【感想・ネタバレ】今を生きる思想 宮本常一 歴史は庶民がつくるのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年07月15日

宮本常一のものの見方、思想と方法の概要が分かりやすく解説される。
宮本が何に影響を受けていたのかは、あまり知らなかった。クロポトキン『相互扶助論』で、アナキズムの系譜にあることや、読もうと思っていたくらしのアナキズムの著者が宮本を評価していることを知り、自分の関心、ものの見方はこの系譜が好きなような...続きを読むことがわかる。また、実際の地域おこしや、離島振興法の整備に奔走したという、学問に止まらない実践の人であったことも知る。
⚫︎西日本のフラットな社会構成と、東日本の縦社会の対比や、
⚫︎共同体と公共性の違い、
⚫︎技術と、物流、産業、人の移動、都市との関係をも複合的に考えて、相関関係で見ることで、流動的な文化や社会の実態がわかる。→自然環境保全を実現する上でもこのアプローチが必要なのでは?
⚫︎諸民は、虐げられただけの存在ではなく、慎ましく健全に生きていること
⚫︎人間とかく、自分の立場から見て、苦しい生活にある人(小農や乞食など)の生活を悲惨と見做しがちではあるが、そうではなく、彼らの中にも相互扶助があり、福祉事業ではなく彼ら自身が自ら立ち上がる道がないかと探っていたこと
⚫︎何が進歩、発展か、その裏で失われているものがあること
⚫︎村落共同体の中にある熟議と民主主義、そのよさと、それが阻む進歩もあること
⚫︎女性が虐げられた存在とだけではなく多彩な生活と自律を持っていること
ナドナド、この本だけでも興味深いことの連発である。
途上国で感じた、発展してほしいけど今の良さを無くしてほしくないという感覚や、生活が苦しい中でも明るい途上国の人々に出会ったときの感覚と符合する言説が多い。そして、宮本の眼差しは、多様性が語られる今、この時代でも古びていない。
決して大きな極端な言葉で語らず、物事のひかりと影を丁寧に見ていく宮本の言説は、今のSNS社会でも重要だと思う。
傍流に留まるという見方、まさにオルタナティブである宮本の姿勢は、現代資本主義に端を発する様々な社会問題に絡め取られている我々にとって、重要な示唆を与えていると思う。

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Posted by ブクログ 2024年01月20日

旅に学ぶ父の10箇条
01汽車に乗ったら窓から外をよく見る。豊かか貧しいかその雰囲気を感じ取る
2新しく尋ねたところが高いところから見てみよう。
3金があったら名物や料理を食べる
その暮らしの程度が分かる
4時間のゆとりがあったら歩いてみる。
10、み残したものを見るようにしろ
その中にいつも大事な...続きを読むものがあるはず

焦る事は無い自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。

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Posted by ブクログ 2024年01月07日

民俗学や宮本常一に全く土地勘が無かったが、入門本として薄く広くで話題が飛びがちなところはあるが、更に読書を進めてみようという気にさせる。

何点か特に印象に残ったのは、冒頭にある心の民俗学とものの民俗学ということで、柳田國男など、有名な民俗学者は前者で、有字文化を追うのに対して、宮本常一はものに着目...続きを読むし、また、文字化されてない慣習や祭などに着目したと言うこと。文字は上流階級のものだとすれば、確かに民俗を広く捉えるなら無字文化への注目が必要だ。

また、それを分析として具現化したものに狭山茶の話があった。なぜ狭山でお茶なのかと言う点についてそれまで明確では無かったようだが、茶は茶壷に入れて輸送しないと湿ってダメになる→信楽の壺に宇治の茶を詰めて江戸へ→そうすると無駄に茶壷だけ江戸に残る→近郊で茶の生産に適した狭山で茶を作る→壺が足りなくなって信楽の職人が笠間などに進出。なるほどなと。

これ以外にも東日本の縦社会と西日本のフラット社会、開かれた性の文化など文字文化だけ見ていても見えてこない話が網羅されている。宮本常一については引き続き注目したい。

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Posted by ブクログ 2023年10月11日

忘れられた日本人しか読んだことなかったのでとても面白く読めました。
小さい声、それもメインストリームにいるのではない人々に注目し、その小さい語りを拾い上げていくのは、アレクジェービチさんの本でも感じた、現代に求められるものを同様に感じました。

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Posted by ブクログ 2023年06月22日

読みやすさ ★★★
面白さ ★★
ためになった度 ★★★★

これから宮本常一の著作を読もうという人にとっては、宮本のことを要領よくまとめていて、最適だろう。巻末のブックガイドも使える。

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