岩井三四二のレビュー一覧

  • 田中家の三十二万石

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    近江百姓から秀吉、秀次に仕え、最終的には関ヶ原の戦い後石田三成を捕え、筑後柳川藩三十二万石の藩祖となる田中吉政の一代記。
    出世に従い求められるものが異なる中、上司の期待に応えて適応していく姿はまさに叩き上げのサラリーマンの様だ。その死後、嗣子達には不幸が重なり、わずか11年でお家断絶となる。

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    2025年08月09日
  • 「タ」は夜明けの空を飛んだ

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    バルチック艦隊との海戦が、臨場感溢れた。
    タが空を飛ぶまでの頑張りが、この海戦の見方を変えたように思える。

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    2024年09月24日
  • 天命~毛利元就武略十番勝負~

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    ■毛利元就のその初陣から隠居するまでの、10の場面での決断と行動。いわば「どうする元就」。
    ■小説なので非常に読みやすい。戦術検討や合戦の様子がリアルに描かれている。
    ■亡兄の子、幸松丸を支える後見役の多治比元就としてスタート。
    ■大江広元の子孫を称する毛利家も一族や重臣が多い。主家に対して、臣従する者もいれば蔑ろにする者もいる。
    ■高橋家を滅ぼし領土を拡大した頃から重臣たちがその実力を認めていく。
    ■忍びや斥候を使って情報を集めうまく活用する。情報運用の才能を感じさせる。
    ■志道広良という良き相談相手がいたことも大きい。
    ■尼子攻めの撤退戦で殿軍を命令され、九死に一生を得るなど苦労もしたし、

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    2024年05月16日
  • 崖っぷち侍

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    したたかに生き抜く

    戦国時代が終わり天下泰平の江戸時代へと時代が大きく変化する中、翻弄される人々の姿を描いている。
    この作者の描く登場人物は、みんな江戸時代の武士のように忠義や義理にガチガチにとらわれていない。生き生きとしていて どこかユーモラスでひょうひょうとしていて 実にいい。
    主人公たちは、最後に主家がつぶれて浪人してしまうが、農業も営んでいるのでそちらの方で自活してゆく。
    現代に置き換えると、会社がつぶれて失業してしまうが、手に職があるのでそれを元手に暮らしてゆく という今も昔も変わない真理を実感した。

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    2022年11月08日
  • 悪党の戦旗 嘉吉の乱始末

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    忠臣蔵といくらか似通ったとこ

    賢明とはいえない主君を持ったばかりに、お家の崩壊 追われる浪人生活 主家再興のための地味な努力 と忠臣蔵といくらか似通ったところがある。
    前半部分はいくらか地味であったが後半部分の話の盛り上がりは、なかなかのものである。もっともこの作者の以前の作品にあったようなほろ苦いユーモアは影を潜めているところは残念である。
    作品後半に南朝方と接触した際、赤松党も南朝方も絶望的な努力を長年尽くして来たので、手段が目的化してしまいもし本願がかなったら呆然としてしまうだろう という述懐の部分には感銘を受けた。

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    2022年06月08日
  • おくうたま

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    久々に最初から入り込める小説を読む。
    テンポよく引き込まれる文章に前に読んだ本もこんな感じだったのでこの人の作品と自分は相性がいいのかもしれない。
    瑞石は浅井家の男児を匿い雲石と名乗らせ医学を学ばせるが、雲石には堂々とした態度でバレたらその時考えると雲石の不安を意味のないものとしていう。
    そして瑞石の人間らしさや医学を志した動機、そして危険を覚悟で匿ったのは何故か雲石と別れる前日に雲石に語る。

    浅井家から特別な配慮か恩を返したのかと思っていたのだけど瑞石の優しさと後悔から引き受けたことを知り動じない人プラス優しい人、顏は怖いが根はいい人な瑞石に今までの行動が全て頼もしい人に変わっていった一行

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    2021年07月07日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    新進気鋭の作家さんが番狂わせとしてそこそこ有名な戦いを書いている(弥助だけ少し毛色が違うが)。地図が分かりやすく、非常に助かる。テーマ上、若い時期のストーリーが多いが、描き方は色々で興味深い。
    海ノ口は大河でも見たが、季節は考えたこと無かったな。政宗と長政の2作がお気に入り。

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    2021年03月01日
  • 難儀でござる

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    岩井三四二さん、初めて読んだ。面白かった。登場人物を通した視点から、様々な難儀が生き生きと描かれている。出てくる主役が、いつもの信長や家康でなく、そこが知りたいと思うような人物で、上手いです。

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    2020年08月16日
  • 戦国 番狂わせ七番勝負

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    歴史上の有名な戦いや、大大名の合戦の話ではないが、英雄の若き日の活躍や小が大を制する小気味好い物語がとても面白い。島津義弘、織田信長、真田昌幸などの想定外、裏話、想像を掻き立てるフィクションなどが、短編なのでさくっと読める。物語の面白さもさることながら、この作者がこんな話を書くのかという楽しみ方もある。ところで、こういういくさ話、単純な勝ち負け(結果)だけでもないし、武士のメンツや矜持を保つこと(外部からの評価)や信頼関係の構築(ネットワーク)など、ケースディスカッションに使えそうだなと。ちょっと作ってみるか。

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    2019年12月05日
  • とまどい関ヶ原

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    あまりにも有名な関ヶ原の合戦。歴史の表舞台には登場しない武士たちが、より力のあるもの達の顔色をうかがいながら翻弄されたり、切り抜けたりする姿がとても面白く描かれていました。
    息抜きに読むのにちょうど良かったです。

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    2016年08月07日
  • 村を助くは誰ぞ

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    日本の中世を舞台とした短編小説集。
    本の題名となった「村を助くは誰ぞ」は、
    強かに生きる農民達の姿が、生々しく描かれていて、
    特に良かった。

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    2011年09月24日
  • 難儀でござる

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    お初のダンナ、京極高次の苦悩を描く「蛍と呼ぶな」ほか戦国ものの短編集。ここにはカッコいい武将など一人もでてこない。この作家に一気にハマった一冊。

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    2011年05月15日
  • 村を助くは誰ぞ

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    本書も勿論、面白くたくましくそして切なくて悲しい。
    本文庫では著者のユーモラスかつ作家として生きていく苦しさも垣間見せるあとがきが嬉しい。そして細谷さんの解説で発想の源泉とそれを作品世界に昇華させていく過程の一端をうかがうことができる。

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    2011年01月05日
  • 戦国連歌師

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    戦国時代、乱世に何故連歌のようなちょっと優雅なものが・・と不思議に思っておりました。「武士はなぜ歌を詠むか 鎌倉将軍から戦国大名まで (角川叢書)」と本書である程度、理解出来たような気がします。連帯感と一種の高揚感が連歌で得られるのですね。
    著者のほかの作品と同様、主人公は滑稽で人間的、時に悲しい存在ですが・・・。最後には・・。
    師匠にあたる宗牧は実在の人物だそうで。不勉強で知りませんでした。そのまた師を辿っていくと古今伝授で有名な宗祇、東常縁まで行き着くのだとか。いやいや。岩井三四二さんはピンポイントで興味持っていることをテーマにして下さります。(気づくのが遅すぎますが。すみません)

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    2010年12月27日
  • 銀閣建立

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    東山文化の粋といっても当時の庶民には縁遠い。いや、縁遠いどころか怨嗟の的になっていたであろう銀閣寺。さすがに読後感を面白かったで片付けるわけにはいかないけど、それでも岩井さんの著作だけあって庶民、いや、職人の矜恃を感じさせる。
    古来の建築、そして銀閣寺に詳しければもっとこの世界に浸れたはず・・・。自分の知識といったら今年の夏だったかに観たNHKの創建時の銀閣寺を再現、推理しようという番組から得た知識がうっすらとあるだけ・・・。それでもこうであったかもと手を打つ箇所が。

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    2010年12月14日
  • 清佑、ただいま在庄

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    室町後期の文亀二年(1502)、和泉国逆巻庄に、京の大寺より一人の青年僧・清佑(せいゆう)が、荘園の新代官として赴任してくるところから、物語は始まる。

    前任の代官からは、「村の者どもをあなどってはならん。といって、恐れてもいかんがな」と心得を教えられ、寺の老師からは「村の者どもを愛子(あいし)と思うて撫育するように」とも教えられて、理想に燃え、良識と学識、祈祷の力を武器に、代官職を務めようとするが…。

    食うや食わずの生活を贈り、どんな手を使っても生き延びることを第一とする村人たちは、一筋縄ではいかない。

    年貢の徴収、公事(裁判)や対決(公判)、盗みの取調べ、干ばつや洪水の祈祷、地所争い、

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    2010年11月14日
  • たいがいにせえ

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    本書も面白い。丁度興味を持っていた鎌倉のこと、瀬戸内のこと、海賊が登場する編があること、それらを割り引いても引き込まれる。

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    2010年10月12日
  • 難儀でござる

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    いやあ、これも面白いの一言。
    書店で「岩井三四二:今手に入る全文庫本リスト」を入手。全部読むつもりでいる。

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    2010年10月09日
  • 清佑、ただいま在庄

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    連作短編。青年僧が主役なれど時代物の連作によくあるとおり大きな役を果たさないエピソードが多く、そのぶん周辺の人物像がイキイキとしています。
    各編の落とし具合が絶妙で荘園という舞台、時代も自分には珍しく是非この登場人物達のその後を知りたく思います。苦労、哀しみの多いものになるのでしょうけど。

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    2010年09月24日
  • 田中家の三十二万石

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    ◾️貧農から大大名になった田中久兵衛
    ◾️豊臣秀吉に似た出世物語
    ◾️宮部善祥坊に見出される
    ◾️三好秀次第一の老臣になるが悩み尽きず
    ◾️でも何とか切り抜ける
    ◾️家康の関東移封後の岡崎城主
    ◾️関ヶ原合戦で石田三成を捕縛
    ◾️田中久兵衛、宮部善祥坊でなく、田中吉政、宮部継潤と現代語にしてもらわないと頭に入ってこない
    ◾️国持ち大名になって本当に幸せだったのか
    ◾️立身出世の人物なのに有名でないのは、どこか暗さが付きまとう人物だからだろう

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    2025年05月12日