語られるのが面白い。もうこんな時代には戻りたくないけど、そこに向かって時代が巡り始めているようにも感じてしまい少し怖くなった。『ジョーカーゲーム』シリーズも読み直そうかな。

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    2025年09月05日
  • パンとペンの事件簿

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    ジョーカー・ゲームが非常に面白かった印象の筆者は柳広司さん。今回は、少し時間を遡戦時中の日本が設定、なんでも文章にすることであればおまか絵sを。さて、その中で、いくつかの事件が起きる。そこに巻き込まれた、何も知らない男が主人公となり、ちょっとずつ、その能力を発揮し始める。というストーリーである。
    短編型でまとめているが、その細部はまっすに全体の物語の方向性に合う形に変尿していくところが、非常に面白い。

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    2025年08月01日
  • パンとペンの事件簿

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    ネタバレ

    3.8くらい。


    「合言葉は“パンとペン”」
    売文社にどう流れ着いて、売文社がどう問題を解決するか、その手口を見せる話。
    オーディブルに先行した作品のせいか、音で聞くと良さそうな構成となっている。

    「へちまの花は皮となるか実となるか」
    暗号解読の話。荒畑寒村と大杉栄の紹介がメインでもある。

    「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」
    堺の娘の真柄も史実では活躍した人らしく、なるほどなという感じ。青踏とも関わりがあったのが面白い。
    事件とその解決も簡単なものだけど、当時の女性が置かれた状況を端的に示していて良いエピソードだった。

    「小さき旗上げ、来たれデモクラシー」
    山崎今朝弥という弁護士の紹介。立て板に水でさらさらと弁論を駆使するのが心地よくて面白かった。


    前に読んだ「アンブレイカブル」よりも話は軽くて、けれど思想はたっぷり入ってる感じ。
    ジョカゲを期待するとがっかりすると思う。ジョカゲよりめちゃくちゃ軽い。視点が10代の何もわからない青年のせいもあると思う。
    明治時代の社会主義とはどんな思想でどんな人間がいて、どんな世相だったか知る入門としては良かった。


    ちょっと気になったのが、大逆事件で粛清され、大っぴらに活動出来ない雰囲気がありながら、仕事をしつつ、けれど司法の公平性や警察の横暴さが控えめであることを信用している感じに違和感。
    第一次世界大戦中であり、大逆事件の処刑が1911年1月で、それから4年後だから、1915年の話か。

    治安維持法と普通選挙法の1925年までこんな雰囲気だったのかな、と想像。

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    2025年07月26日
  • ラスト・ワルツ

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    ジョーカーシリーズ好きだったんだけどこれで終わりなのかな?1作目の感じが1番好きだけど、やっぱりこれも安定して面白い。続編に期待!

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    2025年07月18日
  • パンとペンの事件簿

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    明治を舞台に一つの主義主張を持った人たちが権力に対してペンを取る。大手のA新聞社もまだまだ本来の力を見せていた時代。貧しい青年を通して、権力と民衆の闘争を軽妙に描いた作品だが、自作があれば権力者の横暴と残虐さを描いて、それが今も続いている点を書いて欲しいな。

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    2025年06月28日
  • ラスト・ワルツ

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    「ジョーカーゲーム」シリーズ第4弾。
    最終巻。
    これも読み易くて面白い。
    D機関のスパイは優秀だ。
    全編を通して読んで良かった。

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    2025年06月21日
  • パンとペンの事件簿

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    テーマは微妙に重いが柳さん特有のエスプリの効いた軽快な語り口は非常に読みやすかった。この物語の登場人物達は一部、思想的に尖った人もいるが政治形態に拘ること無く、人間が人間らしく生きる事を求めており、好感が持てる。ひるがえって、現代の様相を考えてみると体制側も改善を求める側も社会の複雑化に伴い、背後に広がる複雑な利害関係を勘ぐってしまう有様だ。社会の複雑化とそれが可視化されてしまった事で優柔不断な私はモノゴトの白黒を付けることが出来なくなった。
    まあ、自分でも何を言っているか分からなくなったが柳さんの世の中に対するスタンスは、年を取って保守的になった老人でも受け入れられるバランスが取れたものだと思う。

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    2025年06月15日
  • パラダイス・ロスト

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    「ジョーカーゲーム」シリーズ第3弾。
    これも読み易くて面白い。
    結城中佐の過去、正体が少し分かったと思ったがどうなのだろう?
    続きも読むつもりだ。

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    2025年06月11日
  • パンとペンの事件簿

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    新聞でいちおしミステリーとして紹介されていたので、柳広司作品を初読み。

    時は大正時代。新聞雑誌の原稿に、翻訳、暗号文の解読……。『文章に関する依頼であれば、何でも引き受けます』という変わった看板を掲げる会社『売文社』を舞台に、数々の難事件を解決する4編からなる連作短編集。

    登場人物に堺利彦、大杉栄、荒畑寒村など実在の社会主義者が出てくるが、その辺の知識は無くてもキャラクターとして魅力的に描かれているので十分楽しめた。

    2話目に暗号解読の話があって普通に読み進めてしまったんだけど、もう少しじっくり解読に取り組めば良かったと後悔。ちゃんと考えれば解読できたかもな〜

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    2025年05月18日
  • パンとペンの事件簿

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    SL 2025.4.29-2025.4.30
    大正時代の実在の社会主義者たちにまつわるお話。大逆事件後のことなのに当時の実際の雰囲気とはかけ離れているくらい陽気な彼ら。それでも彼らの主義主張は真性のものだし、やはり社会と闘ったのも事実。陰鬱に暗くなることなく当時の社会情勢をうまく描いている。

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    2025年04月30日
  • パンとペンの事件簿

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    暴漢に襲われた主人公が「売文社」の面々に救われたことを機に彼らと関わっていく。堺利彦、大杉栄など日本史を勉強した人なら目を引く人物達が生き生きと自分の行き方を通す姿が読んでいて気持ちが良い。特に、最後の裁判の展開が痛快だった。民主主義の意味が問われる今の時代だからこそ、彼らの考え方に耳を傾けてみる時間も必要かもしれないな、と思った。売文社のメンバーと主人公のこれからの物語にまた出会いたい。

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    2025年04月28日
  • ラスト・ワルツ

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    ネタバレ

    スパイは疑われたら終わり。どこに現れるだろうかと注意深く読んでるつもりなのに気づくと終わってしまっている話ばかりで、これこそD機関が育てたスパイの仕事なんだなぁと思わされる。あっという間な一冊。

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    2025年04月10日
  • パンとペンの事件簿

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    以前読んだ「太平洋食堂」とも連なる作品なのか、その時代の社会主義者が集っている作品。
    波乱万丈の実在の人物達が一時代でもこんなに楽しげに暮らせてたら、と思います。
    「大いに逆さま事件」と名付けられた、幸徳事件。
    その時の傷を持ちながらも前に進んで行くのは、現代よりももっと不安定で、生活は自分自身で切り拓く逞しさがあったのでしょう。
    最終話の法廷に登場した弁護士は最高です。これだけでスピンオフが欲しいですね。

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    2025年04月03日
  • パンとペンの事件簿

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    シリーズ化できそうな構成

    登場する大杉たちをはじめとした活動家たちのその後を多少知っている現代の我々視点から読むと、売文社に満ちている志の下に集まった人たちならではのカラリとした心地よい空気感が、刹那的なきらめきに感じてしまい、複雑だった。

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    2025年04月03日
  • ラスト・ワルツ

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    D機関か活躍するスパイミステリーの短編集、1作目から変わらないところが良い。
    ワクワク感は1作目からすれば優しくなってしまうが、いろんな切り口かあって楽しかった。個人的には「舞踏会の夜」が良かった、読み手を誘導し、うまく騙されつつ、それでも受け入れてしまう。結城中佐がやっぱりカッコイイ。
    これが今のところの最新刊と思うと次が無いのが寂しい。まだまだ読みたい!

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    2025年03月30日