岩井三四二のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
元寇について何か面白い本を探していたら、作家の伊東潤さんにオススメ頂いて(しかも他の作家の作品・汗)読んだのだが、とてもおもしろい小説でした。非常に広範囲で複雑な元寇の全体像から大胆に絞って、九州の地頭の次男坊であった竹崎季長の鎌倉武士の生き様を中心に描きつつ、北条時宗のリーダーシップ、元に植民地化された朝鮮の忠烈王とその宰相の金方慶の苦悩、そしてフビライハンの日本侵攻の執拗さなど周辺人物の描写も十分に楽しめる。
元寇は暴風雨による勝利だと思っていたのだが、それはダメ押し効果であって、九州の警護に当たった鎌倉武士達は地上戦でも戦いを優位に進めていたことは初めて知った。そもそも当時の航海技術で -
Posted by ブクログ
傍観を許されなかった決戦。
武将達は悩んだ。
どちらに付くか。勝ち馬に乗りたい。
でも解らない。
だから保険を掛ける。自分を高く売りたい。
プライドは高い。
自身の才能信じてる。自惚れてる。
己の策略が戦局を動かしていると信じてる輩も。
城に籠る。
同僚は小大名ばっかり。
腹の探り合い。
仲間内での神経戦。
大名やってらんねー。
家来たちも大変だ。
主命とあらば、組みたくもない同輩と死中を突破しなければならない。
派閥争いは合戦中も続く。
敵は刃を交える相手だけではない。
加えて主君はどうも馬鹿かもしれない(笑)。
あー侍やめた。
あーお殿様もやめた(笑)。
あーお殿様に戻りたい・ -
Posted by ブクログ
「小説すばる」に掲載された6話に、書き下ろし1話を加えて単行本化した作品。
生薬屋を表看板にしている天竺屋時次郎は、公事(訴訟)を手助けする「出入師」を裏稼業としている。
江戸時代の裁判権は、大名領国では藩に、天領では代官と勘定奉行に、寺社がらみは寺社奉行に、江戸市中の町人がらみは江戸町奉行にあったが、いずれも弁護士のような代理人制度はなく、公事宿という宿泊施設が手助けをしていた。
なので、時次郎の仕事は非合法で、町奉行所から目をつけられているが、弁護士ドラマのように、様々な手づるを使って依頼者と訴訟当事者の身辺を探り、弱点を見つけて段取りを決め(これを「絵図面を描く」と言っている)、ひ -
Posted by ブクログ
足利将軍を討ったために、領地を奪われ、浪人になる赤松家。再起をするため、何度か蜂起するがその度に失敗し、赤松宗家の血を継ぐものが子供一人になってしまう。もはや、失敗はできない。そこで、考えられたのが、吉野にある南朝から神器を奪うこと。しかし、幕府からは復権のために、南朝の天皇の首も条件にされる。困難な条件だが、やるしかない。吉野の険しい山道を、そして仲間の葛藤をえがく。最初のストーリーはまどろっこしかったが、吉野に入り込むところや、最後に主人公の小寺藤兵衛が覚悟を決めるところはスピード感あり、ハラハラして読んだ。神器を取り返してきたときに、今まで助けてくれていた者が恩賞ほしさに、神器を掠めとる