柳広司のレビュー一覧
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ネタバレ〈ガラパゴス諸島連続殺人事件〉を名探偵ダーウィンが解決!?的な話です。
ただ単にトリックを推理するだけではなく〈進化論〉が絡んでくるのが面白いところです。
「わたしたちはこの世界について、まだ何一つ知らないのですよ」
某人気陰陽師(京●堂)を思い出してしまいました…。
「もしかするとわたしたちはすでに世界を変えてしまったのかもしれないのです…」
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コペルニクスの地動説、ニュートンの万有引力の法則、そしてダーウィンの進化論。
神や宗教が絶対だった時代に、世界の価値観を一変させた人たちの苦悩は計り知れないものがあります。
南海の孤島を舞台に描かれた好ミステリーでした。
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ジョーカーゲーム第3弾。
今回も厳しい訓練をくぐり抜けたエリートプロスパイの暗躍を堪能します。
短編5編、体力的にも武術的にも優れた彼らですが、心理戦、思考の読み合い多めという感じ。
「誤算」
フランスのレジスタンスに近づき、思わず能力発揮。同志へのお誘いも受けてしまう優秀な潜入。
「失楽園」
シンガポール、ラッフルズホテル。ターゲットの心理を思うままに方向づける、印象が残らないバーテンダー。
「追跡」
これは、凝ってる。結城中佐の過去を追う、英国特派員兼スパイ。これこそ、結城のルーツと手に入れた情報は、20年以上前から、自分の出自を準備していた罠だった。結城中佐の勝利。
「暗号名ケルベロス」前・後
愛していた夫を国策で殺された女性。仇を討つため、敵国のスパイとなる。船上でのスリリングな展開。全てを成した後、D機関のスパイに全て打ち明け、娘と愛犬を託す。船上で、口笛を吹きながら、たぶん子育てを決心したスパイ。良いわ。 -
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ネタバレワルキューレとアジア・エクスプレスの二つの物語はメディアの本質を語ってくれる。まず前者では、ナチスドイツが実際に用いたプロパガンダを取り上げている。具体的な手法を知りたい人は『わが闘争』(角川文庫)や『ヒトラー演説』(中公新書)などを読むといいが、この話を読むと、人は無意識のうちに報道側の思想に染まること、人が音楽と映像によって理性を失ってしまう恐ろしさがわかる。
後者の話に関して、本編のp296とp299で情報の扱いに対する苦労が描写されている。この話で鍵となる伝書鳩は、諜報活動が盛んであった当時、欧州において意外な活躍をしたとある。電信通信による傍受を防ぐために、あえて古典的なやり方で情報を伝えるのである。しかし、日本軍はこのような情勢を見ずに伝書鳩を過去の遺物と見なして切り捨てた。このように、たとえスパイたちが命がけで情報を収集したとしても、その情報を利用する者が有効に活用できなければ徒労に帰すのだ。 -
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ネタバレ『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第三弾。「誤算」と「暗号ケルベロス」は既にアニメ化されているが、小説版のほうが心情描写が細かく、はっとすることが多かった。今回も諜報活動に勤しむスパイたちの行動にハラハラしたが、それと同時に日本陸軍の言動が目に余り、とりわけp251〜253の描写が象徴的だ。ドイツが発明した暗号機エニグマの誕生によって世界情勢に衝撃をもたらした。しかし、それを受けた陸軍は日本語の言語的特徴や構造を過剰に特別視したせいか、エニグマが誕生して間もないころは何とも思わなかった。その後日中戦争の泥沼化から日本独自の暗号を開発するように至ったが、それでも「絶対に」不可能と、根拠なき謎の信条から事態をうやむやにする。これらとは対照的なのが結城中佐である。本作のみならず前作、前々作と結城中佐の発言は相変わらず的を得ており、今回の発言「絶対的というのはこの世には存在しない」というのはまさにこの世界の真理をついている。「絶対」という言葉による思考停止の危険性がよくわかる。
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何年ぶりかの読書。息子が2歳になったしそろそろ自分時間を作ろうと積読してた一冊。
ジョーカーゲーム、昔読んだような気がするけど結構忘れてて、それでも興奮して読めた。
スパイものは回収がきもちいいな。
結城中佐の生い立ちに触れたところなんかも見どころ。短編ってもともと苦手だったけど、最後の二篇は前編後編になっているし、結城率いるD機関が関わる短編だからギュッと人間模様が詰まっていた感じだった。
軍国時代背景がすごく緻密で丁寧だから読書慣れしていない自分がざっくり手を出しても一読で楽しかった。子育て中につきなかなか一気読みは難しいからとびとびになりがちだけどもう2、3回集中して楽しみたいところ。 -
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ネタバレ「メリークリスマス、ミスターローレンス!メリークリスマス!」
上記のセリフは映画「戦場のメリークリスマス」のラストシーンですが、本小説は明らかに戦メリを意識していますね(笑)
本小説のラストは戦争が終わって20年が経っており、社会情勢としては「戦後」がようやく一段落して次のステージに歩みかけてる時期なのだとおもいます。
その象徴がキョウコなのであり、キョウコに「メリークリスマス!ミスターフェアフィールド」と言わせるあたりは作者(というより兄イツオが述べていた)の「自由と責任」を体現させているようで心地よかったです。
小説の中の謎解きである、連続自死案件、キジマの戦犯容疑それに伴う記憶喪失案件、従兄弟の捜索案件などを追いながら、
日本の戦争責任のあり方や民意責任のあり方や、権力の裏側(正当に制御しない権力は暴力になるという考え方)を示しておりとても面白かったです。