北原亞以子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「慶次郎縁側日記」シリーズは、随分と数多くありそうなのだが、なぜか、この本が「出会い」となった。
主人公の森口慶次郎は元定町周り同心。仏と名前がつくほど人格も優れた同心だった。その森口に惹かれる主人公の周りの人間たちを濃く深く描いたのがこの「脇役」
一つ間違えば、悪の道をさまよい、落ちぶれてボロ屑のような人生を歩くはずだった者。
心深く思いを持ち続けた相手の女房が、悪人に殺されるように亡くなり、思いを伏せて、嫁ぐ娘。
上役でもないのに、なぜかいつもきになる慶次郎の眼差しに、いつもヤサグレた心に一つ、真白きものを養う男。
短編のような小節を組み合わせて紡がれるこのシリーズは、急流を流される -
Posted by ブクログ
深川澪通りの木戸番小屋夫婦の4冊目。
相変わらず雰囲気も、中の人達の気持ちも大変良いです。今回の巻では様々な女性達が主人公です。
家業と姑の世話に明け暮れる母の生き方を嫌い、都会に出て働いている女性が、キャリアアップを目指すのか、気楽に働いていくのかを悩む話。
家族の借金の為に不幸せな結婚をした女性が、婚家を出て好きな人と一緒になるけど、その人が死んでしまう悲しい話。
ヒビが入りかけた夫婦がヨリを戻す話。
前途有望な若者が火事から老婆を助け、代わりに若者が死んでしまう話。助けられた老婆の後悔と捻くれる気持ちが痛々しい。
番屋の書役の太久郎さんの恋の話。
人が信じられなくなっ -
Posted by ブクログ
深川澪通り木戸番小屋の2冊目は、悲しい話でした。
1冊目は1つ1つの話に救いがありましたけど、2冊目の特に前半の話は悲しい話です。
2冊目は中編が2作。2作が微妙に繋がってる感じです。
孤児の塩売りから仕事でも狂歌師としても這い上がったけれど、全てを失ってしまう人の話。
仕事に夢中になるあまり家庭を顧みなくなり奥さんに出て行かれるとか、その後知り合った女性とも最後の野心から二の足を踏むうちに時間がなくなってしまうとか、本当に好きだったから逃げてしまったと後から戻って来られても他の男と駆け落ちされたことが忘れられないとか、人の暮らしは江戸時代も今も同じみたいです。
後半は、経済的には自立し