【感想・ネタバレ】感情の民俗学 泣くことと笑うことの正体を求めてのレビュー

あらすじ

私たちの感情は〈ならわし〉によってつくられる?

内側からこみあげてくるように感じられる「感情」。
しかし、喜怒哀楽は、時代や慣習によって変わる。
つかみづらい感情の正体をもとめて、民俗学をひもとく。

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本書「はじめに」より

感情については、これまで、数えきれないほどたくさんの本が書かれてきました。

なぜそれほど多くの本が書かれてきたかというと、多くの人が、感情をつかみづらいと感じているからです。「感情に左右されている」「感情にもてあそばれている」「感情をコントロールすることがむずかしい」……。この本を手にしたあなたも、きっとたぶんそんな人なのでしょう。

でも、そもそも感情は、どこにあるのでしょうか?

感情のありかをみきわめようとするとき、感情が「こころ」に属するという人と、「からだ」に属するという人がいるようです。

たしかに、感情が「こころ」にあるか、「からだ」にあるかによって、感情への対処のしかたが変わってきそうです。

「こころかからだか」は、「心理現象か生理現象か」といいかえることができるでしょう。しかし、感情を発生地点をみることで、その本質に近づくことができるものでしょうか。また、感情を心理や生理としてあつかわず、哲学の対象として感情を概念的にとらえて考察することもさかんにおこなわれています。いってみればそれは、感情を「あたま」で分析し、理解しようとする立場だといえるでしょう。

いずれにしても、感情が人間のどこから生まれてくるのかがはっきりとしているのなら、感情は御しやすいような気がします。ですから、感情は私たちの内側にあるのか、外側にあるのかについて疑問を抱いてみてもいいかもしれません。
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【目次】
はじめに/人は昔、「ぴえん」と泣いていた。

I 感情はどこからくるのか?
1 感情は意外と新しい
2 ありかを探して
3 「しぐさ」と感情


幕間 感情的会話/その1
Ⅱ 感情とはなになのか?
1 感情は「表現」なのか
2 「いいね!/」の進行形
3 「微笑」と「奇妙な笑い」
4 「笑い」と「ウソ」
5 笑う祭と泣く祭
6 『「いき」の構造』の「いき」
7 「らしさ」のゆくえ
8 感情の政治性と社会性


幕間 感情的会話/その2

Ⅲ 感情はどこへ行くのか?
1 共感の時代?
2 感情の公共
3 感情をつくる


終幕 感情的会話/その3

参考・引用文献一覧

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

題名の通り、民俗学の立場から感情とはなにかを考察していく本です。
考察していくうえで、民俗学だけでなく、心理学や科学、歴史的背景などの立場で感情を議論する面もあります。
あとがきで著者本人が語っているように、本書だけでは結局感情がどういうものなのかは明らかにされていません。まあ明らかになっていたらノーベル賞ものだと思いますので、当然かなと。
感情同士がやり取りをする幕間も面白いです。

0
2024年11月09日

Posted by ブクログ

笑えているからといって幸せとも限らない、泣いているからといって不幸せとも限らない。そこには文化や民俗という文脈が必ずある。

一つ一つの事象がおもしろくて、サクサク読めた。
昔と今を行ったり来たりしてくれるのも、人間の連続性を感じられて良き。

0
2024年11月27日

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