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不治の病に逝った幼な馴染みの霊前で、誓いを立てた簪を独り見つめる材木問屋の心のうちも、容色盛んな若後家がなお胸に秘める亡くした夫との思い出も、秋風にひっそり揺れる赤まんまの花しか知らない。折檻、密通、盗癖だと町の騒ぎをはやす輩も、心のわるさに弄ばれ道を外した人々の苦い涙に気付かない。ゆえに仏の慶次郎は、苛む心の苦しみと忍ぶ心の悲しみに、今日も静かに耳をすます。
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Posted by ブクログ
こういう名人芸な細工物がでてくる本には、一も二もなくはまってしまう。 それがこまやかな人情話に重なってくるといえばもう離せない。 北原亞以子さんの描く慶次郎の世界は、吉次さえも魅力的に見せる。
20130715 つい引き込まれてしまう。話が極端なようでありそうなところが良いのかもしれない。登場人物がみな立っている。
扱ってる内容が恋愛(?)でも、時代物だと読みやすい。 最近お疲れなのか、現代ものに食指が動かない… 生々しいんだもん。
この巻は、慶次郎を始めとしたお馴染みのメンバーがあまり出てこない。市中の人達の苦悩を最後の最後でお馴染みメンバーが少しだけ関わるような話ばかり。 慶次郎縁側日記のドラマのプロデューサーだった人があとがきを書いているが、それもドラマと役者さんたちとを思い浮かべながら、今までのこのシリーズを思い出すと...続きを読む楽しい。
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赤まんま―慶次郎縁側日記―
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