柳広司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(Ⅰ)《僕たちがやっているのは本物の社会主義じゃない、所詮はインテリの道楽だ》p.225。《命懸けの道楽もあるさ》p.227
(Ⅱ)痛めつけられたうえ職を失った「ぼく」は「売文社」という得体のしれない人びとに救ってもらったがそこは蛇蝎の如き社会主義者たちがたむろする巣窟だった/堺さんから暗号解読してみよと命じられて/売文社に出入りする女性たちが何か企んでいる? 偵察を命じられた「ぼく」はエライ目に遭う…/堺さんが警察に連れて行かれ、頼った弁護士「ハクシャクドノ」はとんでもない変人だった。彼が活躍する法定モノ。
(Ⅲ)「大正デモクラシー」というくらいだからこの時代はもっと自由でおおらかだと思っていましたが、時代背景は意外に重苦しい。でもそんななか売文社に集まる人びとはどこか楽しげで救われます。
■簡単な単語集
【荒畑寒村/あらはた・かんそん】売文社一味。いい人。「ぼく」にローマ字を教えてくれた。
【伊藤野枝/いとう・のえ】売文社に出入りしている女性。
【大杉栄/おおすぎ・さかえ】売文社一味。いくつもの外国語に堪能。誰にも遠慮しない。無政府主義者、無国家主義者。《社会主義なんて、大きらいだ!》p.65。《たとえ無政府主義社会が到来しても、なお反逆者でありつづけるのが本物の無政府主義者だ》p.67。どもりがあるがそれがさらに言葉の力を強めることにつながっている。
【小口みち子/おぐち・みちこ】売文社に出入りしている女性。明るく元気で江戸っ子気質。プロの美容師でもある。
【堺為子/さかい・ためこ】利彦の妻。
【堺利彦/さかい・としひこ】売文社の社長。謎解き好き。《僕たちは二種類のペンを持つ。生活のためのペンと、人助けのためのペンだ。》p.30。《しばらくは猫をかぶってやりすごす――というのも一つの手だ》p.60。
【堺真柄/さかい・まがら】利彦の娘。物語スタート時十二歳。外国の小説の登場人物であるマーガレットから取った名前。リボンが特徴。「ぼく」を救ってくれたがその後成長するにしたがってツンケンされるようになった。
【大逆事件】このお話の五年前に起こった。社会主義者が悪役となったきっかけでもある。売文社の面々は当時獄中にいたのでさすがに罪を被せることができず無事だった。もし外にいたらいっしょに死刑にされていたと思われる。世間で受け取られているのとはまったく逆のことが行われていたということで、ここでは「大いに逆さまの事件」と皮肉られている。
【社会主義者】悪の権化のように嫌われている。
【添田/そえだ】色白の少年。門番(玄関番)。
【添田啞蟬坊/そえだ・あぜんぼう】演歌師。添田少年の父。
【売文社】文を売る会社。文についての依頼はなんでもやる。「ペンを以てパンを求める」という意味でパンとペンが描かれたポンチ絵がトレードマーク。社員全員が社会主義者。
【パウリスタ】売文社御用達のカフェー。本格コーヒーの草分け。
【橋浦時雄/はしうら・ときお】売文社一味。二十四歳。
【橋浦はる子/はしうら・はるこ】時雄の妹。
【檜山/ひやま】売文社の小遣い。五十年輩の人のよさそうなおじさん。
【へちまの花】売文社が出している雑誌。
【メイゾン鴻ノ巣】日本にいち早く欧風文化をもちこんだハイカラな西洋料理店。「パンの会」も開催されていた。売文社女性陣の作戦会議が行われた。
【山崎今朝弥/やまざき・けさや】米国帰りの弁護士。自称「米国伯爵」て「ハクシャクドノ」と呼ばれている。売文社の特約執筆者の一人。真夏に褌一丁の真っ裸で、目鼻がわからないほど真っ黒に日焼けした男。豪快な変人。 -
Posted by ブクログ
面白かった。
5話+オマケ
以下ネタバレ
D機関vs.風機関
わらわし隊 モスクワ側のスパイ あんま面白くなかった
永瀬はD機関のスパイとみせかけて詐欺集団のリーダー
任務中に列車事故で事故死したスパイ 結城中佐の過去も少し 結城中佐何者よすごすぎるやろ
不運なスパイ 優秀で何事もうまくいっていたのに上記の列車事故や仲間の突然の病死が重なり、情報が届かずアメリカから逃げ遅れた 任務失敗?
おまけ
ジョーカーゲームだったか、このシリーズの最初の方にでてきた話の共謀者側の視点 最初なんの話かわからなかったけど、最後のロビンソン・クルーソーで繋がる感じ
売る
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Posted by ブクログ
ジョーカー・ゲーム作者のもう一つのスパイ小説、
と言われているけどスパイ要素は少ない。
戦時中の共産主義者(アカ)を巡る短編集。
1番印象的だったのは「蟹工船」の小林多喜二が
スパイの対象として登場する「雲雀」。
蟹工船に乗る人々の地獄の日々をインタビュー形式で。
罠にかけるよう指示を出した相手に反対に罠をかける、
終盤の物語の逆転劇が軽快でエンタメチックで
暗い暗い時代のお話ですけど軽快に読み進められました。
この「雲雀」が最初のお話でこのタッチで進んでいくと思いきや、これ以降、特に3篇目以降は重苦しさが増して戦時中のリアルをそのまま読んでいるようでした……。
読者に訴えかけてくるような作品。