赤尾秀子のレビュー一覧
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『フローリングのお手入れ法』
著者 ウィル・ワイルズ
訳者 赤尾秀子(あかおひでこ)
【帯より】
猫をソファに上げないこと、床を汚さないこと
完璧主義の友人宅の留守番を引き受けた
ぼくの悪夢のような八日間
恐ろしくもおかしいカフカ的不条理!
正に帯にある通りですね。笑 面白かったです。
(内容はヤングアダルトのノリかな。笑)
しがない物書きの“ぼく“が暮らすロンドンのアパートは埃っぽい床。そして学生時代の友人オスカーに留守を頼まれたのは高級な無垢フローリング。彼が大切にしているその床に、あろうことか赤ワインの染みをつけてしまい、その修復に悪戦苦闘する八日間のお話です。留守宅では“ぼく“の行動を予測したオスカーの指示メモが、あらゆるところから出てきますよ。笑
どこにでもいるような至って普通の人の“ぼく“。決して悪い人ではありません。そこがまた、このバタバタとした展開をユーモラスに、不幸だけれど笑えてしまうストーリー仕上げています。笑(“ぼく“の心情になると穏やかではいられませんがね、汗)
正に、泣きたくなるような状況が次々と起こります。前半は、知的な部分と汚れた雰囲気(個人的には何となく『シェークスピア&カンパニー書店の優しき日々』を読んだ時の感覚を思い出しました)でしたが、後半はもう殆どコメディです。不幸の連続です。泣笑
目次は初日/二日目/三日目/…八日目と区切られていて、不運にも“ぼく“は徐々に追い詰められていきます。この展開、予測通りと言えばそうなんですが、次々に起こる不運な出来事を、何とかリカバリーしようと試みる“ぼく“の努力、そして更なる不幸に見舞われていく不運なる状況。笑えない状況だけれど、これは笑ってしまいます。笑
(星は3ー4で迷いました。掃除婦のおばさんのことを思うと3ですが、“ぼく“の努力に4で!)
著者紹介に、ウィル・ワイルズ、1978年インド生まれ、ロンドン在住の作家で建築・デザイン関係のライターとしても有名。とあります。
訳者のあとがきでは、『本書は「ぼく」とオスカーの戦い、すなわち混沌/カオスと秩序/ルールの戦い。このアイデアは知人のフラットで過ごした実体験から生まれたそうです。(床は美しい天然木、猫も二匹いたそうです。ー「だけど何も起きなかったよ。傷ひとつなく、猫も人間もみんな元気だった」とありますね。無事で良かった。笑) -
Posted by ブクログ
表題は、作中に出てくる架空の本のタイトルなんだけど、これが、世間によくある「おしゃれライフスタイル本」のパロディで、主人公がその本を読むところ、シチュエーションが絶妙でおかしくて笑ってしまった。
全体として、非常に緻密に考えられた設定の話(ジャンルとしてはミステリになるのかな?)で、なかなかおもしろかった。
ちょっとしたミスを隠そうとしてどんどん悪い状況に転んでいく、という展開は、読む方も最初から分かっているんだけど、私が最初に想像したよりはるかにとんでもない状況になっていって、でもちゃんと全部きれいに回収されて、すごく納得のいくラストだった。
作者は建築・デザイン関係のライターだというけれど、確かに完璧な建築みたいな設定と結末で、頭のいい人だなぁと感心した。
正直にいうと、主人公の物思いが冗長すぎて前半はかなり退屈なので、それで★ひとつマイナス。
タイトルを見たとき、私の大好きな本『悪意と憂鬱の英国式週末テニス』(マデリーン ウィッカム著)をなぜか想起させられて読んでみたくなったのだが、思った通り、その本と同種のユーモアの本だった。強いて言うなら、悪意と憂鬱の英国式ユーモア?
ディテールがほんのりとおかしい。
音楽家のオスカー(←超神経質な性格)の作品「路面電車の時刻表による変奏曲」とか。
主人公がどう思ったかはともかく、私はオスカーいい奴じゃん、と思ったけどな。 -
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あなたが、まだ前の2作を読んでいないのなら、そこから始めることをお勧めします。
きっと<叛逆航路>シリーズは、三部作というより超長編SF小説なのでしょう。
「素晴らしい想像力をお持ちの方」以外は、ぜひ順番に読んで。
さて、三部作最終話『星群艦隊』。
派手目なアクションシーンも加わり、ラドチ皇帝アナーンダとの対決はいよいよクライマックスの盛り上がりをみせる。
さらに前作で謎だったゲートの向こうに潜む影が、徐々に明らかに……。
特にこの編で、人の話の中だけではなく「通訳士」という実態で登場する「蛮族(エイリアン)プレスジャー」の存在が、ものすごく重要になる。
プレスジャーとの条約は「人類は意義ある非人類を殺さない⇔プレスジャーは人類を殺さない」というもの。
「通訳士」は、常に人類の文化や文明などを観察し、条約履行状況を報告しているようだ。
終盤で皇帝が通訳士に「AIや属躰は私(人類)が作った所有物であって、非人類ではない」と主張すると「すべての人類は人類自身から作られているのに、どう違うのか?」と反論される(この時代、人の誕生はすべて人工授精で皇帝自身はすべてクローン、でも哲学的には自然出産も含めてもいいかも)。そのとき、絶対であったはずの皇帝がプレスジャーを前にひれ伏すのか……。
異なる者の存在に対する「畏怖」と「嫌悪」から「排除しようとする感情」、これらを乗り越えないと<共存する社会>は生まれ得ない。
「書きたい事がなければ物書きではない、面白くなければ小説家ではない(と誰かが言っていた?)」……面白かった。 -
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「それは正義といえるのか?」
SFでありながら、シェイクスピアのようでもあり、アガサ・クリスティでもある。
前作『叛逆航路』同様にレトロな香りのする日本語題名、原題は《Ancillary sword》、第1作に比べてスケール感は縮小するも、相変わらず独特の世界観で読む人を引き付ける。
特に“ジェンダーを区別しない”文章表現への試みは、現代のジェンダー問題を主張するというより「当たり前となったときの状況」がよく描かれている。
舞台となるアソエク星系では「アーナンダ同士の分裂抗争」により星系間ゲートが閉ざされ混乱が生じている。主人公ブレクは艦隊司令官として、自身が《トーレンの正義》だったころの副官オーンの妹が住むこの地を訪れることに……。
この星系は、「お茶」の一大生産拠点として支配層であるラドチャーイ、農園労働力としてのヴァルスカーイ人、元からの住人サミル人が、決して交わることなくそれぞれの社会を形成している。
人種差別、マイノリティ問題、さらに人を兵器として作り直す「属躰という奴隷」。
かつてAIで属躰の一人であり、今は「何者でもない」主人公ブレクが何を思いどう行動するか……。
SFというステージで作者の意図を伴い、物語は自由に繰り広げられる。
さて、次は第3作『星群艦隊』、いよいよ「元AIブレクの放浪」に決着がつくのか……。 -
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決して面白くないわけでは無い作品なのだが、
タイトルから想像するに、サクラ大戦(帝国華撃団)的な
蒸気で駆動されるパワード・スーツ同士の集団白兵戦の描写を
勝手に期待していたので、予想外に地味な展開に肩すかしを食らったかのような読後感。
でも、ゴールドラッシュ時代のアメリカの雰囲気が楽しめたので良しとしよう。
*** 追記 ***
そういえば、日本語の『みしん』とは、
英語の“Sewing Machine”の“マシン”が訛ってできた
和製英語でしたね。
だから語源的には、ミシン(Machine)が
パワードスーツに変形しても問題ないとの理屈なのかしら。 -
Posted by ブクログ
はぐれAIの物語
邦題『叛逆航路』とはえらく昭和の香りのするタイトルだが、原題は〈Ancillary(隷属する)Justice (正義)〉と、随分と意味深。
物語は「ラドチ」という専制国家が広く銀河を支配している時代で、中世ヨーロッパの様な閉塞感漂うスペースオペラファンタジー???
主人公のAIはなぜ身分を隠し「ヒト」として辺境の星を彷徨ってるのか……
相棒?のセイヴァーデンの存在が、物語のちょとしたスパイスとなっている。
後半になって、やっと民族、習慣、宗教、社会情勢などの世界観?に慣れてくる。
たしかに面白い。三部作、さあどうするか……。 -
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ジュリー・ハイジ―の「大統領の料理人シリーズ」の第8弾!
予算削減のため、スタッフが一時解雇されるなど厨房にもさまざまな制約がかかり、頭を抱えるオリー。
そんなとき視察のため、外国からシェフたちがやってくることに。
外交上も重要な相手国のシェフたちと、問題を起こさずに2週間も一緒に働かなくてはなりません。
重要な外交担当としての任務に気を引き締めるオリーですが、彼らをホワイトハウスに迎えた途端、おかしな事件が起こり始めます。
やっとはじまった新婚生活でも、夫から人生を揺るがす提案が持ち上がり、仕事もプライベートもいろいろと落ち着きません。
オリーは、無事にこの2週間を乗り切れるでしょうか。
待ちに待ったシリーズの続編で、オリーをはじめとする登場人物たちに再会できて本当にうれしかったです!
エグゼクティブシェフとして厨房スタッフをまとめながら、ホワイトハウス内でうまく立ち回るオリーは、たくましさを増しています。
新婚生活での心やすらぐシーンでは、これまでのシリーズ作品にはない幸せな雰囲気が出ていました。
このシリーズの魅力である、陰謀うずまくミステリも健在。
食べ物を扱う厨房内の緊迫感と、最後の最後まで気を抜けない展開にハラハラさせられました。
今後のオリーのシェフとしてのキャリアがどうなっていくかも含め、シリーズの続編も楽しみです!
◇おすすめポイント
・ホワイトハウススタッフの視点で描かれるホワイトハウスの日常
・新婚オリーの幸せな時間
・働く女性のジレンマも描かれる
◇こんな方におすすめ!
・ホワイトハウスのシェフの仕事に興味がある
・陰謀ミステリが好き
・働く女性が主人公の物語を読みたい -
Posted by ブクログ
ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、英国SF協会賞、クラーク賞など、7冠獲った小説だというから読んでみた。
おもしろかった!
最後まで、主人公の性別が分からなかった。女性・・・・でいいの?でもなんか、たくましいし、オーン(=女性だよね?)を慕っていたていうし、なんとくなく男性のようなイメージもある。擬体使いというつながりで、私の脳内イメージは素子少佐だったんだが、それでよいのか・・・?
そして、セイヴァーデンがむちゃくちゃ萌える。なんなのこのダメ男。序盤は「なんだこの糞は?!」と思っていたが、途中から主人公に向けて出る矢印がまぶしくて、くっそ萌えた。(矢印が
セイヴァーデン→→→→→→→||||越えられない壁||||ブレク→オーン
こんな風に出ていて、その報われないっぷりにまた萌えた)
しかし、なぜセイヴァーデンが1000年後に現れたかの伏線は、投げっぱなしで回収されなかった。
続編があるから、そっちで回収するのかな?