【感想・ネタバレ】フローリングのお手入れ法のレビュー

あらすじ

部屋はただの空間ではなく、精神の表出、知性の産物でもある……われわれは部屋をつくり、部屋はわれわれをつくる。それがオスカーの信念だった。神経質で完璧主義の音楽家である友人オスカー宅で、二匹の猫を預かり留守番をすることになったぼく。スタイリッシュなフラットでの気ままな日々が待っているはずだったが、思いもかけない展開に……。そこここで見つかる友人の細かい注意書き。フローリングには万全の注意を払ってほしい、コースターなしで床に飲み物を置かないこと。猫をソファには絶対上がらせないこと。ピアノで遊ばないでほしい……等々。次第に追い詰められていくぼく。恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界。悪夢のような八日間の果てにオスカーから聞かされたのは? ベティ・トラスク賞受賞作。

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Posted by ブクログ

『フローリングのお手入れ法』
著者 ウィル・ワイルズ
訳者 赤尾秀子(あかおひでこ)

【帯より】
猫をソファに上げないこと、床を汚さないこと
完璧主義の友人宅の留守番を引き受けた
ぼくの悪夢のような八日間
恐ろしくもおかしいカフカ的不条理! 

正に帯にある通りですね。笑 面白かったです。
(内容はヤングアダルトのノリかな。笑)
しがない物書きの“ぼく“が暮らすロンドンのアパートは埃っぽい床。そして学生時代の友人オスカーに留守を頼まれたのは高級な無垢フローリング。彼が大切にしているその床に、あろうことか赤ワインの染みをつけてしまい、その修復に悪戦苦闘する八日間のお話です。留守宅では“ぼく“の行動を予測したオスカーの指示メモが、あらゆるところから出てきますよ。笑

どこにでもいるような至って普通の人の“ぼく“。決して悪い人ではありません。そこがまた、このバタバタとした展開をユーモラスに、不幸だけれど笑えてしまうストーリー仕上げています。笑(“ぼく“の心情になると穏やかではいられませんがね、汗)

正に、泣きたくなるような状況が次々と起こります。前半は、知的な部分と汚れた雰囲気(個人的には何となく『シェークスピア&カンパニー書店の優しき日々』を読んだ時の感覚を思い出しました)でしたが、後半はもう殆どコメディです。不幸の連続です。泣笑

目次は初日/二日目/三日目/…八日目と区切られていて、不運にも“ぼく“は徐々に追い詰められていきます。この展開、予測通りと言えばそうなんですが、次々に起こる不運な出来事を、何とかリカバリーしようと試みる“ぼく“の努力、そして更なる不幸に見舞われていく不運なる状況。笑えない状況だけれど、これは笑ってしまいます。笑
(星は3ー4で迷いました。掃除婦のおばさんのことを思うと3ですが、“ぼく“の努力に4で!)

著者紹介に、ウィル・ワイルズ、1978年インド生まれ、ロンドン在住の作家で建築・デザイン関係のライターとしても有名。とあります。
訳者のあとがきでは、『本書は「ぼく」とオスカーの戦い、すなわち混沌/カオスと秩序/ルールの戦い。このアイデアは知人のフラットで過ごした実体験から生まれたそうです。(床は美しい天然木、猫も二匹いたそうです。ー「だけど何も起きなかったよ。傷ひとつなく、猫も人間もみんな元気だった」とありますね。無事で良かった。笑)

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2024年10月06日

Posted by ブクログ

表題は、作中に出てくる架空の本のタイトルなんだけど、これが、世間によくある「おしゃれライフスタイル本」のパロディで、主人公がその本を読むところ、シチュエーションが絶妙でおかしくて笑ってしまった。

全体として、非常に緻密に考えられた設定の話(ジャンルとしてはミステリになるのかな?)で、なかなかおもしろかった。
ちょっとしたミスを隠そうとしてどんどん悪い状況に転んでいく、という展開は、読む方も最初から分かっているんだけど、私が最初に想像したよりはるかにとんでもない状況になっていって、でもちゃんと全部きれいに回収されて、すごく納得のいくラストだった。

作者は建築・デザイン関係のライターだというけれど、確かに完璧な建築みたいな設定と結末で、頭のいい人だなぁと感心した。

正直にいうと、主人公の物思いが冗長すぎて前半はかなり退屈なので、それで★ひとつマイナス。

タイトルを見たとき、私の大好きな本『悪意と憂鬱の英国式週末テニス』(マデリーン ウィッカム著)をなぜか想起させられて読んでみたくなったのだが、思った通り、その本と同種のユーモアの本だった。強いて言うなら、悪意と憂鬱の英国式ユーモア?

ディテールがほんのりとおかしい。
音楽家のオスカー(←超神経質な性格)の作品「路面電車の時刻表による変奏曲」とか。
主人公がどう思ったかはともかく、私はオスカーいい奴じゃん、と思ったけどな。

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2023年03月10日

Posted by ブクログ

友人から留守の間、家と猫を預かって欲しいと頼まれた主人公が、トラブルを隠すことに奔走する作品。ネタバレになるので言わないが、大きな隠し事は最後どうなの?、と思う。少し中途半端かな。

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2022年11月27日

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