感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表題は、作中に出てくる架空の本のタイトルなんだけど、これが、世間によくある「おしゃれライフスタイル本」のパロディで、主人公がその本を読むところ、シチュエーションが絶妙でおかしくて笑ってしまった。
全体として、非常に緻密に考えられた設定の話(ジャンルとしてはミステリになるのかな?)で、なかなかおもしろかった。
ちょっとしたミスを隠そうとしてどんどん悪い状況に転んでいく、という展開は、読む方も最初から分かっているんだけど、私が最初に想像したよりはるかにとんでもない状況になっていって、でもちゃんと全部きれいに回収されて、すごく納得のいくラストだった。
作者は建築・デザイン関係のライターだというけれど、確かに完璧な建築みたいな設定と結末で、頭のいい人だなぁと感心した。
正直にいうと、主人公の物思いが冗長すぎて前半はかなり退屈なので、それで★ひとつマイナス。
タイトルを見たとき、私の大好きな本『悪意と憂鬱の英国式週末テニス』(マデリーン ウィッカム著)をなぜか想起させられて読んでみたくなったのだが、思った通り、その本と同種のユーモアの本だった。強いて言うなら、悪意と憂鬱の英国式ユーモア?
ディテールがほんのりとおかしい。
音楽家のオスカー(←超神経質な性格)の作品「路面電車の時刻表による変奏曲」とか。
主人公がどう思ったかはともかく、私はオスカーいい奴じゃん、と思ったけどな。