柳広司のレビュー一覧

  • パンとペンの事件簿

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    暴漢に襲われた主人公が「売文社」の面々に救われたことを機に彼らと関わっていく。堺利彦、大杉栄など日本史を勉強した人なら目を引く人物達が生き生きと自分の行き方を通す姿が読んでいて気持ちが良い。特に、最後の裁判の展開が痛快だった。民主主義の意味が問われる今の時代だからこそ、彼らの考え方に耳を傾けてみる時間も必要かもしれないな、と思った。売文社のメンバーと主人公のこれからの物語にまた出会いたい。

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    2025年04月28日
  • ラスト・ワルツ

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    ネタバレ

    スパイは疑われたら終わり。どこに現れるだろうかと注意深く読んでるつもりなのに気づくと終わってしまっている話ばかりで、これこそD機関が育てたスパイの仕事なんだなぁと思わされる。あっという間な一冊。

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    2025年04月10日
  • パンとペンの事件簿

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    以前読んだ「太平洋食堂」とも連なる作品なのか、その時代の社会主義者が集っている作品。
    波乱万丈の実在の人物達が一時代でもこんなに楽しげに暮らせてたら、と思います。
    「大いに逆さま事件」と名付けられた、幸徳事件。
    その時の傷を持ちながらも前に進んで行くのは、現代よりももっと不安定で、生活は自分自身で切り拓く逞しさがあったのでしょう。
    最終話の法廷に登場した弁護士は最高です。これだけでスピンオフが欲しいですね。

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    2025年04月03日
  • パンとペンの事件簿

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    シリーズ化できそうな構成

    登場する大杉たちをはじめとした活動家たちのその後を多少知っている現代の我々視点から読むと、売文社に満ちている志の下に集まった人たちならではのカラリとした心地よい空気感が、刹那的なきらめきに感じてしまい、複雑だった。

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    2025年04月03日
  • ラスト・ワルツ

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    D機関か活躍するスパイミステリーの短編集、1作目から変わらないところが良い。
    ワクワク感は1作目からすれば優しくなってしまうが、いろんな切り口かあって楽しかった。個人的には「舞踏会の夜」が良かった、読み手を誘導し、うまく騙されつつ、それでも受け入れてしまう。結城中佐がやっぱりカッコイイ。
    これが今のところの最新刊と思うと次が無いのが寂しい。まだまだ読みたい!

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    2025年03月30日
  • パラダイス・ロスト

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    ネタバレ

    前巻が不穏な〆だったので今巻が「誤算」という章題で始まっていてドキーッとしちゃった。パラダイスもロストしてるし。
    しかし不意のアクシデントまで対応してこそプロのスパイである…とのことで、戦争が激化していくなかでも変わらずスパイとして生き続ける者と人間として死ぬ者の差があらわになっていく。
    いったいどちらが幸せなんだろうな…みたいなことを考えたりした。幸せを求めるような者はスパイではないのか…己の能力の限界を試す者は人間ではないのか…

    すっかりお決まりの口上のように語られるD機関の入試問題は、もはや歌舞伎の見栄のようでヨッ待ってました!という気分になるし、本当にみんなあの試験をクリアしたんだな

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    2025年03月15日
  • ジョーカー・ゲーム

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    スパイ養成所「D機関」
    まるで日本版ミッション・インポッシブル。
    すべてを見抜く天才スパイたちの活躍が、とにかく、だだカッコいい!

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    2025年03月14日
  • パラダイス・ロスト

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    「ジョーカー・ゲーム」シリーズの第3弾。安定の面白さでした。裏の裏をかく騙し合いは衰えることなく爽快。時代の流れに翻弄されるなかで、読み手側に垣間見せてくれる主人公たちの人間性がスパイスになってカッコ良さを際立たせる。

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    2025年03月12日
  • ダブル・ジョーカー

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    ジョーカーゲームシリーズ2弾
    この時代の話好きなんで、楽しめました!
    頭脳戦がすごく面白いです。
    騙し合いとか。

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    2025年03月10日
  • トーキョー・プリズン

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    推理小説としてより反戦小説として満足しました。
    殺人事件の犯人やトリックはかなりわかりやすくて少し物足りなかったですが、第二次世界大戦直後の日本における天皇制、原爆投下、戦争の責任の所在に対する様々な立場の人の考えは読み応えがありました。
    主人公がニュージーランド人の探偵であることで、日本人たちともアメリカの軍人たちとも違う(無論西洋よりではあるけれど)一歩引いたところから見ているのが独特で良かったと思います。
    しかし彼も相棒と同じく戦争で精神的ダメージを負った元軍人であるため、幻想的な悪夢を見ていて、結局この話のどこまでが真実なのかはよくわからないところが面白かったです。
    探偵と囚人のバディ

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    2025年02月25日
  • パンとペンの事件簿

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    堺利彦を中心とした人々を、少年の目から描く。

    歴史を「今」に持ってくることが出来る作品。

    「本作はノンフィクションではありません」も、また良い笑

    柳さんは最近こういう作品が多い。筆力もあって考えさせられるが、『ジョーカーゲーム』のような作品もまた読みたい。

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    2025年02月22日
  • ダブル・ジョーカー

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    1作目に引き続き、スパイ組織「D機関」がギュッと詰まった短編。1作目を超えたというわけではないが、どの話も楽しめて面白かった。結城中佐はどこに姿を現してもスマートでカッコいい。1作目につながる話も付いているので1作目を読んでから読むのがオススメ。

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    2025年02月21日
  • パンとペンの事件簿

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    時は大正、天皇を弑する計画が立てられたとして社会主義者ら12名が処刑される「幸徳事件」が起き、社会主義者が極悪人扱いされていた頃、主人公かやくざ者に襲われて死にかけていたところを巷で話題の社会主義者が助けるところから物語は始まる。
    未だに腫れ物扱いされる社会主義・社会主義者だが、主人公を助けた売文社の社長・堺利彦が掲げる社会主義は、現在の私たちのイメージとは異なっている。
    当初は怪訝な態度を取っていた主人公も、彼らと一緒に過ごしていくうちに「彼らがやろうとしている事の方が正しいのではないか」と心を変えていく
    私も、社会情勢に応じて本気で社会の変革を目指していた当時の社会主義は悪くないのではない

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    2025年02月07日
  • パンとペンの事件簿

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    労働環境の改善を工場主に訴えようと、従業員たちの代表に祭り上げられたぼくは、工場主が雇ったヤクザ者たちに半殺しにされて路地に放り込まれた。
    倒れていたぼくを発見し、助けてくれたのが堺利彦(さかい としひこ)を代表とする「売文社(ばいぶんしゃ)」の面々だった。
    堺は、うちで働けばいいと、二階に住み込みの部屋も与えてくれた。

    「売文社」は文章に関することなら一枚五十銭で何でも引き受ける。今度「人生相談、探偵調査」も引き受けたいと堺。
    ぼくはそこで、戦争成金と政治家の癒着を暴く場面を見たり、暗号を解いたり、女装させられたり、そして生まれて初めて裁判の傍聴もした。
    堺利彦(さかい としひこ)をはじめ

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    2025年02月01日
  • パンとペンの事件簿

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    著者初読み。

    大正、昭和と好きな時代。
    知らないことも多く、読後もにわか調べで歴史を再認識。

    この時代をモチーフに、見事にミステリーを組み立てる策士。
    今の時代だからこそ、この本を読むこと、時代を振り返ることへのメッセージが含まれているような気がする。

    著者本、まずは「贋作『坊っちゃん』殺人事件」を読んでみよう。

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    2025年01月30日
  • ジョーカー・ゲーム

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    「D機関」を軸として主人公が入れ替わりながら進むスパイミステリー。どこまでも冷静で任務を全うするカッコよさ、主人公の心情も相まって、毎回惹き込まれて毎回そういうことか!って思わせてくれる。短編で程よい頁数なので「いつでもどこでも読書」のお供に最適。

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    2025年01月29日
  • パンとペンの事件簿

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    自分の中での解釈の選択肢の重要性を教えてくれる小説

    4つの短編集で、各章ジェットコースターみたいに上げ下げ上手、感心しながら読めました。また、時代背景を感じずスラッと読めます。
    個人的には「乙女主義呼ぶ時なり世なり怪人大作戦」がハラハラして楽しかったです。

    実在した組織とのことですが、自分が無知なので知らない人ばかりでした・・・
    それでも楽しく読める小説でした。

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    2025年01月26日
  • ジョーカー・ゲーム

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    帝国陸軍内で秘密裏に設立されたのはスパイ養成機関。
    世界大戦の頃には各国で似たような組織があったのでしょうね。(今もあるかw)
    「スパイはなんとしても生きなければならない」というのは日本で受け継がれてきた武士道とは真逆の思想ですが、大切なことなのでしょう。
    友人からのプレゼントで初めて読みましたが、シリーズ化やアニメ化も納得の面白さですね。

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    2025年01月05日
  • ラスト・ワルツ

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    D機関が暗躍するスパイ・ミステリ小説。
    毎度ドキドキしながら読んでしまう。
    「パンドラ」が印象的だった。

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    2025年01月03日
  • ダブル・ジョーカー

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    柳広司さん著「ダブルジョーカー」
    「ジョーカーゲーム」シリーズの第二弾になる。今回の作品も5篇からなる「D機関」に纏わる連作短編集になるのだが各編が各々独立している為とても読みやすい。

    前回読んだ「ジョーカーゲーム」と展開とスタイルは変わらず特に目立った変化を感じる事はなかった。
    また5篇分の物語が追加されたという感じでもう少し変化を期待してしまった。

    しかし舞台が帝国陸軍内の話であるが為に前作同様、薄暗い影が作品全体にかかっており非常に不穏感漂う作風。諜報という影の部分とその薄暗い作風が絶妙にマッチしていると感じた。

    短編集の為、前作でも抱いた感想だが読み応えという点では薄く感じてしま

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    2024年12月12日