赤尾秀子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
19世紀後半のアメリカ北西部の港町をモチーフにしたスチームパンク小説。
ラピッド・シティの高級娼館モンシェリで働く主人公カレンが、別の娼館から足抜けしてきたインド人の美少女プリヤをかくまうところから物語は始まる。
カレンはプリヤに一目惚れしてしまい、プリヤのために彼女の妹を救出しようとして……っていうお話。
スチームパンク小説なので、いろいろなアナログガジェットが登場するんだけど、なかでも注目はカレンが乗り込む甲冑型ミシン!(いったいどんな構造なのー?)
この小説の世界では、甲冑型の機械っていうのはごく普通の工業製品で、甲冑型ミシンもそのひとつ。
ただ、モンシェリのミシンは、カレンの仲間にしてマッドサイエンティストのリジーが改造して汎用的な動きもできるようになっちゃってる、っていう胸熱なガジェットなのだ。
敵方のバントル一味は、もっと強烈というか悪辣なガジェットを持っているんだけど、ネタバレになっちゃうからここでは内緒。
そのほかに自動調理機や手術機(なぜ娼館にあるのかは察して……)なんてのもごく日常的な道具として利用されていて、ガジェット好きにはたまらないかも。
とはいえ、ガジェットよりも活躍するのが実は馬だったりする、というのもこの小説の面白いところ。
馬に寄せるカレンの愛憎が、物語を前に進めていく大きな要素になってるんだよね。
もちろん、クライマックスではガジェット同士が盛大にドンパチしてくれるから、スチームパンクの王道?は外れていない。
ハッピーエンドで終わるし、敵方もロクでもないやつらばかりなので、スッキリと勧善懲悪エンタメとして楽しむことができる。
ところで、ラピッド・シティの特徴でもある新道っていうのが絵的によく分からなくて、情景がうまくイメージできなかったんだけど、訳者あとがきでシアトルにそういうのがあった、って書いてあったからググッてみた。
観光名所になっているシアトルの地下街(Seatlle Underground)がそれで、画像を見てから小説を読むとラピッド・シティの街並みがうまくイメージできるんじゃないかな。 -
Posted by ブクログ
「デビュー長編にしてヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞など『ニューロマンサー』を超える英米7冠、本格宇宙SFのニュー・スタンダード!!!」
惜しみない称賛が際立つ本書は、アン・レッキーの長篇「叛逆航路」です。前文に加え、アーサー・C・クラーク賞、英国SF協会賞、英国幻想文学大賞、キッチーズ賞を受賞。翻訳版では日本の星雲賞(海外部門)も受賞しているようです。良くも悪くも「数多くの賞を受賞した作品」というレッテルを背負ってしまった本書。往々にしてこういう作品は期待値が大きくふれすぎて、案外微妙な印象に終わることが多いのですが…
しかし、本書。なかなかどうしておもしろい。
原題は「ANCILLARY」。この単語は「協力者、召使」あるいは「付属品」の意味を持つようで、本書では「属躰」と訳されます。この言葉が本書のキーワードのひとつで、解説の言葉を借りると「宇宙戦艦のAIを、戦闘用に改造を施した人体に上書きダウンロードした生体兵器」を指しています。宇宙戦艦のAIは、戦艦を支配するだけでなく、多くの属躰を管理下におきます。多くの属躰から得られた情報をAIは認識し、属躰もまたそれを共有するのです。このようにAIは属躰から様々な情報を得ることが出来ますが、こういった「ひとつの出来事を様々な視点から切り取る描写」は、本書を特徴付けるところがあって、なかなか刺激的です。
属躰に加えて、本書の世界観も魅力のひとつです。強力な専制国家ラドチが宇宙を併呑する世界を舞台に描かれる独自で綿密な世界観。その力の入れようは、解説の後に「付録 アンシラリー用語解説」が収録されるほどです。
さて、宇宙戦艦のAIにありながら、ある事件を経て、たったひとり生き延びた属躰「ブレク」が本書の主人公。ブレクが紡ぐ過去の記憶と、進行する現在の出来事。ふたつの世界が結ぶとき、物語は大きな展開を迎えます。それまでのどちらかというと単調な(しかし、たしかな波乱を予期させる)展開もあってか、ここから食い入るように読み進めることができました。
ただ、独自の世界観がもたらす設定(例えば、ラドチは性別を意識しないため、すべて「彼女」と呼称する)に加え、最終的に誰が味方で誰が敵なのか、ぼやかして進行される展開には、結構混乱させられました。まあ、それも含めておもしろいのですが。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現代スペースオペラのアンソロジー。スペースオペラとは言うじょう、波乱万丈ではまったくない。
〇イアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」ーロボット宇宙船が宇宙戦に生き残った戦争を起こした冷酷な独裁者の救助命令に逆らえないが。
・ユーン・ハ・リー「課外活動」ー七連合王国もの
〇アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」ー女王のクローンが女王との決闘に臨み反逆を企てる。
〇アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」20万年周期で銀河を周回し記念イベントを行うが、実は種族は滅びている。哀愁漂う
・T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」
・チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」ーカルト惑星に侵入し盗みを企てる。ハチャメチャ喜劇
〇アリエット・ド・ボダール「包囊」ー母惑星から独立した宇宙ステーション人は母惑星の文化を装うため包囊を身に着ける。ベトナム系フランス女性作家の作品
・セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」)
〇ラヴィ・ティドハー「背教者たち」ーユダヤ教の背教者を探るため派遣された裁定者が背教し。
〇ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」ーウィルスが寄生し超空間ナビゲート能力を得るが、共生がうまくいかずに。
〇アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」ーMTFらによる女権帝国に対し男権主義者が反乱を起こし一時は帝国は滅亡しMTF狩が始まるが。
・アン・レッキー「審判」
〇サム・J・ミラー「惑星執着者」ー故郷の惑星へのゲートが閉じてしまい宇宙を放浪する男娼が武器商人と会い故郷の通貨を見つける
・カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」