柳広司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舞台は終戦直後の巣鴨プリズン。
主人公のニュージーランド人探偵が人探しのためにプリズン内の調査権と引き換えに戦犯である貴島の記憶の回復を命じられる。
貴島は頭脳明晰な脱獄の常習犯、捕虜虐待の罪で捕らえられているが事故が原因で戦争中の記憶がない。
折しもプリズン内で発生した連続変死事件を主人公と貴島が謎を解く。
頭脳明晰でクールな貴島は本当に捕虜虐待を行った戦犯なのか・・・
サラッと読めて面白かったです。
変死事件の謎解きはストーリーの本筋ではないのでご愛嬌の感じ。
貴島とシャーロック・ホームズを重ねたミステリー仕立てのストーリーとは別に、著者の語りたい「戦争]「戦後」「敗戦国」「原爆」「米国 -
匿名
購入済み登場するスパイ達がみんな魅力的でカッコイイ!
フィクションで広く描かれるスパイ像とは一味違うのもまた興味深い。
ストーリーのテンポもよく、短編集なので一気読み必至の作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ一気読みするより、少しずつ読んでいくのが向いている小説だった
一気読み用に買ってしまったのでやや後悔、時間をおいて読めばよかった…
それぞれの章の冒頭にルスティケロがなぜこの場所にいるのか、これから話すのはこの間やってきた襤褸を纏った謎の男〜の紹介が入るのでややくどいが、話はどれも面白い
東方見聞録の実際の編纂者の名前がルスティケロ
小説の中で年長者の物書きの名前もルスティケロ
妙な親近感を感じながら各章を読んだ
ミステリというよりかは旅人の話を聞くスタンスで読み進めたので謎解きはせずにそのまま解決編へ
恥ずかしながら東方見聞録を読んだことがないので、今年中に読んで再度この小説も読みた -
Posted by ブクログ
題名がラストワルツで、なんらかのロマンスを想像し、その終わりがあるのかと思いつつ読み進めた。
「ワルキューレ」で日本海軍のスパイが準備した拳銃がワルサーP38、銃器には疎いが、これはルパン三世が使っているので知っている。
「舞踏会の夜」では結城と顕子のロマンスを期待した。女性を優しく泳がせ、危険が迫ると先回りしているあたりが、結城がルパン三世と被る。
「アジア・エクスプレス」はこれまでの柳広司氏のスパイもので終始死ぬな、殺すなのポリシーが顕著に表現されている。盗むけど殺さないルパン三世と同じである。
「パンドラ」では密室殺人に目が行きがちだが、相手の得意な領域で凌駕する結城の軌道修正す -
Posted by ブクログ
粉塵爆発、最近ではミステリーによく登場する。条件は3つ、日本人ならみんな知っているとあるが、そんなことはない。少なくとも私は江戸川コナンに教えてもらった。「酸素」、「爆発下限濃度以上の可燃物の粉塵」、「最小着火エネルギー以上の着火源」。
雑誌に連載されていたからか、同じ表現が繰り返されるのは避けてもらいたかった。
本作の4つの作品の中で、暗号名ケルベロスは中編、しかし本の題名はこの中編ではなく、失楽園である。その意味は読んでみればわかる。私が題名をつけるなら「トラッキング」だ。
容易に見つけられないものは容疑者本人にみつけさせればいいんだ。優秀な獣は猟師が追い詰めたと思った時に逆に追い詰め -
Posted by ブクログ
ジョーカー・ゲームの続編、ダブル・ジョーカー、結城率いるD機関の考え方は、「死ぬな。殺すな。」が根底にある。片や風戸率いる風機関は、「躊躇なく殺せ。潔く死ね。」陸軍に機密諜報機関は二つ要らない。風機関がD機関を追い落とそうとする。
表立って結城は登場しないが、結城の存在が顕著に現れた作品群である。先の先の先まで読んで準備をしているのはドイツ軍か、アメリカ軍か、イギリス軍か、はたまた日本陸軍なのか、スパイものの王道だと感じた。
アメリカ合衆国は嘘をつかないことをワシントンの逸話で子供の頃から教えられるが、正直なのかというと、実際は相当な策士だと思うのである。
ジョーカーゲームほどのインパク