藤井光のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
理想的で立派な「アメリカ文学」を追い求める時代は終わり、移民作家の台頭によって変化しつつあるアメリカの小説たち。〈ターミナル化〉と〈荒れ地化〉をキーワードに、翻訳者が新しい時代の小説の地図を描く文学ガイド。
グローバル化によって「テクノロジーと移動が生み出す世界、かたやそれと同時に進行していく不毛化という両極」に身を置きながら書かれた世界文学(アメリカに限らない)の特徴を、著者は〈ターミナル化〉+〈荒れ地化〉と呼んでいる。ターミナルが多様性のポジティヴな面を指しているとすれば(その分ビジネスライクでもある)、荒れ地はポストアポカリプスSFが現実化したかのような混沌であり、従来の価値観では育 -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
絶縁がテーマの短編集。
期待していた村田沙耶香さんの短編も良かったが、意外に他の作家さんの短編が気に入った。
幼なじみの少女と結構良い仲だったのに、結局その少女とは結ばれることなく、小さい頃の少女との会話を思い出す主人公の話(「穴の中には雪蓮花が咲いている」)は、自分の思う通りには世の中は進まないということ、あともう一歩踏み出せていたらという後悔などの主人公の気持ちが押し寄せてくる。ただただ切ない。
「絶縁」では、仲の良かった先輩夫婦と主人公が、ある出来事をきっかけに疎遠になるという話。そんなことで人は袂を分けてしまうものなんだな…と思うが、譲れない思想は皆それぞれ持っている。それがたまた -
-
Posted by ブクログ
少し難しい作品でした。
さらさら読める作品ではなく…
フェイクニュースや昨今のSNSのあり方などを想起させ、考えさせる…
911のことや銃乱射事件のことも絡ませ…
ストーリーが淡々と進むことが、より不気味に感じました。ちょっと怖い。
サブリナはタイトルロールだけれど、1つの素材で、それにまつわるお話。サブリナ自身でも、彼氏のテディでも、妹のサンドラでもなく、テディの友人カルヴィン・ローベルが主たる話でした。
カルヴィン、事務方の軍人。
カルヴィンの同僚も怖かったし、現実にいそう。
夢の表現方法は、なるほどなー、と思いました。
難しいけど、妙に心に引っかかるお話でした。 -