畑中章宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
民俗学者の宮本常一を「思想家」として位置づけ、その思想の簡潔な解説をおこなっている本です。
宮本に対して、これまで「思想や理論がない」「その方法を明示していない」といった批判が向けられてきたと著者は述べたうえで、「宮本民俗学の底流にある「思想」を解き明かしていく」ことを本書の目的に定めています。たとえば著者は、「世間師」と呼ばれる人びとのことばに宮本が耳を傾けて、彼らの話のなかから一枚岩の「共同性」とは異なり、多様性をうちに含む「公共性」のありようが示されているといった考察を展開しています。
一方で、宮本のしごとを特定の理論に整理することのむずかしさは、著者自身もある程度自覚しているように -
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Posted by ブクログ
気の利いたエッセイ、くらいの感覚で読み始めたが、読み終わってみると、マジメで意欲的な民俗学の本(といっても、学術ジャーナルではなくて、一般人への紹介本)
痛絵馬や、聖地巡礼などに代表されるような、ちょっと変わったものを民俗学で捉え直す切り口から、
1970年代に急速に連続性を失い、今は、過去とのつながりを見通せなくなった滅びゆくものの挽歌を歌った民俗学を、21世紀の未來に向けて再構築する実験の書でもあった。
『「いくぶんか珍しくなりかけたも」のを拾い出し、「歴史の過程を明らかにする」ものと、そのための方法。二十一世紀の民俗学が模索しているものも、こうした民俗学にほかならない』ということか