【感想・ネタバレ】これはただの夏(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

その瞬間、手にしたかったものが、僕の目の前を駆け抜けていったような気がした――。テレビ制作会社に勤める秋吉、知人の結婚式で出会った風俗嬢の優香、育児放棄気味の母親と暮らす十歳の明菜、末期癌を患う秋吉のクライアント、大関。長い人生の中でのほんの一瞬、四人は絶妙な距離を保ちながらも、ひと夏を過ごす。嘘で埋めつくされた日常の中で、願いのようにチカリと光る「本当」の物語。(解説・菊地成孔)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

夏の終わりに読み終えるのにはとても良い作品でした。皆秘密を抱える4人の関係性、近くずくほど遠くなるワクワクするような関係性の表現がとても沁みました。
自分はこんなドラマすらない夏が終わりましたが、来年の夏はきっとと思いながら真夏の果実聴いています。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

これぞエモい小説というんじゃないのだろうか。
題名に夏が入っているという理由で読み始めたけれど、心が震えて、エモすぎて悶絶した後に冒頭に戻ってまた頭を抱えてしまいました。
夏が起こす不思議な時間。
出会えてよかった小説です。
北ウイング絶対再生することになります。

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2025年09月08日

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ネタバレ

夏。その響きはただの季節のようにも感じるし、青春の大切なひとときを感じさせるもののようにも思う。この作品は、そんな忘れられない、しかし年が経つとおのずと忘れてしまうような、忘れたくないひとときを描いた作品だと感じた。儚い。余韻が残る作品だった。もう遅いなと思うことは案外まだ間に合うぞ、といったメッセージもあるのだろうが、僕は、青春のひと時を感じるということに感想の全てを持って行かれた。青春の甘酸っぱい記憶や忘れられない記憶、何気ない景色を見た時にふと思い出す記憶、そういったものを作り出すのに年齢は関係ないのだなと感じた。結局は自分がどう考えて、どう行動するか。そしてその瞬間をどう感じ、どう意味づけるかだと学んだ。結婚式の後、初めて会った人と2人で手を繋いで、ただ朝まで話しながら歩く。この記憶に忘れられない、どこか懐かしく名残惜しいものを感じる。そういった大切なものを、大切にすることが、人生を豊かに過ごすコツのようにも思われた。この作品は、終わりがあっけなく、分かりやすい結末が書かれていないだけに、その先の登場人物について想像させられ、何とも言えない儚い気持ちになった。ただ、そういった部分も含めて、読んでよかった一冊。

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2025年07月29日

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『あのさ、やっぱり今日の夜さ---』



前作『ボクたちはみんな大人になれなかった』と同様に、なんか鼻の奥にツンと感じるようなノスタルジックさ。
あぁー、エモいなー。

きっと主人公にとっても、この過ぎ去っていった夏は、在りし日のセピア色に焼けた思い出として、先の未来でもふとした時に回想していくのだろうな。

それが自分にとって『これはただの夏』だと、言い聞かせたとしても。





その瞬間、手にしたかったものが、目の前を駆け抜けていったような気がした……。

「普通がいちばん」「普通の大人になりなさい」と親に言われながら、周囲にあわせることや子どもが苦手で、なんとなく独身のまま、テレビ制作会社の仕事に忙殺されながら生きてきてしまった「ボク」。
取引先の披露宴で知り合った女性と語り合い、唯一、まともにつきあえるテレビ局のディレクターにステージ4の末期癌が見つかる。
そして、マンションのエントランスで別冊マーガレットを独り読んでいた小学生の明菜と会話を交わすうち、ひょんなことから面倒をみることに。

ボクだけでなく、ボクのまわりの人たちもまた何者かになれず、何者かになることを強要されていたのかもしれない……。

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2024年11月27日

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子供と大人、発注元と下請け、風俗嬢と客、それぞれ関係が規定された中での親交だから、一線を越えることがない停滞感がある。でも、一線は越えないまでにしても線の上を踏んでいるような曖昧な関係性が甘美だなとおもった。お店でゆかとボクが笑い合っているシーンにどきどきした。恋っていいな、とおもった。

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2024年11月24日

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2冊目の燃え殻さん。
燃え殻さんの小説はゆっくり読みたいと思うのに、今のこの感覚をもう少し味わいたいと思っているのに、読み進めてしまう。読み終わってしまう。

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2024年10月05日

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最初の一文から惹き込まれた。簡潔な文章でサクサクと読める。ユーモアがあるのに全体的に切なさが漂う。切なくて悲しいけど悲しいだけじゃない不思議な雰囲気のある物語だと思う。

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2024年09月11日

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これはただの夏の日の出来事。
ほんの数日間の話なのに、ほんの数日間だからなのか、あの人もあの子もどこでなにしてるんだろう?ってふと思い出してしまいそうな、そんな感じ。
夏って暑くなって暑さの中で何もかもがのぼせたように過ぎていって、夏が終わるとき嬉しいんだけど寂しい気がする。

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2024年09月08日

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人生の中でどんな人と出会って関わるかはわからない。ただ絶対にどこかで誰かと一緒に過ごすことになる。性別も年齢も自分と違う人との関わりの面白さ。

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2025年11月05日

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夏のひとときの出会いで主人公のこれからの人生は変わるのか分からない。でも良い出会いであったことは変わりない。

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2025年08月11日

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4人の人生が交錯した一度しかない夏の話
目の前を流れる全てのものを掴むことは出来ない。
掴み掴み損ね、たまに気付かぬふりをしたり。長年生きていくと鈍感になっていくという言葉に深く納得。しかし、そんな心を揺さぶる出会いと別れが確かにあった。

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2025年05月04日

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ネタバレ

「ボクたちはみんな大人になれなかった」より好きな作品だった。あぁ、取り残されてしまったなぁと思った終盤、胸が苦しくなって泣きたくなった。主人公にとって忘れられない、ただの夏

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2025年01月21日

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こう言う本は読んだ後に自分が経験したかのように取り戻せない思い出に思いを馳せて切なくなるけど好きだな〜(自分的に陳腐な恋愛よりこう言う思い出の方が好き)
バカ暑くて嫌になっちゃう夏だけど、そう言う思い出って夏に多い気がするのはなんでだろう

後から振り返って切な苦しくなる思い出って経験したからこそ分かることもあるんだろうなと思う

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2024年11月17日

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夏に生まれる出会いと別れ。夏の終わりと喪失感がリンクしている。流れるように滑らかで読みやすい文章。おそらく燃え殻さん自身の経験もまじえた私小説的な側面もあるんだろうけど、どちらとも取れる曖昧さが良い。「ヒマそうに見えるってのは一種の才能だよ」は心に留めて置きたい言葉。定期的に読み返したくなる一冊。

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2024年09月05日

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誰でも、誰かの少しの心の支えになってるといいなと思った。

「長年生きていると、慌てず騒がず、少しずつ鈍感になっていく。そうやって鈍感になっていかないと、生きていくのはむずかしい。」
という言葉に救われた

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2025年10月01日

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これから夏本番を迎える今読むのにぴったりな本でした。
はっきり言葉で表現するのが難しい秋吉と優香と明菜。そこに秋吉の仕事仲間の大関。
みんな色々な事情を抱えながらも、良い関係性を築いていたけれども、夏が終わりを迎えると、秋吉の前からみんないなくなってしまった…
夏の楽しさと夏が終わり秋を迎える物悲しさが表現された物語でした。
作中ででてくるちょっとしたもの(別マ)とか懐かしかったなぁ。

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2025年06月22日

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ドラマ「すべて忘れてしまうから」を見て以来、燃え殻の著書が気にはなっていたが、愛しのブックをオフする店舗ではなかなかお目にかかれずにいた。

最近、本書を入手し、早速読んだ。
何とも言えない、寂しさと懐かしさを感じる作品だった。

何だよ、良いじゃないか。
燃え殻って名前に騙されたよ。

燃え殻の著書、全部読む。ちょっとずつでも全部読むことに決めた。

星は3つだが、良かった。3.8くらいある。4つと迷うくらいはある。

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2025年05月08日

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形容し難い読後感。
これで終わりか感は否めないけど、出てくる登場人物は魅力的で、不思議な絆が繊細に描かれているところが良かった。

大小はあれど、誰もが心にどこか闇を抱えながら、悩みながら生きてるんだなぁって思う。
社会人になって、自分ではない誰かのためのタスクに追われる日々に忙殺されて、心がだんだん鈍感になっていく感覚は共感できる。
そんな時に、真っ直ぐに一生懸命、世界に立ち向かっている子供の姿を見ると、心が洗われるというか、大切なことを教えてもらえる瞬間がたくさんあるのかもしれない。

クールに生きるのって人生1番損してるかも。
素直に生きるっては単純そうで1番難しい。

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2025年04月19日

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推しがおすすめしてるという理由で読んでみたけど、なんとなく重さと軽さの狭間というか、これはただの夏、と思えないような、でも、ただの夏なんだろうなというような感じ。現実を生きている感じがとても人間味のある作品だった。

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2025年03月04日

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これはただの夏、そう言い聞かせるような本だった。きっと彼にとってはただの夏とは言いきれないくらいのひと夏だったのだろう。人とは出会いと別れがあるけれどずっと思い出していけるような綺麗な別れ方だった。テトリスならゲームオーバーくらいの隙間のなさ、良い

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2024年12月24日

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ネタバレ

この小説、みんな次々といなくなっていきますが、普通の人の人生はそう都合よく、かつドラマチックに、タイミングよくいなくなったりしない(笑)。いなくなるというのは、ある意味きれいな記憶が残るから、悪いものでもないとも思う。
そう思うとこの小説は、きれいにいろいろな人がいなくなってて、そこは、いかにも小説って感じもします。

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2024年10月11日

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一夏の思い出
明菜の逞しさが際立ってた
最後はやっぱ溜めてたものを伝えたかったのかな
ママの「はい、でた反抗期」がツボった
明菜と大関の関係なんかあんのかな

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

230ページ近くさらりと読めた。
夏の描写がリアルで暑苦しいけど夏らしさが伝わる作品。リアルすぎて小説というかエッセイというか、とにかくふんわり読みやすかった。
全体を通して大人目線なのに、なんだか懐かしい小学生時代の夏を思い出せる。あの時楽しい時間を過ごしたあの人あの子はいまどうしているのかな、えもくなった。起承転結がこれといってある訳でも、大きな事件がある訳でもない、ただ不意に思い出した懐かしい人が不意に出てくるそんな日常。
実は読み終えた後に、帯の「その後の物語-。」を見つけてしまって、前作あったの?となりました……大人の読書初心者、気になった本を買って読んだらこうなる、こんなのもありだよね。

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2024年09月14日

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