北原亞以子のレビュー一覧

  • 歳三からの伝言

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    あとがきに、はじめて書いた長編に加筆したものだとあるのを見て、なるほどそういうことかと納得。そうと分かれば、北原さんにもそんな頃があったのかと、それはそれで貴重な体験になった。

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    2022年09月22日
  • 峠―慶次郎縁側日記―

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    慶次郎縁側日記シリーズ第四作。

    表題作はシリーズでは珍しい中編。
    薬売りとして初めて江戸に来た四方吉が、帰り道の碓氷峠で追剝に襲われ逆に谷底に突き落としてしまう。怖くなった四方吉は江戸に舞い戻り名前を変えて四年間暮らしたのだが、その名前を借りた男の妻が江戸にやってきて…というなんともハラハラドキドキのサスペンスタッチになっている。

    しかしこの話のテーマはそこではない。前作に続き、この話でも『仏の慶次郎』の異名が独り歩きしている。
    本来『仏の慶次郎』とは罪を犯させない、罪が起こる前にその種を摘み取る慶次郎の姿勢を指したものだったはず。
    だがいつのまにか『仏の慶次郎』に頼めば罪を軽くしてくれる、運が良ければ罪をなかったことにしてくれるという、犯罪者にとっては都合のよい役人の意味にすり替わっている。

    だから主人公おいとのように、どうして南町(現役当時慶次郎が所属)で出来ることが北町(慶次郎は手出しできない)で出来ないのか、慶次郎と吟味方与力が知り合いかどうかによって罪の重い軽いが変わるのかという理屈になり怒りを生んでいる。
    更におつぎに至っては訴えを聞いてくれたのが唯一吉次だったがゆえに酷い目に遭い、その怒りと憎しみを四方吉とおいとに向けてしまう。

    『責められるのは二人ではなく、二人があやまちを犯さねばならぬように仕組んだものではないか。二度とこんな真似はやめてくれと、慶次郎はその目に見えぬものに向かってわめきたくなった』

    娘・三千代の悲劇のようにたまたま居合わせただけで起きてしまう事件があり、たまたま担当した同心が北町か南町かで変わってしまう裁きがあり、話を聞いてくれたのが慶次郎か吉次かで違う環境があり、罪を償ってもなお蝮の吉次に目を付けられるかどうかで変わっていくその後の人生がある。
    事件は終わっても関わった者たちのその後がどうなるのか、なんとも苦い話だった。

    その吉次、金が有り余っている人から強請るのならまだ良いが、やり過ぎてついに罪を擦り付けられるというピンチに。島中賢吾も吉次の十手を取り上げたいほどの怒りに駆られるが、吉次は北町同心が使っている岡っ引。手を出せないのがもどかしい。
    だがこれで懲りることなくまたせっせと強請の種を探す吉次なのだろう。

    晃之助は相変わらずモテている。モテすぎてストーカー事件まで発生。
    やり過ぎた娘に追いつめられる晃之助。皆は狂言だろうと分かってくれたが、これがもし巧妙な計画を立てられていたらとゾッとする。
    だが逆に『こんなきれいな男の人に嘘をついてもいいのだろうか』と後悔して罪を打ち明ける気になったという娘もいて、苦笑しつつも嬉しく感じる晃之助。
    色男も大変だったり得をしたり。

    後半は薄い話が多かった。慶次郎も名前だけの登場で勝手に解決していたり。
    その分、同心・島中賢吾が十手を預ける太兵衛親分がよく出てきた。仕事になれば出来る人だし優しい、でも親としては心配性で慌てんぼうの父の顔があって人間っぽいのが良い。
    辰吉が最近嵌まっているのが草双紙らしい。江戸では水滸伝が流行っているらしく、みな現実にはいないヒーローを求めているのかも知れない。

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    2022年06月15日
  • いのち燃ゆ

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    短編集。北政所、安濃津城の富田信高の妻・苳姫、吉原遊女、新撰組の芹沢鴨の情婦お梅、高杉晋作の愛人うの。女性視点での展開、細やかな情景描写。なかなかに素晴らしい作品。

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    2022年01月13日
  • 乗合船―慶次郎縁側日記―(新潮文庫)

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    著者の絶筆。文庫本シリーズで読んでた時にはこの最終巻はまだ出ていなかった。登場人物を懐かしみながら、惜しみ楽しんだ。2020.11.11

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    2020年11月11日
  • 歳三からの伝言

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    鬼の副長として斬り捨てまくっていた土方歳三ではなく、潮目が変わり負け組になりつつ北へと活路を見出だす時代が描かれて、新しい土方歳三を知れた感じだ。ある意味悪役でもある彼が今も人の心を惹き付けるのは、自分の中で筋を通しまくって散っていく生き様が魅力的に映るからなのでしょう。
    もっと幕末の人物や歴史を掘り下げたい気持ちにまりました。

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    2020年08月01日
  • いのち燃ゆ

    ネタバレ 購入済み

    表題作が戦国ものだったので買ったが、全部戦国ものかと思ったら、幕末ものの方が多かったので失敗した。この作者の人は土方好きみたいだけど、自分は全然好きじゃないので。なんとなくオチみたいなのがなくて、そこで終わるの?みたいなのが多かった。

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    2019年11月20日
  • 新地橋 深川澪通り木戸番小屋

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    木戸番小屋の夫婦お捨と笑兵衛。澪通りの長屋の住人たちの人生に寄り添う。二人にあった人の人生にいつも消えない燈になる。

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    2019年02月02日
  • 夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋

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    木戸番小屋の夫婦お捨と笑兵衛。澪通りの長屋の住人たちの人生に寄り添う。二人にあった人の人生にいつも消えない燈になる。

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    2019年02月02日
  • 脇役―慶次郎覚書―

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    「慶次郎縁側日記」シリーズは、随分と数多くありそうなのだが、なぜか、この本が「出会い」となった。

    主人公の森口慶次郎は元定町周り同心。仏と名前がつくほど人格も優れた同心だった。その森口に惹かれる主人公の周りの人間たちを濃く深く描いたのがこの「脇役」

    一つ間違えば、悪の道をさまよい、落ちぶれてボロ屑のような人生を歩くはずだった者。
    心深く思いを持ち続けた相手の女房が、悪人に殺されるように亡くなり、思いを伏せて、嫁ぐ娘。
    上役でもないのに、なぜかいつもきになる慶次郎の眼差しに、いつもヤサグレた心に一つ、真白きものを養う男。

    短編のような小節を組み合わせて紡がれるこのシリーズは、急流を流されるように読むシリーズではなく、一つ一つ時に外の景色を見るように、読む本なのかもしれない。

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    2018年11月21日
  • ぎやまん物語

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    ぎやまんの鏡は見た!という設定で、秀吉から江戸の8代将軍吉宗までの激動の時代を、渦中から少し離れた人物の傍から描いた作品。出てくる登場人物がマイナーで実在の人物なのかよくわからない人も多かったが、時代の空気がよくわかる面白い本だった。ぎやまんの鏡を主人公?にすることで、それぞれの時代の美味しいところを垣間見られるので、お得。

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    2017年08月02日
  • 新地橋 深川澪通り木戸番小屋

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    切ない話ばかり。お金があっても寂しさからは逃れられず。 一度裏切られると他人への不信感がいつまでもまとわりつく。まったく現代にもありそうなお話、身近にいそうな人物ばかり。ひねくれた人にも優しい声をかける夫婦はじんわりゆっくり凍った心を溶かしていくにちがいない。そういう予感を残しつつエピソードを終わるのが常套のようです。でも今回は夫婦の出番がちょっと少なかったような気がします。

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    2017年05月16日
  • ほたる―慶次郎縁側日記―

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    文章の技巧が読みづらくなってきた。噛んで読むようにしないと、登場人物の関係とかがわからなくなる。「五月雨るる」がよかった。2016.11.20

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    2016年11月20日
  • 夢のなか―慶次郎縁側日記―

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    主人公は登場しないが、「可愛い女」が良かった。シリーズを読み進むにつれ、短編なのに登場人物が整理できなくなったり、冒頭のシーンが分かりにくかったりする。主語が省かれた手法を使うのだが、読みづらい。2016.11.3

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    2016年11月03日
  • 夜の明けるまで 深川澪通り木戸番小屋

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    深川澪通りの木戸番小屋夫婦の4冊目。
    相変わらず雰囲気も、中の人達の気持ちも大変良いです。今回の巻では様々な女性達が主人公です。


    家業と姑の世話に明け暮れる母の生き方を嫌い、都会に出て働いている女性が、キャリアアップを目指すのか、気楽に働いていくのかを悩む話。


    家族の借金の為に不幸せな結婚をした女性が、婚家を出て好きな人と一緒になるけど、その人が死んでしまう悲しい話。


    ヒビが入りかけた夫婦がヨリを戻す話。


    前途有望な若者が火事から老婆を助け、代わりに若者が死んでしまう話。助けられた老婆の後悔と捻くれる気持ちが痛々しい。


    番屋の書役の太久郎さんの恋の話。
    人が信じられなくなって、人を疑い、拗ねて、閉じこもってしまうこの女性の気持ちもよく分かる。太久郎さんと幸せになって貰いたい。

    昔、捨てた娘とその夫に身代を取られそうになるが、最後は娘に命を助けられた老人の話。

    前科持ちの年上の女性が、正直で人の良い若者に、正直さと善良さで救われる話。


    お互いに好き合っていたのに、一緒になるのに15年もかかってしまったカップルの話。

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    2016年10月17日
  • 深川澪通り燈ともし頃

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    深川澪通り木戸番小屋の2冊目は、悲しい話でした。
    1冊目は1つ1つの話に救いがありましたけど、2冊目の特に前半の話は悲しい話です。

    2冊目は中編が2作。2作が微妙に繋がってる感じです。

    孤児の塩売りから仕事でも狂歌師としても這い上がったけれど、全てを失ってしまう人の話。
    仕事に夢中になるあまり家庭を顧みなくなり奥さんに出て行かれるとか、その後知り合った女性とも最後の野心から二の足を踏むうちに時間がなくなってしまうとか、本当に好きだったから逃げてしまったと後から戻って来られても他の男と駆け落ちされたことが忘れられないとか、人の暮らしは江戸時代も今も同じみたいです。

    後半は、経済的には自立していて長年不倫をしている女性が自分の行く末に不安になりつつ、それでも自分の選んだ道に胸を張って見栄を張ろうとする話。
    夫がいても、子供がいても、友達がいても、結局最後は1人かもしれない、という不安も昔も今も変わらないようです。

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    2016年10月10日
  • 脇役―慶次郎覚書―

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    シリーズに登場する主な脇役が主役として登場。過去の生い立ち、現在の生活、そして心情。彼らを含めて、市井の人々も様々に悩み、自分を洞察し、どう生きようかと考える。読者が共感できた時、同じく自らを省みるだろう。2016.9.25

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    2016年09月25日
  • 隅田川―慶次郎縁側日記―

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    8編。万引きする子や空き巣が出てくる。それに至った経緯、動機が物語に吸い込まれる。さりげない慶次郎の登場も相変わらずだ。「正直者」が良い。2016.9.17

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    2016年09月17日
  • 蜩―慶次郎縁側日記―

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    短編12編。作品の中心人物でない慶次郎が粋。短編故に行間を読みなさいといった工夫し過ぎ、話が頭の中で途切れることもあるが、人情味がじわりと迫ってくる場面は心地よい。2016.9.4

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    2016年09月04日
  • 花冷え

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    時代物は初めて読むかも。
    まだ途中だが、江戸言葉が新鮮で、読書をしているのに聴覚が刺激される感じがする。

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    2014年07月16日
  • 月明かり―慶次郎縁側日記―

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    20130824 江戸時代の月九恋物語。展開が早過ぎて着いていけないところがあるがドラマとしては飽きさせないで良いのかも。

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    2013年08月24日