各々の孤独を抱えたような背中合わせの二人が気になって思わず表紙買い。
外見で惚れた腫れたじゃなく、決して若くない二人だからこそ会話とか心持ちで惹かれ合う方がよかったな。
結びつきを深めていった後半、情勢と共に絆にも暗い影が差す。夫と生まれてくる子との幸せを守りたいおつやと主君武田家を守ることで頭がいっぱいの善右衛門との男女のすれ違いがもどかしい。妊娠中の彼女の心細さが伝わってきて胸が苦しくなる。
戦国時代に生きる厳しさと過酷さ、背中合わせが暗示していたかのような二人の運命…全てが霧に包まれたように重かった。