レイモンドチャンドラーのレビュー一覧
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マーロウ最後の一作。もうこれでマーロウに会えないかとおむと寂しい。リンダが出てくるのが少し驚きである。
村上春樹が7作の翻訳をやっている。改めて、なぜ彼がチャンドラーが好きなのか考えてみた。彼はバイオレンスも銃も私立探偵も好きとは思えないし、ハリウッドの金持ちライフにも興味はないと思う。でもエッセンスで共通点はある。主人公の男は、自分のルールを持ち、他人の価値観や世間体や慣習には関係なく、あくまでも自分のルールに従ってとことん行動する。ここは共通。あとは一つ一つの文章が簡潔で短い。でも主人公の話し方は少しひねくれていて、回りくどいしきどっているし余計な比喩や修飾語がやたらと多い。ここらへんは -
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ネタバレなんか複雑というより、散漫なプロットだな。だから高校のときに読んだ印象が薄いのかもしれない。よくわからんまま話が進んで、マーロウが最後にいきなりすべてのプロットをまとめ上げ、強引に解決してしまうのは、それこそいかにも推理小説的だという気がするけど。チャンドラーが批判していたそれまでの推理小説とはどう違うんだろう。こういうのはご都合主義とは言わないのか?
でも逆に言うと、この煩雑さがリアルだということなのかな。チャンドラーに影響されたといいながら、この部分を勘違いしてやたらプロットの散漫な小説を書く奴がいそう。そういう作家の小説は読みたくないな。
マロイの探していたヴェルマが、実はグレイル -
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ネタバレこれはハードボイルドとしてだけではなく、推理小説としてもかなり優秀かも。犯人は、まあ誰をこの事件の犯人とするかはいろいろと問題があるにしても、結果的には怪しいやつがそのままなんだけど、被害者が入れ替わってるというオチはちょっとびっくり。これじゃあハードボイルドというよりも本格推理だよな。スカーフの使い方もうまかったし。
キングズリーが最後までいい人だったのが以外だった。フロムセットはそれほどいい女には思えないんだけど、マーロウはキングズリーに嫉妬しまくってるのが笑った。なんかこれまでの作品と人物の造形が違ってて新鮮だった気がする。デガーモはとことん嫌な奴だけど、それでも最後にいくらかの哀愁 -
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村上春樹もあとがきで書いていますが、誰が誰を殺したのかよくわからん。ですが、マーロウと周りの連中との減らず口のたたき合いや、独特なたとえなんかは相変わらずで、とても楽しめました。むしろそちらに集中していた感じで、チャンドラー節をみっちり味わえたまであります。
チャンドラー自身はあまり気に入っていない作品だったようですが、前に読んだ「高い窓」よりも良かったようにも思いました。最後のどんでん返しなんかは、かなりサービス精神を感じられました。
オーファメイが事務所を出ていったところで、きれいに終わっている感じがしたので、その後の展開はいらなかったかなぁ、と思う一方、最後のやり取りもなかなかに格好 -
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▼(本文より)
常識というのは、決して計算間違いなぞしない、グレーの背広を着たちっぽけな男だ。しかしその男が計算しているのは常に他人の金だ。
▼(本文より)
この街の売りのひとつは、ここで働いている人間にはここに住むような経済的余裕はないということです。
▼フィリップ・マーロウ長編を発表順に再読しよう計画の最終章。第1作「大いなる眠り」は作者49歳くらい。最後の「プレイバック」は作者69歳くらい。マーロウの年齢は言及されずにあまり老けていない印象ですが、小説そのものは、より練られて、より枯れてきて、そしてややタガが緩んでいる印象。それはそれで滋味深いのですが、やはり「ロング・グッドバイ」が -
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またしてもどこまでもキザなハードボイルド小説。
私立探偵フィリップ・マーロウのシリーズ。
刑務所から出所したばかりのムース・マロイが
かつての恋人ヴェルマを探してロスのバーを訪れる。
しかしバーは黒人専用店に変わっており、
情報が得られず逆上したマロイは店主を殺害して逃亡。
偶然現場に居合わせ、事件に巻き込まれたマーロウは
警察の依頼でヴェルマの行方を追うことに。
それと同時に舞い込んでくる翡翠のネックレスを巡る謎の依頼。
複雑な人間関係と謎が絡み合う、そんなストーリー。
『ロング・グッドバイ』とはまた違った渋さ。
だが勿論のこと、そのキャラクター性と物語の内容は
今回もコッテリと味が濃い -
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▼マーロウもののなかでも、「とにかく美女にもてまくる」要素満載ですね。ただ、チャンドラーさんが素敵なのは、ただたんにモテるというよりは、
・好感を持たれるけれど。
・基本、利用されまくり、騙されまくり、場合によっては殺されかかる。
・なんだけど、マーロウさんはぶつぶつ言いながらも大まか受け入れていく。
・それでもって、男女のカラダのコトには実はまったくもって及びません。キスがせいぜい。というか、<会話とキス>にこそロマンがある(笑)。
▼原りょうさんを再読したいなと思ったことから、
<マーロウ全部順番に再読して、原りょうさんも順番に再読しようプロジェクト>
が、発動。道半ばです。