燃え殻のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
燃え殻さんの日常と、過去と現在が綴られていた。書くことを仕事にした苦労と、日常に少し疲れてしまっているところ。過去に出会った人のことを思い出しながら、夢を見たり、晩酌をしたり、半チャーハンと餃子を食べたり。あまりにも人間味があって、愛おしくなる。時間にルーズな国と東京の息苦しさを綴った「いつかインドのどこかの駅で」と束の間の再会をする女性のことを思い出す「雨宿りをするふたり」心を病んでしまった知人の男性の話「今日は疲れた。いい意味だけど」。「死にたい」が口癖のイラストレーターのお話「ではでは明日も生きましょう」が好き。自分の懐に出たり入ったりする人間模様や、土地、仕事など、慌ただしい日々を自分
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Posted by ブクログ
恋愛小説読んどこと無かったが、最高にエモい。
ショートショートくらい短い恋愛小説。各章タイトルがオザケンの曲なのが気になったが、やっぱりオザケンファン。渋谷系や90年代当時のサブカル的なものが盛り込まれていて、渋谷系文学って感じ。関係の無いオムニバスかと思えば、20年にも渡って続く長い恋愛物語だと気づく。
固有名詞多めで、余計な駄文は無く、まるでその時代を追体験しているかのように入り込める。まるで誰かの古い日記を読んでいるようなリアルな没入感があって寝る前に読み進めるのに最高。
すべてが懐かしく、その懐かしさに閉じ込められた思い出をふり返り、今日が過去になっていくことを身に染みながら生きて -
Posted by ブクログ
人間って、過去を生きる人、今を生きる人、未来を生きる人に分かれるんじゃないかと最近思う。
過去、現在、未来のどれに重点を置いているか、という事なんだけど、燃え殻さんは過去なんじゃないかなぁ。
今まで体験してきた事、感じた事、消化しきれていない感情、心に留まっているセリフなんかが今の燃え殻さんを形作っていて、原動力にも、これからの指針にもなっている。
そんな勝手なイメージ。
特に好きだったのは「はい、百九十万円」「毎回同じで飽きませんか?」「僕たちには僕たちのルールがあった」の3つ。
最近燃え殻さんばっかり読んでる。
2025年は燃え殻year。
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Posted by ブクログ
ネタバレ私が今読み進めた中で1番好きだったのは
人間関係の果の果ての姿っていうやつ。
燃え殻さんの私と同じ時代に考えていたこと、
"僕はまだこれから何にでもなれると自分自身を買い被っていた時期だった。"
私がまさにそう思っていると思う。現在進行形で。
歳を取ってもきっと私は何も変わらないし、
何にもなれないと思う。海外で生活することだってないだろうし企業して社長になることだってないだろうね。
でもどこかで自分にもどこかの成功者みたいな
事が未来に起きるだろう、だから今その為に努力しなければならないと、と言うようなことを考えていたと思う。実際のところ、私は変わらずこんなんやと思う。そ -
Posted by ブクログ
読み終わったのは結構前だけど、頭の片隅からこの小説のエッセンスのような物がずっと消えて無くならない。
そういう本は年に数冊ぐらいあって、私の人生を彩ってくれている。
Audibleでの二村ヒトシさんとの対談を聴いて、この作品がより好きな作品になった。
読みながら「エモい」っていうキーワードはずっと浮かんでいて。
だけどこの本の素敵さを「エモい」の一言では終わらせたくない自分もいる。
似たような本は読んだことがある気がするのに、なぜこんなに心に留まるんだろうと考えていたけど、対談で燃え殻さん自身が「エモい」を書こうとして書いたわけじゃないというのを聞いて腑に落ちた。
「この表現エモいでしょ