赤尾秀子のレビュー一覧

  • 不死身の戦艦 銀河連邦SF傑作選
    SFの肝である"センス・オブ・ワンダー"を刺激する題材を絶妙にチョイスしてくるアンソロジストがここで選んだのは「銀河帝国」もの。いくつもの長編シリーズ作品が生み出されてきた古くて新しいテーマが、悠久の時を経たドラマではなく短編世界で描き出されているという素晴らしさを味わえる。
  • 亡霊星域
    「叛逆航路」シリーズ第2弾。

     前作の最後で皇帝アマーンダに艦隊の司令官に任命されたブレクは、宇宙の辺境のにある閉鎖された星系間ゲートの調査に向かう。

     ゲートを管理しているのは宇宙ステーションAI。このステーション内の住民は茶の栽培などで生計を立てている。いわゆる農村地域で、貧しい人が多いのだ...続きを読む
  • 星群艦隊
    叛逆航路」シリーズ完結編。

     前作で明らかになった巨大な陰謀。それは最強国家プレスジャーとの間で結ばれた停戦合意が破棄されるほど危険な行為だった。

     プレスジャーはとても強い。ということをなんとなく匂わせてくるが、どれくらい強いのか、どんな宇宙人なのか、は実はよくわからない。無敵の皇帝アマーンダ...続きを読む
  • 叛逆航路
    正統SFで、世界観がしっかりしていて、引き込まれた。Ancillaryという概念が面白い。個体差がある多視点の同一人格AIって、クローンで意思共有するより有事に強そう。感情共有、監視ができて、操作できないのか?とか、AIと人との境目はどこか?とか疑問も色々あるけど、個人内の葛藤が大きなスケールになっ...続きを読む
  • 不死身の戦艦 銀河連邦SF傑作選
  • ナインフォックスの覚醒
    頭の中の胃袋が、満足する正餐(面白いお話)でした。文句なしの星5つ。
    物理大系を侵食される宇宙の運命と、体制に忠誠を誓う兵士に宿った、大逆人の霊体というちぐはぐバディもの、という時点でもう面白い。

    章区切りで、ある種のシーン描写を省いているな?という疑惑はもちますが、そこはこの作者の味とみなします...続きを読む
  • 星群艦隊
    三部作の最終巻。完結編。社会学的なことに興味がありジェンダー関係について考える上で、面白い体験が出来る。そのせいで最初はひどく読みにくい。が、人間それにも慣れてくるから不思議。それならそうという景色を生きることが出来る。この時、特定のあるべき姿から逆算した皮肉めいた設定としていないところにこの作品の...続きを読む
  • 叛逆航路
    前提の違いに戸惑うことは間違いない。しかし、その前提の違いを当然のこととして進む物語。ふしぎな感覚で読み進めることになる。話も面白いので読み進むことで慣れてくる。独特の感覚を前提とする面白さがあると思います。
  • 星群艦隊
    アメリカの作家アン・レッキー、2014年発表の小説。宇宙が舞台のSF3部作の3作目、完結編です。前2作に劣らず素晴らしい作品。完璧です。

    多くの星々を従えるラドチ帝国での物語り。三千年に渡って多数のクローンとして存在していながらなおかつ一個の人格であった皇帝、その皇帝によって破壊された戦艦のAIの...続きを読む
  • 星群艦隊
    宙の世界。人格のあるAI、AIのふりをする人。論理的な思考と会話の振りをしてもヒトはヒト。仲間と思えるなら信頼できる気がする。AIでも、モチロン。
  • 星群艦隊
    三部作の完結編。期待していたような結末ではないけれど、世界観のスケールの大きさを感じさせる結末でもある。

    読み込めば、まだまだ面白そう。反逆航路からもう一度読み直そう。
  • 叛逆航路
    本格宇宙SF‥‥という言葉に惹かれて。戦艦のAIが人を生体兵器としてそれぞれの脳とシンクロ?している設定に、理解できるかという一抹の不安があったけれど、そう言うもんだと思って読めばそれほどの違和感もなく読めた。ひとり生き残った生体兵器。何千人分の世界からたった一人の世界になってしまったAIは不安定で...続きを読む
  • 亡霊星域
    ヒトではないのに艦隊司令官。一体どうやって行動していくのだろう、ブレクは。AIにも愛情と呼べるものがあれば憎悪もあるのかもしれない。乗員には人と思われているみたいだったのにそのままで行けなかったのだろうか。
    完結編が楽しみ。
  • 叛逆航路
    スペースオペラになるのかな?ラドチという専制国家が宇宙の殆どを支配し皇帝が独裁的権限を持っているが、主人公がたった一人で叛逆に挑む。主人公ブレクは元は航空母艦「トーレンの正義」のAIであり、アナーンダの分裂により母艦を失い端末部分である「属躰」1体だけが生き残り復讐を誓う。
    設定は凝ってる。面白い。...続きを読む
  • 叛逆航路
    単純に面白かった。
    世界観を受け入れるのに少し時間がかかるが、納得できれば一気に面白くなった。

    三部作らしいので続きが楽しみである。二作目が出る前にもう一度読み直そう。できれば、原書に挑戦してみたい。翻訳とは違った理解ができそうな気がする。
  • 叛逆航路
    アメリカの作家アン・レッキー 2013年発表の小説。デビュー長編にして英米のSF文学賞7冠、受賞数で「ニューロマンサー」超えたということですが、「ニューロマンサー」のような革新的な作品ではなく、宇宙を舞台にしたわりとオーソドックスなSF作品。。

    元巨大戦艦のAIで今は一個の人間の姿になっているブレ...続きを読む
  • ヴァンパイアハンター・リンカーン
    リンカーン大統領の生涯にフォーカスしてアメリカという国の歴史に吸血鬼というフィクションを混ぜたらとんでもない怪作できました。映画とは違うラストがちゃんとこの話を現在のアメリカにリンクさせていてそういう意味でも素晴らしいアメリカ合衆国裏歴史本。リンカーンの伝記や彼の生きていた時代のアメリカのことなどを...続きを読む
  • 星群艦隊
    3部作なのは事前に知っていた(オビにも書いてある)ので、拡げた大風呂敷をどう回収するのかに興味があった。
    結果としては、回収しない(;皇帝の争いにオチは付けない)という終わり方になっていた。

    同様の世界観で新作が出ているのを知っているし3部作も後ろに行くほど面白くなっていったのだが、
    それでも1巻...続きを読む
  • 黄金の人工太陽 巨大宇宙SF傑作選
    スペースオペラな短編集

    時空の一時的困惑 
    禅と宇宙船修理技術 
    甲板員、ノヴァ・ブレード、大いに歌われた経典
    晴眼の時計職人
    無限の愛
    見知らぬ神々
    悠久の世界の七不思議
    俺たちは宇宙地質学者、なのに
    黄金の人工太陽
    明日、太陽を見て
    子どもたちを連れて過去を再訪し、レトロな移動遊園地へ行ってみ...続きを読む
  • ヴァンパイアハンター・リンカーン
    表紙のイラストがTHORES柴本さんで気になったという経緯。吸血鬼物ということで読んでみたら吸血鬼よりもリンカーンの人生が分かる本でした。後はここからWikipediaを読んで吸血鬼成分を抜けば普通に南北戦争含めて歴史の知識になるような内容。文庫本にしては少し厚くいつも使っている文庫カバーだとギリギ...続きを読む