柳広司のレビュー一覧
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内容説明
D機関、暗躍す。
「Dの魔王」堂々完結巻となる本作。
昭和13年、戦局はますます不安定な様相。
陸軍内でも特殊諜報機関の有用性が声高に論じられる。
必然的に陸軍諜報員養成所[D機関]の精鋭スパイ達は、
陸軍の“闇"を担う存在としてさらなる責務を果たすこととなる。
然して、その“闇"は、常人には、複雑で、歪で、狂気だった。
悲しきD機関のスパイの生き様を描く第3集。
霜月かよ子さんの絵が好きだったので3巻続けて買いました。
原作の小説を読んだことがなかったので、絵の綺麗さからその世界観に引き込まれて読み続けたけど、スパイとしての技術や能力を魅せた1巻、彼らと関わる人々の心のあり方や、そこに生まれる切なさややるせなさを描いた2巻、そして彼らの行く末とそれぞれの抱える心と結末を描いた3巻。それなりに描ききっていたと思います。
人が人として生きることに大変だった時代。
戦地に赴いていく人々と同じように、陰で暗躍した彼らもまた、人であったという終わり方に感動しました。 -
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ネタバレ『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第4巻。これが最終巻だというのが信じられないし、読み終えてしまうのが本当に惜しかった。まだまだ続いてほしい。
今回好きだったのは『ワルキューレ』と『舞踏会の夜』。
『ワルキューレ』はこんな大立ち回りや軽々しいことを平気でやるスパイがD機関⋯?と思わせつつ、ラストで海軍のスパイだと明かされるのが痛快だった。D機関のスパイはほんの少し顔を覗かせる程度だが、それがまた新鮮だと感じたし、私情に流されやすい主人公のキャラクターも微笑ましかった。
暗躍するD機関のスパイたちの話もいいが、謎に満ちた結城中佐の背景も知りたいところ。そういう意味では、『舞踏会の夜』は読み応えがあった。一方的に想われるだけとはいえ、結城中佐に恋⋯?と思いながら読んでいたが、まさか主人公もスパイ(の真似事とは書いてあるが)だったとは。結局心理戦で、結城中佐の人間味を感じる一面を垣間見たような見なかったような。昔のことは流れ去り、何もかも変わったと思っていた主人公の顕子は、結城中佐との再会により自分の本質は何も変わらず昔と同じことを繰り返しているに過ぎないと気づく。価値観の変化も自然かつ鮮やかで、それすらも結城中佐に仕組まれていた、というのはさすがはD機関。始終引きこまれて読んだ。
第2巻で迎え、物語の佳境でもあり運命の転換点でもある真珠湾攻撃だが、その後のD機関の話も気になる。しかし作中にもある通り、戦争が始まればスパイの役目は終わりということだろうか。とにかくまだ私は『ジョーカー・ゲーム』に未練たらたらだ。今年読んだ本の中で、最高に興奮するミステリーだった。 -
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ネタバレ『ジョーカー・ゲーム』シリーズ3冊目。
だんだんD機関のスパイの凄腕さに慣れてきて、「D機関ならこんなヘマはしないだろう」とか「D機関なら記憶喪失になっても深層意識や体に叩き込んだあれこれでなんとかするだろう」などと考えながら読むようになり、自分の中でだんだんD機関のスパイに求めるレベルが上がっていくw
今回面白かったのは『追跡』。私もアーロン・プライスの視点にシンクロするように、結城中佐の過去が暴かれていく様子にわくわくするのだが(⋯こんなすんなり過去がわかるように結城中佐がしておくか?という気もするけれど)、そのぶんラストにはあっと驚かされた。結局何もわからないのか⋯面白かったような、少しがっかりしたような。でもこの一連の謎解きが、一人のスパイの自尊心をへし折り引退を導くというかけひきが凄い。始終ハラハラしながら読んだ。 -
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第一次大戦に向かう頃の日本の話。
社会主義にかかわる話。
ふつうの小説のつもりで読んでいたけど、
日本史で聞いた名前がチラホラでてきて
おや?っとなった。
ノンフィクションではない
と最後に書かれていたので、
主人公は架空の人物で
時代背景は事実に即したものなのだろう。
最近、第二次大戦の本を読んでいたので
そこに至る日本の流れに興味があったが
明治維新から日清、日露、第一次大戦への
国内の様子が描かれていて勉強になった。
官憲がいた時代、社会主義も危険視されていたが
民主主義もまだまだで
今の世の中からしたら想像できないくらい
恣意的に逮捕されたりしていたんだなと感じた。
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ネタバレ『ジョーカー・ゲーム』シリーズ第2作。『蝿の王』や『仏印作戦』などわずかにしか登場しないD機関のスパイに翻弄される人々の話が多いせいか、D機関のスパイたちの顔がますます掴みどころのない、作中で言うところの『鵺』のような存在に感じられる今作。
中には読んだ当初スパイの狙いがわからず、「?」と思った話もあったが読後少しして「なるほど、そうだったのか!」と得心がいき、そのときのスリル感が堪らない。
結城中佐の過去を知ることができる『棺』は、敵役から語られる物語だからこそ、結城中佐の覚悟やD機関のスパイたちに対する想いが浮かび上がってとてもよかった。
そしてとうとう『ブラックバード』では真珠湾攻撃が起き、日本は到底勝つ見込みのない戦争に踏み込んでいく⋯
仲根は決定的な任務の失敗、時代のうねりを通して淡々とこなしてきたはずだったスパイ活動が、兄への思慕という落とし穴に嵌ったことを知る。
日本とアメリカが開戦する中、この先どうなっていくのか。1作目のほうがスッキリ読めて面白かったが、これはこれで読み応えがある。『ジョーカー・ゲーム』シリーズはいつも読み終えるのが惜しい。