あらすじ
飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。天涯孤独の身であるカレンは、ゴールドラッシュに沸くこの町の高級娼館で“縫い子”として働いている。そんなある晩、町の有力者バントルに追われる少女プリヤが、モンシェリに飛びこんでくる。カレンはプリヤに強く惹かれ、彼女を守ろうとするが、バントルは怪しい機械を操ってプリヤを狙う。さらに、町には娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとい、娼館の女たちと共に立ち上がる! ヒューゴー賞作家が放つ傑作スチームパンクSF。
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Posted by ブクログ
決して面白くないわけでは無い作品なのだが、
タイトルから想像するに、サクラ大戦(帝国華撃団)的な
蒸気で駆動されるパワード・スーツ同士の集団白兵戦の描写を
勝手に期待していたので、予想外に地味な展開に肩すかしを食らったかのような読後感。
でも、ゴールドラッシュ時代のアメリカの雰囲気が楽しめたので良しとしよう。
*** 追記 ***
そういえば、日本語の『みしん』とは、
英語の“Sewing Machine”の“マシン”が訛ってできた
和製英語でしたね。
だから語源的には、ミシン(Machine)が
パワードスーツに変形しても問題ないとの理屈なのかしら。
Posted by ブクログ
久しぶりの小説。
蒸気機関が異常発達した1900年台初頭(?)のアメリカが舞台。SFではあるものの、SF描写そのものよりも登場人物の心理描写、特に主人公の少女カレンと少女プリヤの恋心への描写がすばらしい。
Posted by ブクログ
蒸気機関で動くミシンがモビルスーツ代わりに武器として使うことが出来る19世紀のアメリカが舞台。
売春宿や黒人保安官や中国人やゲイが主要な登場人物を占めていて、マイノリティばかりを描く独特な描写だ。
蒸気歩行ミシンが活躍するシーンはちょっとだけなので、殆んどはストーリーと小物のガジェットで楽しむスチームバンクだ。
面白いけど少し長い。
設定命と言うわけでもないが、設定を活かしきれているとも言い難い。ビミョーな作品。
Posted by ブクログ
19世紀後半のアメリカ北西部の港町をモチーフにしたスチームパンク小説。
ラピッド・シティの高級娼館モンシェリで働く主人公カレンが、別の娼館から足抜けしてきたインド人の美少女プリヤをかくまうところから物語は始まる。
カレンはプリヤに一目惚れしてしまい、プリヤのために彼女の妹を救出しようとして……っていうお話。
スチームパンク小説なので、いろいろなアナログガジェットが登場するんだけど、なかでも注目はカレンが乗り込む甲冑型ミシン!(いったいどんな構造なのー?)
この小説の世界では、甲冑型の機械っていうのはごく普通の工業製品で、甲冑型ミシンもそのひとつ。
ただ、モンシェリのミシンは、カレンの仲間にしてマッドサイエンティストのリジーが改造して汎用的な動きもできるようになっちゃってる、っていう胸熱なガジェットなのだ。
敵方のバントル一味は、もっと強烈というか悪辣なガジェットを持っているんだけど、ネタバレになっちゃうからここでは内緒。
そのほかに自動調理機や手術機(なぜ娼館にあるのかは察して……)なんてのもごく日常的な道具として利用されていて、ガジェット好きにはたまらないかも。
とはいえ、ガジェットよりも活躍するのが実は馬だったりする、というのもこの小説の面白いところ。
馬に寄せるカレンの愛憎が、物語を前に進めていく大きな要素になってるんだよね。
もちろん、クライマックスではガジェット同士が盛大にドンパチしてくれるから、スチームパンクの王道?は外れていない。
ハッピーエンドで終わるし、敵方もロクでもないやつらばかりなので、スッキリと勧善懲悪エンタメとして楽しむことができる。
ところで、ラピッド・シティの特徴でもある新道っていうのが絵的によく分からなくて、情景がうまくイメージできなかったんだけど、訳者あとがきでシアトルにそういうのがあった、って書いてあったからググッてみた。
観光名所になっているシアトルの地下街(Seatlle Underground)がそれで、画像を見てから小説を読むとラピッド・シティの街並みがうまくイメージできるんじゃないかな。
Posted by ブクログ
タイトル通り、スチームパンク×少女たちの物語。なのだが、思ったよりもスチームパンク(SF)要素は少ない。キャラクターはどのキャラも魅力的で、ストーリー後半は怒涛の展開、まさに冒険活劇といった印象。終盤のカレンとイリヤの関係性がとてもよい。あとは、縫い子という表現が新鮮で面白かった(縫い目を解かせる、試着する、などが印象的)。あとはダイナマイトを差し込む(比喩ではなく)も笑った。 SFというよりは、アクション、そして少しの百合の要素が強いような感じ。
Posted by ブクログ
盛りだくさんな内容で面白かった。思ったより派手なアクションシーンが多かった。縫い子が娼婦の隠語なのは知らなかった。(そこから、という感じだが……。)
街並みの描写が雑多で魅力的。
Posted by ブクログ
例えば、バントルの屋敷の機械がダイナマイトでぶっ壊れるシーンとか、派手な戦闘や爆発シーンなど過激な部分(ついでについでにいうと言うとお色気シーンも)、つまりはアクション娯楽映画でメインになる部分の描写がカットされていますね。これをこのまま映像化すると、1人でキネマの木根真知子姉さんが観たら消化不良を起こして悶えそう。
でも、スチームパンクのガジェットはとっても素敵です。
Posted by ブクログ
カレン・メメリーは”縫い子”だ。
彼女はモンシェリという館で働いている。
実際に19世紀後半のシアトルで約三千人の女性が”縫い子”として登録されていたそうだ(訳者あとがきより)。
どうして” ”がついているかって?
だって彼女たちは、娼館で働く、娼婦だから。
本書にはアメリカの歴史がそれとなく織り込まれている。
私はなんとなく舞台をイギリスのように感じていたが。
例えばラジウム時計の生産現場で、筆を舐めてその先を尖らせていた女性行員たちに発症した奇病。
放射性物質を摂取したことで起きた顎の骨のガンだ。
この話などが盛り込まれることで、近代と、SFが混ざった独特の面白い世界を作り上げている。
また、主人公メメリーの恋や、解放奴隷の副保安官(かっこいい!)といった、今までの常識を外れたことで、よりその新鮮さが際立つ。
愛しているのに嫌い。
カレンは父を殺し、カレンを娼婦にした馬に複雑な感情を持つ。
様々に揺れ動く感情が本作の魅力だ。
スチームパンクっぽさは物語の後半の方が強い。
やや冗長に感じた前半部分は、それを求めてしまうと物足りないかもしれないが、多様性、矜持、そう言ったものに目を向けてみると面白さを感じられる。
Posted by ブクログ
ジャンルは一言でいうならスチームパンク百合。女性の職業選択の幅がない時代に”縫い子”=売春婦として働く主人公の一人称小説のため、ちょっとバトルの描写が窮屈に感じるが、主人公は少女ながらプライドも自立心も高いので応援したくなる。主人公サイドが人種やSOGI的な意味でマイノリティで占められているのは、映画シェイプオブウォーターと同じ趣向ですね。
”ミシン”の描写等はアニメや実写に向いていると思うので映像化してほしい。
Posted by ブクログ
SFではないな。
空想冒険科学小説を擬した分野のようだ。
ラノベだと言われても問題はない。
世界観を楽しむのが一番だと思う。
地の文章はそうでもないが、括弧書きの挿入が多すぎて辟易とする。原文が、そう言う書き方をしているんだと思うけども。
ストーリーは単純だが、人物描写や背景の描写は浅い。
面白くないとは言わないが。