北原亞以子のレビュー一覧
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慶次郎シリーズとしては13冊目にして、初の長編。
長く続いてきたシリーズの中で構築されてきた、人間関係や空気感などを踏まえた上で、
ようやく今回、改めて初篇である「その夜の雪」に立ち返るような物語でした。
幼少時に目の前で父を殺された息子・弥吉が江戸に戻ってきた事をきっかけに、
一時は止まったはずの歯車が噛み合わないままぎしぎしと回り出し、再び悲しい連鎖を呼び起こしていく。
特別、誰が悪い訳じゃない。
この物語に心底からの悪人は誰ひとりとしておらず、
ただ巡り合わせが悪く、時折ふと魔が差した事がそれぞれにあっただけだ。
もう少し我慢が利いたなら、
もう少し勇気があったなら、
もう少し人の -
Posted by ブクログ
ネタバレ北原亞以子、6冊目は「深川澪通り木戸番小屋」の続編。とはいえ、メインの主人公は木戸番夫婦ではない。彼らは、難破船に対する灯台のあかり、若しくは最後に頼るラスボス的役回り。どうしようもなくなった人間が、最後の砦とする希望の光。
裏切られ、捨てられ、騙され、なけなしの見栄を張り、そんなにっちもさっちも行かなくなった人間の孤独が、夫婦の人となりや笑顔で癒やされる、という趣向。
小説の登場人物たちを自在に操り、まるで本当に実在するのかと錯覚させる様な名人芸が味わえます。
きっと貴方も、登場人物の誰かの行動と自分を重ね合わせて読んでいることでしょう、しらんけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ遅まきながら初 北原亞以子。
【北原 亞以子(本名:高野美枝、1938年1月20日 - 2013年3月12日)は、東京・新橋の祖父の代からの椅子専門の洋家具職人の家に生まれる。4歳で父が南方戦地で戦死し、6歳の1944年(昭和19年)11月30日に空襲で生家が焼失し、7歳で終戦を迎える。千葉県立千葉第二高等学校卒業。高校のころから小説家を志望し、石油会社でOLをしながら書き続ける。
28歳の時に同人誌「文藝首都」の同人への推薦人のつてが無く購読と批評提出のできる会員となり、処女作を提出するが出した原稿が訂正の赤入れだらけで真っ赤になるほど酷評され、ショックを受けて会員をやめる。1968年、同人 -
購入済み
う〜ん、これはちょっと…。
2023年11月読了。
「その夜の雪」の直後の物語として、連載当時執筆されており単行本化もされたのだが、著者自身から「もう少し手直ししたい…」的な言葉が有った為に、今まで文庫化されてこなかったのだそう。
かなりの意気込みで読み始めたのだが、ちょっと登場人物が多過ぎると言うか、人間関係が入り組んでいるので、感情移入がしにくかった点、人が増えた分「キャラクターの設定や書き込み」が足りなく感じられる点、慶次郎さんの物分りがやけに良過ぎて、その後の短編で見せる「若くして失った娘への想い」と、ちょっと繋がり難く感じられる点などが有り、著者自身が「手直ししたい」と感じていたのが理解できる、とっても残念