レイモンドチャンドラーのレビュー一覧
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▼フィリップ・マーロウ第4作。まさに太平洋戦争真っ最中に書かれたようです。とはいえアメリカは体力があったので、そんなに日本の戦時下ものみたいなことはなくて、余裕を感じます。
▼「警察の仕事は山ほど問題がある。
政治と似ている。
それは最良の人間を要請しているのだが、
そこには最良の人間を惹きつけるものは
皆無だ。
だから我々としては
手に入る人材でやっていくしかない。
そしてこのような結果が
もたらされることになる」。
・・・名文句。
<警察の仕事>を、ほかのなんの仕事に置き換えても、使えます。
▼大富豪の奔放な妻が行方不明に。マーロウが雇われて調査開始。夫人が滞在した湖の畔の別荘 -
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▼なんとなく
<フィリップ・マーロウをイチから再読して、続けて原りょう作品をイチから再読しよう計画>進行中。マーロウ長編第3作。高い窓。
▼いつも通り金持ちの腐敗した家族関係。そして前作「さらば愛しき人よ」にも通じる、しょーもない奥さん。それに心を支配された娘。高い窓から、セクハラ上司を突き落とした記憶。その弱みを握る男。強請。徐々に明らかになる、過去からの隠された真実・・・。
▼これまでの3作の中では、「第2作」「第3作」は普通にミステリとして面白かったか・・・。いや、第3作がいちばんそういう意味ではかっちりしていたような気もします。ただたしかに、辻褄を超えた、よくわからない<マーロウ節 -
Posted by ブクログ
チャンドラーのほかの作品と同様。ミステリとしてはさほどではない。話が妙にこみいっているわりに、驚きの真相や、ハラハラの展開もない。本書の読み所は、そこじゃない。
疲れている。いつになく、ふてくされて、毒づいて、空虚で。そういう、疲弊したマーロウ=チャンドラーが実に味わい深い。
例えば以下のようなところ。
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”ふん、映画スターがなんだ。ベッドを渡り歩く達人というだけじゃないか。おい、もうよせ、マーロウ、今夜のお前はどうかしているぞ。”
(p138)
ハードボイルドだ。村上春樹や、原リョウさんへの影響を与えたのは、「長い別れ」より本書かもしれない。本書の先に、この2人の日本作家を感じた。 -
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▼<レイモンド・チャンドラーの長編を、村上春樹訳で発表順に再読。それが済んだら原りょうさんの作品を発表順にやっぱり再読、楽しもう>
という自己企画に沿った読書です。2~3年かかるかもしれません。その第1弾。
▼やはり傑作「長いお別れ」に比べると。いや、恐らく他のシリーズ作品全般と比べても。なんせ第1作ですから、
<フィリップ・マーローのひとり語り的文明批評>
が割と少ないですね。でもスタイルとしてはそれはもうある。
そのスタイル事態がやっぱり魅力。
▼一方で、段取りが複雑で・・・・・だいぶわからない(笑)
以下一応ネタバレっちゃネタバレですが
(ネタバレしても意味は無いと思います -
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フィリップ・マーロウは、酔っぱっていたテリー・レノックスと仲良くなる。彼の妻は億万長者の娘。ある日、その彼の妻が殺され、容疑がテリーにかかる。テリーは罪を自白した遺書を遺して逃亡先のメキシコで自殺するが、テリーが犯人とは思えないマーロウは真相をつきとめようとする…。
誰が良い人で誰が悪い人なのか見極めながら読んでいくドキドキ感が続きました。怪しい登場人物が多く、気が抜けません。
お酒と中年男、美しくミステリアスな女…ハードボイルドです。
主人公マーロウの人の依頼を断れない優しいところがありつつも冷静なところや、お金には断固クリーンなところに好感が持てました。
登場人物が多く、594ページも -
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昔、大型書店でバイトしていた頃、バカ売れしていたレイモンド・チャンドラー。読んでみたいと思っていた元祖ハードボイルドミステリーを初めて手に取った。
主人公のフィリップ・マーロウがカッコ良すぎ。極上のいい女も登場。ミステリーに引き込まれ面白くて一気読み。どんでん返しもあり、十分に楽しめた。
大金持ちの妻を撲殺したと言う友達を逃亡させる私立探偵のマーロウ。友達の無実を信じ続ける。次の依頼人は金髪の美しい女。アル中の人気作家である夫が行方不明で探して欲しい、と言う。そして、2つの事件が交差していく。
マーロウの癖が強い。ストーリーも粗削り。警察は殴りまくりの違法捜査するし、マーロウは隙だらけで普通は -
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何かを隠すということは本当に難しいものだと思った。人を殺したこと、殺した人を知っていること、自分が殺したのではないこと、自殺したこと、自殺しなかったこと、すべてが苦労に苦労を重ねられて隠されようとしていたが、どこかしらから誰かしらに見つかっている。
だが、単に悪いことはできないねという話ではなかったと思う。まず、何か「悪い」ことなのかがはっきりしないと思う。イギリスで会ったことか、結婚したことか、行方不明になったことか、忘れられなかったことか、金を持っていることか、道徳がわからないことか、首を突っ込んだことか、首を突っ込まなかったことか、いったい何が誰が悪い「から」こうなったのだろうと考えてみ -
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村上春樹訳
長編ミステリー読んだの初めてだけど楽しめました。
エピローグ難しかったけど読み応えあって私みたいにただただ読んでた身としては、なかなか言語化できないこの作品の魅力を伝えていた。
そして、フィリップマーロウが最高に魅力的なので他のシリーズも読んでみたいと思った。
ミステリーとして楽しむのはもちろんだけど、人間関係とか当時のアメリカの空気感、ジャンルの枠を超えて評価されるべき作品だとかんじた
あと、個人的に寝る時にみる夢で作品をみるとかなり没頭してると捉えてるんだけど、今回はそれでした。夢にでてきました。こういうオールドアメリカの世界観に弱い -
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ネタバレ探偵フィリップ・マーロウは、酔って駄目になっているテリー・レノックスに出会い、「なにか」に惹かれる。おそらくその「なにか」は彼にとって欠落というべきものだろうと思われる。その「なにか」がなんなのかについて彼自身がどのくらい理解しているのかは、小説を読む限りでは分からない。ただ、彼はその「なにか」のために、テリー・レノックスの死に執着する。その過程で、彼以外の、周囲の人の心にあるわだかまりは少し明らかになったりするし、事件の真相も明らかになる(予想以上にミステリ小説してたので驚いた)が、結局彼の欠落した「なにか」には1mmも近づかない。
最終的に、”ミステリ的な仕掛け”としてテリー・レ