柳広司のレビュー一覧
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『ジョーカー・ゲーム』に続くD機関シリーズの二作目
(って、こんなシリーズ名がついているのかは知らないけれどなんとなくで書いてしまった……)
D機関という存在の特殊性ゆえに、どうしてもどんでん返しが当たり前のお話になってしまうのだけど、どんでん返しが当たり前になったうえでそこから更にどう楽しませるか、というのが徹底されていて面白かったです
この作品の話ではなく、例えば本の帯に「最後の一行まで油断できない」的な宣伝文句があるとちょっと構えて読んでしまうんですけど、『ダブル・ジョーカー』からはそんな紹介をされたとしてもそれでもなお楽しませてやるぞ!ってなもう一歩先を見据えた心意気を感じました
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ネタバレ〈ガラパゴス諸島連続殺人事件〉を名探偵ダーウィンが解決!?的な話です。
ただ単にトリックを推理するだけではなく〈進化論〉が絡んでくるのが面白いところです。
「わたしたちはこの世界について、まだ何一つ知らないのですよ」
某人気陰陽師(京●堂)を思い出してしまいました…。
「もしかするとわたしたちはすでに世界を変えてしまったのかもしれないのです…」
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コペルニクスの地動説、ニュートンの万有引力の法則、そしてダーウィンの進化論。
神や宗教が絶対だった時代に、世界の価値観を一変させた人たちの苦悩は計り知れないものがあります。
南海の孤島を舞台に描かれた好ミステリーでした。
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ジョーカーゲームシリーズ第2弾。
結城中佐率いるスパイ組織“D機関”プライド高いスパイ達が暗躍する短編6編。こちらは、対スパイ戦の作品が多いですね。
「ダブルジョーカー」
新たな陸軍諜報機関“風機関”を一蹴する結城中佐。
「蝿の王」
亡き兄の遺志を継ぎ、ソ連のスパイとなった軍医を暴く。
「仏印作戦」
D機関を騙る詐欺集団の罠にハマる電信係を助け出す。
「柩」
不慮の列車事故で命を落とすD機関のスパイ。最期にまで任務の隠蔽を遂行する。これに若き日の結城中佐のお姿あり。
「ブラックバード」
任務遂行の為、現地で結婚までして完璧な活動をしていたD機関のスパイ。協力者であった腹違いの兄の病死により、ア -
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ネタバレワルキューレとアジア・エクスプレスの二つの物語はメディアの本質を語ってくれる。まず前者では、ナチスドイツが実際に用いたプロパガンダを取り上げている。具体的な手法を知りたい人は『わが闘争』(角川文庫)や『ヒトラー演説』(中公新書)などを読むといいが、この話を読むと、人は無意識のうちに報道側の思想に染まること、人が音楽と映像によって理性を失ってしまう恐ろしさがわかる。
後者の話に関して、本編のp296とp299で情報の扱いに対する苦労が描写されている。この話で鍵となる伝書鳩は、諜報活動が盛んであった当時、欧州において意外な活躍をしたとある。電信通信による傍受を防ぐために、あえて古典的なやり方で -
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ネタバレ今回読んだ物語の多くがアニメ化されていないが、どの話も常に緊張感がある展開で面白く読めた。本作最初の話である『ダブル・ジョーカー』p12は、岡崎久彦『戦略的思考とは何か』(中公新書)で指摘された内容が如実に反映されている。それは日本が日清戦争と日露戦争で勝利した経験から根拠なき自信をつけてしまい、反省を怠ったことである。それが今回の話のように、諜報活動が重視される現状の世界情勢を無視して、組織が膠着状態に陥る。
スパイとは周囲から関心を寄せないように工夫を凝らさなければならないと前作でも再三言われてきたが、本作の後半に収録される「ブラック・バード」を読むと、スパイとは平時だからこそ役目を