畑中章宏のレビュー一覧

  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    明治以前、大半の神社は神仏習合で神も仏も、神殿も仏堂も区別なく同居し、神前の仏像に僧侶が読経したり神に奉仕するカオスな世界が「神仏判然令=神仏分離令:神祇官事務局達慶応4年3月28日」で『中古以来、某権現或ハ牛頭天王之類、其外仏語ヲ以神号ニ相称候神社不少候、何レモ其神社之由緒委細に書付、早早可申出候事神社』と仏教用語で神を名乗る神社は由来を書面で提出させられた
    仏具(仏像・鰐口・梵鐘)を取り除かされ、十日前の通知で僧侶は俗人(=復飾)となる命令があるので・・・仏教・・・詰んだ(´・ω・`)
    全ては神祇官、謎の支配があったのだ
    羽根田文明「仏教遭難史論」
    ・・・古制に則り神祇官の設置となった。こ

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    2023年03月03日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    廃仏毀釈とはどういう運動だったのか、ざっくり知ることができる新書。

    まず冒頭で、日本では、仏教伝来後、仏教と日本の神々が両立し、混淆していた状況を紹介する。廃仏毀釈の際、薩摩、大隅、日向では、4000余りあった神社の御神体で神仏混淆ではなかったのはわずかに1社だけだったという。どちらかといえば、超絶に論理的な仏教が神道を飲み込んでいったということなのかもしれないが、もともと日本は、かなりカオスで、大らかな宗教状態が続いていたようだ。

    具体的な毀釈の例も数々紹介される。それらを読むと、全国的によく知られた神社の多くが、元々は仏像を神の本地として祀っていたり、そもそも権現を祀る寺だったものが神

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    2022年02月22日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    牛頭天王の存在を知って、聖林寺十一面観音の展示をみて、神仏習合と廃仏毀釈を理解したいと思い読み始めました。

    明治の神仏分離令が出される前の神仏習合について述べたうえで、各地の個別の廃仏毀釈運動がどのようなものだったかが解説されるので、流れがつかみやすく理解しやすかったです。行ったことのある場所も多く、新たな視点の蒙が啓かれました。

    仏教建築そのままに、名称を変えて神社建築に利用されている談山神社には行ってみたいと思いました。修験道は山岳信仰なのに密教なの?とか、御嶽神社と講、権現の考え方といったいくつものもやもやが少し晴れた気がします。

    一方で、廃仏の憂き目に遭った仏を受け入れた寺社はど

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    2021年12月30日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    明治政府による神道国教化で沸き起こった廃仏毀釈。民衆が熱狂的になり寺院や仏像を破壊しまくったイメージがある。




    しかし、物事はそんな単純ではなかった。従来のイメージが覆すのが今回の本だ。




    廃仏毀釈のきっかけになったのは、神仏分離令だった。1868年4月5日から1868年12月1日までの間に出された太政官布告、神祇官事務局達などの総称。





    破壊されたはず仏像や仏具が他のところに移されて現存していたりと破壊一直線とは言い難い。




    全国各地の寺院が被った影響についても言及している。




    あまり見聞きすることのないテーマだけに新鮮だな。

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    2021年12月29日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    廃仏毀釈についての解説書。

    本書は、まず序章で神仏習合についての解説がされ、第一章で日吉・薩摩・隠岐、第二章で奈良・京都・鎌倉そして宮中について、第三章では伊勢・諏訪・住吉・四国について。

    第四章では吉野・出羽三山・金毘羅などにあった「権現」について、第五章では八王子・祇園・大和などにあった「牛頭天王」について。
    終章では「廃仏毀釈果たされたのか?」と題し、廃仏毀釈のその後や現在、そして最後に「民衆は廃仏にどこまで積極的だったのか」と問うている。

    廃仏毀釈についての本は3冊目になります。
    そうすると、大体ここの地域ではこうで、ここはこんなだった。ということが少し頭に入っているので割と読み

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    2021年11月14日
  • 天災と日本人 ──地震・洪水・噴火の民俗学

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    災害に係る全国の言い伝えだなどを広く集めています。結構な数の言い伝えが掲載されていますが、もちろんこれで全部でなく、他にも沢山あるのでしょう。こういった言い伝えを都市化で住民が入れ替わる中で、どうやって伝えていくのか、そんな課題の一助にもこの本がなるのかもしれません。

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    2021年11月01日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    各地における代表的な廃仏毀釈の実態の概要がわかりやすく列挙されている。天王の隠蔽などは他であまり触れられいないので興味深い。ただしあくまでも概要であって詳細ではない。もっと個々の状況についての調査が必要なのではないか。あまり厳しく行われなかった地域の例も具体的には述べられていないので全体の傾向もわからない。これだけでは著者の民衆の意識云々の傾向はわからない。
    なお、著者の「習合」と「混淆」という言葉の使われ方とか、「民衆の暴挙」云々の問題の立て方とか若干違和感を感じる。個人的には廃仏毀釈は平田派を中心とする国学者たちが明治政府の役人になって行われた暴挙だと思う。当然それにおもねる一部民衆も出て

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    2021年10月01日
  • 21世紀の民俗学

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    ネタバレ

    『君の名は。』とそのサイドストーリーに出てくる宇宙(彗星)、蚕(1803年『繭五郎の大火』)と茨城県の宇宙(1803年の「うつろ舟」、蚕神社に伝わる「金色姫」)、蚕(日本三大蚕神社が全て存在する)に着目した話が興味深かった。

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    2018年12月29日
  • ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか

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    新美南吉の作品について民俗学的な視点から考察した一冊。
    なかなか面白かった。

    『ごん狐』と『おじいさんのランプ』ぐらいしか読んだことがないので、他の新美南吉作品も読んでみたくなった。

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    2014年11月14日
  • ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか

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    以前記事で畑中氏のインタビューとこの本が紹介されていたので読みたくなった。理由は私が絵本や童話に興味が出ていることと、以前読んだ『新耳袋』(編/木原浩勝、中山市朗)という実話シリーズで狐に騙される話がいくつも出ていたので興味を持ったからというのもある。

    この本のタイトルは、ごん狐だけでなく、新美南吉さんの作品全般に示されることであると思う。
    “なにかをなくしてしまうことでしか、他人とつながれない人びとや動物が出てくる。”
    新しいものの前には、失われたものがあるのだ。

    この本を読むにあたり、『ごん狐』『手袋を買いに』以外の読んだことのない新美南吉さんの作品をいくつか読んだ。
    古い風習、失われ

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    2013年10月26日
  • ごん狐はなぜ撃ち殺されたのか

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    いくつも、あった。
    何かは言葉にしにくいけれど。

    灯りや共同体や子どもやおじいさんや、私の好きな事柄は随所に紹介されて(そして再発見させて)いたが、権狐とごん狐の違いが一番、知れて良かった。

    "「権狐」(または新美南吉が描き出したものたち)は、何故(時代の中で)撃ち殺されたのか?"
    他の方のレビューを読んではっとしました。
    そもそもはタイトルに煽られて半ば怒りの中で手に取ったのに、童話の世界に夢中になりすぎて全然考えられていなかった。反省。

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    2013年10月01日
  • 関東大震災 その100年の呪縛

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    災害は一瞬にして日常を奪う。だがその記憶は語り継がれることで「文化」となる。関東大震災から100年畑中章宏は災害民俗学の視点で人々がいかに災いと向き合ってきたかを掘り下げる。震災は単なる自然現象ではなく差別や流言、国家の対応をも浮き彫りにする鏡でもあった。喉元過ぎれば熱さを忘れる――そんな風化への警鐘とともに記憶をつなぐことの意味が問われている。過去に学び未来を守る知恵の継承が必要となる。

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    2025年08月08日
  • 感情の民俗学 泣くことと笑うことの正体を求めて

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    笑えているからといって幸せとも限らない、泣いているからといって不幸せとも限らない。そこには文化や民俗という文脈が必ずある。

    一つ一つの事象がおもしろくて、サクサク読めた。
    昔と今を行ったり来たりしてくれるのも、人間の連続性を感じられて良き。

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    2024年11月27日
  • 今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる

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    民俗学者の宮本常一を「思想家」として位置づけ、その思想の簡潔な解説をおこなっている本です。

    宮本に対して、これまで「思想や理論がない」「その方法を明示していない」といった批判が向けられてきたと著者は述べたうえで、「宮本民俗学の底流にある「思想」を解き明かしていく」ことを本書の目的に定めています。たとえば著者は、「世間師」と呼ばれる人びとのことばに宮本が耳を傾けて、彼らの話のなかから一枚岩の「共同性」とは異なり、多様性をうちに含む「公共性」のありようが示されているといった考察を展開しています。

    一方で、宮本のしごとを特定の理論に整理することのむずかしさは、著者自身もある程度自覚しているように

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    2024年11月13日
  • 関東大震災 その100年の呪縛

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    関東大震災後の政策を現代まで民俗学的アプローチで考察。日本人は災害を社会現象ととらえずに精神的問題ととらえているため、原因と結果を曖昧にしがちであり、その結果軍国主義に走ってしまうきっかけとなり、地に足かついた復興はねじれていくと指摘。関東大震災をキーにした分析としては異色ですが、なかなか当を得ていると感じました。防災復興が空回りしている原因もここかもしれませんね。

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    2023年12月24日
  • 今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくる

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    読みやすさ ★★★
    面白さ ★★
    ためになった度 ★★★★

    これから宮本常一の著作を読もうという人にとっては、宮本のことを要領よくまとめていて、最適だろう。巻末のブックガイドも使える。

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    2023年06月22日
  • 21世紀の民俗学

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    民俗学の連載をまとめた本です。「21世紀」とありますが新しいものばかりを取り上げたわけではありません。面白い項目はありましたが民俗学を深く知りたい人にとっては中途半端に感じるかもしれません。新潟県の猫山宮尾病院と河童の関連が興味深い。いつか調べてみたいと思いました。

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    2022年09月09日
  • RE-END 死から問うテクノロジーと社会

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    死生観は時代と共に変わるものなので、今生きている人たちが死後CGで作られて何かに使われることに対して、良い気がしないというのであればそれがやっていいところとそうでないところのラインなのだと思います。
    テクノロジーの進化の前に、死が身近でなくなっているから、CG作ったりマインドアップロードとかそういう発想になるのかなぁと。
    技術の進化はそれはそれで出来ることが増えるのはすごいけど、ひとの気持ちや歴史も踏まえた上で取り入れないと道を踏み外しそうなこわさがあるなと思いました。
    しりあがり寿さんの漫画は短いながらもゾッとしました。

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    2022年02月13日
  • 廃仏毀釈 ――寺院・仏像破壊の真実

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    神仏習合の前史と廃されずに残った仏について前後に1章ずつ。中心な各地の廃仏毀釈の事例。具体名が出て詳細ではある。史実の検証が難しい分野ではあるが、その全体像や深層にもう少し踏み込んで欲しい。
    最初に手に取るには良いか。

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    2021年11月23日
  • 21世紀の民俗学

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    帯に
    ー新しいと思われていることが古いものに依存していて、
     古くさいと思われていたことが新しい流行のなかにあるー
    との言葉が
    なぁるほど ふむふむ
    でした

    まだ 考察途上という感を強く持ちました
    でも ぜひぜひ
    とても興味深い論考なので
    次の一冊に期待したいものです

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    2020年10月27日