あらすじ
尾張が美濃に攻め寄せるという。軍勢が村へ入れば村人たちには生き死にの大問題だ。オトナ衆の次郎衛門は戦火から村を守るため、織田勢から自軍の乱妨と略奪を禁止する命令書をとりつけようとするが……。戦乱の中で奔走する村人たちの、たくましさとせつなさを描いた表題作を始め、全6本の粒ぞろい歴史短編集。※本書は、2004年12月に新人物往来社より刊行されたものを文庫化にあたり加筆修正したものです。
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Posted by ブクログ
本書も勿論、面白くたくましくそして切なくて悲しい。
本文庫では著者のユーモラスかつ作家として生きていく苦しさも垣間見せるあとがきが嬉しい。そして細谷さんの解説で発想の源泉とそれを作品世界に昇華させていく過程の一端をうかがうことができる。
Posted by ブクログ
1美濃国で尾張との国境に居を構える地侍。2美濃国の危機に発せられた密使。3密使に強請られる伊勢神宮の御師。4やはり尾張国に接する美濃国平田西荘に住む百姓。5それとは逆の、尾張側の村娘。6土岐家に嫁いだ斎藤道三の娘・帰蝶の傍近くで暗躍する甲賀くノ一。1~6それぞれの物語は、斎藤道三の周囲を描いており、戦国時代の過酷さを浮き彫りにする。そのどれもが大団円ではなく、人々のしたたかさと悲哀が伝わる連作短編。「那古屋小判金」の、自国・美濃にも、敵国・尾張にも組できない地侍の一発逆転劇が面白かった。