【感想・ネタバレ】新・大阪学のレビュー

あらすじ

「食いだおれ」のイメージに収まらない多彩な伝統食材、商都大阪をつくった女性たちのまなざし。
京都・奈良に引けを取らない仏教美術、日本を代表する最先端の知的ネットワーク。
主流ではなく非主流、中心ではなく周縁。

大阪生まれの民俗学者が、「美食」「デザイン」「女性」「リベラルアーツ」「非主流」「ハイブリッド」「越境」「多国籍」という8つのキーワードから〈大阪とは何か〉を問いなおし、この街の忘れられた記憶を再発見する。

「大阪の中心を「船場」とする見方は、戦後、歴史学者の宮本又次によって学問的な裏づけがなされ、1990年代には、作家・文芸評論家の大谷晃一が一連の『大阪学』で、大阪を「キタ」と「ミナミ」で語る“定型的”な大阪観を定着させた。宮本と大谷に共通してみられるのは、大阪・大坂を、江戸・東京と対照させる姿勢だった。
しかし本書では、大阪を東京と比較したりはしないし、また西日本の代表だといった立場をとったりもしない。なぜなら、大阪は独自の土壌に、オルタナティブな文化をはぐくんできたからである。」(本文より)

※カバー画像が異なる場合があります。

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Posted by ブクログ

大阪を歴史・文化・建築などから見ていく書籍。ケチという様なよくあるイメージだけでなく、デザインにこだわったり多文化を取り入れる土壌についてなど、従来の大阪感を覆すような感覚に襲われる。

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2025年04月28日

Posted by ブクログ

畑中彰宏「新・大阪学」(SB新書)
キタ(梅田)とミナミ(難波)あるいは船場ばかりを語ってきた従来の大阪語りに対し、著者は天王寺・阿部野や堺、さらに河内や和泉まで含んだ大阪を語りたいと言う。

建築家の村野東吾、南大阪の古寺の仏像、富田林の寺内町、堺の武器と茶道、堺屋太一と万博の太陽の塔、与謝野晶子・山崎豊子・田辺聖子・司馬遼太郎・筒井康隆・開高健などの作家、懐徳堂・兼葭堂などの江戸の知識人、折口信夫や宮本常一の民俗学、コシノ三姉妹のファッションビジネス、コリアンタウンやリトル沖縄など盛り沢山な大阪とその文化を紹介する。やや「ごった煮感」は残る。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

<目次>
序章   「新・大阪学」事始め
第1章  美食~”魚庭“”菜庭”庶民の味
第2章  デザイン~建築・美術・景観
第3章  女性~文学とビジネス
第4章  リベラルアーツ~知的ネットワークの系譜
第5章  非主流~抵抗と批評の精神
第6章  ハイブリッド~混交する聖と俗
第7章  越境~ボーダーレスな超人たち
第8章  多国籍~移民と共生する街
終章   「大阪」とは何か

<内容>
かつて大谷晃一が『大阪学』を提唱、「キタ」と「ミナミ」に分けて語る大阪観が定着した。しかし著者は、これが京都や東京と対照させるためのものだったとして、大阪の特色を各章に反映させた。ただし、現・大阪府をイメージしての話ではなく、どちらかというと「和泉」「河内」にシフトしている話のように思えた。淀川を北上する「摂津」地域がほとんど触れられていない。大阪に疎いわたしの感覚だけど…。そちらには大学も多く、また違う文化が色づいているのかもしれない。ただ堺の町の紹介など、行ってみたくなったことも確か。

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2025年05月06日

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