岩井三四二のレビュー一覧

  • 村を助くは誰ぞ
    急転直下の展開があり面白い。
    けれど、後味が悪い幕切れ。
    そこがこの小説の魅力でもあるだろうけど、やりきれない。
  • 霧の城
    織田と武田の争いを背景に岩村城を巡った戦歴、楽しく読めました!
    戦国時代の中高年の恋愛感情とその顛末も巧みに書かれており、争いの要素に加えたストーリーでした。
    最近は歴史小説が楽しいです。年齢のせいかな(^^;
  • とまどい関ヶ原
    傍観を許されなかった決戦。
    武将達は悩んだ。
    どちらに付くか。勝ち馬に乗りたい。

    でも解らない。
    だから保険を掛ける。自分を高く売りたい。

    プライドは高い。
    自身の才能信じてる。自惚れてる。
    己の策略が戦局を動かしていると信じてる輩も。

    城に籠る。
    同僚は小大名ばっかり。
    腹の探り合い。
    仲間...続きを読む
  • とまどい関ヶ原
    タイトルの示すとおり関ヶ原に戦いを舞台にした短編集です。
    岩井さんらしく2話の安国寺恵瓊と7話の徳川秀忠を除いけば、主人公はさほど有名ではない武将たちが中心で、しかも主体的というより周りに翻弄される姿が描かれます。
    逸品とは言いませんが、安定した上手さを感じさせます。
  • 鬼弾 鹿王丸、翔ぶ
    粗筋と表紙だけを見ると時代物ハードサスペンスという印象ですが、著者の持ち味のユーモア有りの展開。
    ただし解説にあるとおりスナイパー像が特異。ガチガチの緊迫感というものではないですが真綿で締め付けられるように窮地に追い込まれる主人公という著者お得意のストーリー展開とラストのサスペンスはなかなか凄くラス...続きを読む
  • 理屈が通らねえ
    和算がテーマというちょっと珍しい時代小説で。でも途中まで主人公が情けなさすぎて・・・。柔術の達人と分かってからは面白く読めましたが、も一つ江戸時代の数学というものを生かしきれなかったような。僕が数学全く駄目なせいもありますが。
    でも楽しく読みましたよ。岩井さんの著作はこれからも追いたいです。
  • むつかしきこと承り候 公事指南控帳
    「小説すばる」に掲載された6話に、書き下ろし1話を加えて単行本化した作品。

    生薬屋を表看板にしている天竺屋時次郎は、公事(訴訟)を手助けする「出入師」を裏稼業としている。

    江戸時代の裁判権は、大名領国では藩に、天領では代官と勘定奉行に、寺社がらみは寺社奉行に、江戸市中の町人がらみは江戸町奉行にあ...続きを読む
  • 鬼弾 鹿王丸、翔ぶ
    義輝の戦国時代、三好勢と六角勢が睨み合う京の町を凄腕のスナイパーが跋扈する。対するは甲賀者。聞くと凄惨なサスペンスに思えるが、作風のとぼけた味が笑いも誘ってするする読める。戦国のゴルゴ13、あるいはジャッカルの日。風変わりだが面白かった。
  • 悪党の戦旗 嘉吉の乱始末
    足利将軍を討ったために、領地を奪われ、浪人になる赤松家。再起をするため、何度か蜂起するがその度に失敗し、赤松宗家の血を継ぐものが子供一人になってしまう。もはや、失敗はできない。そこで、考えられたのが、吉野にある南朝から神器を奪うこと。しかし、幕府からは復権のために、南朝の天皇の首も条件にされる。困難...続きを読む
  • 戦国連歌師
    檀那方には連歌は遊びや。けどわしにとっては違うんや。連歌の席がわしの戦場や。ここからはもう逃げるわけにはいかんのや。
    平手をにらみ返すと、「願います」と友軌は句をうながした。
  • 清佑、ただいま在庄
    中世の荘園を舞台にした作品です。
    そこに生きる人間群像を描いています。
    荘園の青年代官清佑入道の成長物語としても読めますが、作品世界は軽めです。
    ただし、中世の荘園という誰も挑戦しない作品を、難解にならず、分かりやすく描いている、という意味では大変貴重な作品です。
    軽めが成功しているともいえるでしょ...続きを読む
  • 覇天の歌
    戦国時代の連歌師 里村紹巴の一生。
    岩井三四二らしく、地味な生活の苦労などを丁寧に書いているところが面白い。
    歌の才能に限界を感じ、連歌師としての顔の広さを生かして権力者となるが、偏見からは逃れられず・・・といったあたりはやや切ない。
    茶道などとの関係も少し分かって面白かった。
  • 清佑、ただいま在庄
    舞台が室町後期の荘園の村というのも珍しい設定です。京都の大寺院が管理する荘園と地頭との確執と言った背景があったりしますが、描かれる事件の多くはどの時代にでも起きそうな事ばかりなので、さほど時代を意識しなくても読めます。
    杓子定規過ぎるところはあるが、心根は優しい荘園の代官の僧・清佑と、貧窮ゆえにした...続きを読む
  • 難儀でござる
    タイトルが秀逸。上役から無理難題押し付けられる男たちの物語。時代は違うが、中間管理職の悲哀は変わらないということか。
  • 覇天の歌
    連歌師・里村紹巴が主人公。
    本能寺の変について語られる時、必ず触れられる明智光秀の「ときは今天が下しる五月哉」が愛宕山で開いた連歌会
  • 銀閣建立
    初めての岩井作品。地味だが室町の息遣いが現代に蘇るようなリアリズム。他の作品も読んでみたいと思わせる魅力がある。
  • 切腹屋
    主人公は今で言う弁護士っぽい仕事の駆け出しで、負けたら切腹させられることになり、死ぬ気で駆けずり回る。相手は裏にヤクザみたいのもついてるし、命を狙われながらも不利な事案を最後は勝ち取る爽快ものだった。こういう仕事ってこの時代からあったんだなというのも勉強になった。
  • 銀閣建立
    銀閣建立によって引き起こされる悲喜交々。
    銀閣に対する将軍の想い、棟梁の矜持。
    そして同業者との争い、家族、奉行衆との関係、そして時代。
    作者が書きたかった事が色々ありすぎて、最後がちょっとボヤけた感じになってしまったか。
    どこかにカタルシスを感じるところがあっても良かったように感じる。
  • 天命~毛利元就武略十番勝負~
     歴史小説が好きでかなり読んできたが、毛利一族の物語は初めて読んだ。
     「三本の矢」のエピソードぐらいは知っていたが、最初、毛利家は小さな国だったのはちょっと意外。最初から安芸の大きな豪族だと勝手に思っていた。
     主人公の元就の知略、ある意味「だまし討ち」じゃんという戦略は読んでいて楽しかった。
     ...続きを読む
  • 清佑、ただいま在庄
    岩井さんは、本当に中間管理職の悲哀や市井の人々の物語を書くのがうまいなぁ。いつの時代も変わらないことがよく分かる。