岩井三四二のレビュー一覧

  • 異国合戦 蒙古襲来異聞

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    元寇について何か面白い本を探していたら、作家の伊東潤さんにオススメ頂いて(しかも他の作家の作品・汗)読んだのだが、とてもおもしろい小説でした。非常に広範囲で複雑な元寇の全体像から大胆に絞って、九州の地頭の次男坊であった竹崎季長の鎌倉武士の生き様を中心に描きつつ、北条時宗のリーダーシップ、元に植民地化された朝鮮の忠烈王とその宰相の金方慶の苦悩、そしてフビライハンの日本侵攻の執拗さなど周辺人物の描写も十分に楽しめる。

    元寇は暴風雨による勝利だと思っていたのだが、それはダメ押し効果であって、九州の警護に当たった鎌倉武士達は地上戦でも戦いを優位に進めていたことは初めて知った。そもそも当時の航海技術で

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    2016年06月18日
  • 崖っぷち侍

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    戦国末期から大坂夏の陣にかけて、安房の国・里見家に勤める武士の強右衛門が、時代に振り回されて困窮しながら奮闘する姿が描かれます。
    戦に勝っても領地は減らされ、追い詰められても何とか頑張る強右衛門にも好感が持てます。
    如何にも岩井さんらしい、下級武士の前向きの生き様を題材にした話。
    嫁姑の戦いもどこかユーモラスで楽しい話でした。

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    2016年05月15日
  • 霧の城

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    織田と武田の争いを背景に岩村城を巡った戦歴、楽しく読めました!
    戦国時代の中高年の恋愛感情とその顛末も巧みに書かれており、争いの要素に加えたストーリーでした。
    最近は歴史小説が楽しいです。年齢のせいかな(^^;

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    2014年11月14日
  • とまどい関ヶ原

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    傍観を許されなかった決戦。
    武将達は悩んだ。
    どちらに付くか。勝ち馬に乗りたい。

    でも解らない。
    だから保険を掛ける。自分を高く売りたい。

    プライドは高い。
    自身の才能信じてる。自惚れてる。
    己の策略が戦局を動かしていると信じてる輩も。

    城に籠る。
    同僚は小大名ばっかり。
    腹の探り合い。
    仲間内での神経戦。
    大名やってらんねー。

    家来たちも大変だ。
    主命とあらば、組みたくもない同輩と死中を突破しなければならない。

    派閥争いは合戦中も続く。
    敵は刃を交える相手だけではない。
    加えて主君はどうも馬鹿かもしれない(笑)。

    あー侍やめた。
    あーお殿様もやめた(笑)。
    あーお殿様に戻りたい・

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    2014年09月05日
  • とまどい関ヶ原

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    タイトルの示すとおり関ヶ原に戦いを舞台にした短編集です。
    岩井さんらしく2話の安国寺恵瓊と7話の徳川秀忠を除いけば、主人公はさほど有名ではない武将たちが中心で、しかも主体的というより周りに翻弄される姿が描かれます。
    逸品とは言いませんが、安定した上手さを感じさせます。

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    2016年06月19日
  • 鬼弾 鹿王丸、翔ぶ

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    粗筋と表紙だけを見ると時代物ハードサスペンスという印象ですが、著者の持ち味のユーモア有りの展開。
    ただし解説にあるとおりスナイパー像が特異。ガチガチの緊迫感というものではないですが真綿で締め付けられるように窮地に追い込まれる主人公という著者お得意のストーリー展開とラストのサスペンスはなかなか凄くラストは一気読み。

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    2013年04月12日
  • 理屈が通らねえ

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    和算がテーマというちょっと珍しい時代小説で。でも途中まで主人公が情けなさすぎて・・・。柔術の達人と分かってからは面白く読めましたが、も一つ江戸時代の数学というものを生かしきれなかったような。僕が数学全く駄目なせいもありますが。
    でも楽しく読みましたよ。岩井さんの著作はこれからも追いたいです。

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    2013年04月03日
  • むつかしきこと承り候 公事指南控帳

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    「小説すばる」に掲載された6話に、書き下ろし1話を加えて単行本化した作品。

    生薬屋を表看板にしている天竺屋時次郎は、公事(訴訟)を手助けする「出入師」を裏稼業としている。

    江戸時代の裁判権は、大名領国では藩に、天領では代官と勘定奉行に、寺社がらみは寺社奉行に、江戸市中の町人がらみは江戸町奉行にあったが、いずれも弁護士のような代理人制度はなく、公事宿という宿泊施設が手助けをしていた。

    なので、時次郎の仕事は非合法で、町奉行所から目をつけられているが、弁護士ドラマのように、様々な手づるを使って依頼者と訴訟当事者の身辺を探り、弱点を見つけて段取りを決め(これを「絵図面を描く」と言っている)、ひ

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    2013年03月21日
  • 鬼弾 鹿王丸、翔ぶ

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    義輝の戦国時代、三好勢と六角勢が睨み合う京の町を凄腕のスナイパーが跋扈する。対するは甲賀者。聞くと凄惨なサスペンスに思えるが、作風のとぼけた味が笑いも誘ってするする読める。戦国のゴルゴ13、あるいはジャッカルの日。風変わりだが面白かった。

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    2013年02月13日
  • 悪党の戦旗 嘉吉の乱始末

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    足利将軍を討ったために、領地を奪われ、浪人になる赤松家。再起をするため、何度か蜂起するがその度に失敗し、赤松宗家の血を継ぐものが子供一人になってしまう。もはや、失敗はできない。そこで、考えられたのが、吉野にある南朝から神器を奪うこと。しかし、幕府からは復権のために、南朝の天皇の首も条件にされる。困難な条件だが、やるしかない。吉野の険しい山道を、そして仲間の葛藤をえがく。最初のストーリーはまどろっこしかったが、吉野に入り込むところや、最後に主人公の小寺藤兵衛が覚悟を決めるところはスピード感あり、ハラハラして読んだ。神器を取り返してきたときに、今まで助けてくれていた者が恩賞ほしさに、神器を掠めとる

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    2012年03月11日
  • 戦国連歌師

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    檀那方には連歌は遊びや。けどわしにとっては違うんや。連歌の席がわしの戦場や。ここからはもう逃げるわけにはいかんのや。
    平手をにらみ返すと、「願います」と友軌は句をうながした。

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    2011年02月25日
  • 清佑、ただいま在庄

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    中世の荘園を舞台にした作品です。
    そこに生きる人間群像を描いています。
    荘園の青年代官清佑入道の成長物語としても読めますが、作品世界は軽めです。
    ただし、中世の荘園という誰も挑戦しない作品を、難解にならず、分かりやすく描いている、という意味では大変貴重な作品です。
    軽めが成功しているともいえるでしょう!
    代わり映えのしない、マンネリの戦国、江戸、幕末の時代小説に厭きた方にはお奨めです。

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    2010年12月12日
  • 覇天の歌

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    戦国時代の連歌師 里村紹巴の一生。
    岩井三四二らしく、地味な生活の苦労などを丁寧に書いているところが面白い。
    歌の才能に限界を感じ、連歌師としての顔の広さを生かして権力者となるが、偏見からは逃れられず・・・といったあたりはやや切ない。
    茶道などとの関係も少し分かって面白かった。

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    2010年12月05日
  • 清佑、ただいま在庄

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    舞台が室町後期の荘園の村というのも珍しい設定です。京都の大寺院が管理する荘園と地頭との確執と言った背景があったりしますが、描かれる事件の多くはどの時代にでも起きそうな事ばかりなので、さほど時代を意識しなくても読めます。
    杓子定規過ぎるところはあるが、心根は優しい荘園の代官の僧・清佑と、貧窮ゆえにしたたかに生きる村民達。さらには代官と村民の間に挟まれて苦労する役人。貧窮ゆえの盗みで父親が処刑され、孤児となり、したたかに生きる14歳の娘。派手ではないけど、キャラクターは揃っていて、安心して楽しめる話になっています。

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    2016年07月31日
  • 難儀でござる

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    タイトルが秀逸。上役から無理難題押し付けられる男たちの物語。時代は違うが、中間管理職の悲哀は変わらないということか。

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    2010年08月07日
  • 覇天の歌

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    連歌師・里村紹巴が主人公。
    本能寺の変について語られる時、必ず触れられる明智光秀の「ときは今天が下しる五月哉」が愛宕山で開いた連歌会

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    2009年11月03日
  • 銀閣建立

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    初めての岩井作品。地味だが室町の息遣いが現代に蘇るようなリアリズム。他の作品も読んでみたいと思わせる魅力がある。

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    2018年10月14日
  • 田中家の三十二万石

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    頑張って働いて、中堅企業の社長にはなったのだけど、本当にやりたかったのはこれだったのか。みたいな話。

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    2025年11月09日
  • 鶴は戦火の空を舞った

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    第一次世界大戦の際に日本軍で飛行機の操縦訓練生であった錦織は柵から抜け出し大空ではばたく為、フランスに渡り志願兵として戦うことを決意する。ドイツ軍の戦闘機と繰り広げられる戦闘シーンはドラマチックに眼に浮かぶ。

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    2025年07月24日
  • 津軽の髭殿

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    本州最北端、津軽で生まれ、餓鬼大将から、謀略、騙し討ちで津軽の大名となった津軽為信の人生。
    髭殿と愛される、どこか憎めない。
    戦乱の世であったが、うまく立ち回り、結果、津軽家は代々津軽の地で大名としてつづき、明治維新を迎えることとなる。

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    2024年11月22日