藤井光のレビュー一覧
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アジアの女性作家九人によるアンソロジー。しかもテーマは「絶縁」。「しびれるテーマ」と村田沙耶香は言ったそうだが、確かに「しびれる」。なかなか、こんな本が存在するというだけで意義深いような、圧がある。ある特定の層には熱い支持を受けそうな一方、この価値観、というよりはこれに「しびれる」感覚って、普遍性ないかもしれないな…とも思う。
Audibleで聴取。朗読は、どの作品も独特の色が浮かび上がり、とても良かった。ただ終盤は私の集中力/モチベーションが枯渇してきて実はちゃんと聴けてない。いつかちゃんと読み直したい。
■村田沙耶香(日本、一九七九〜)『無』
うん。絶縁だ。村田沙耶香の絶縁だ。
■ア -
Posted by ブクログ
WW2の時代。盲目の少女マリーとドイツの若い兵士・ヴェルナーのラジオを通した物語。
「空気は生きたすべての生命、発せられたすべての文章の書庫にして記録であり、送信されたすべての言葉が、その内側でこだましつづけているのだとしたら。」
印象に残った場面は、戦争が激化していく中でドイツ国内でフランス語を使うことをためらうエレナ先生。戦争終結後ユッタ(ドイツ人)がフランスへ行くとき、拙いフランス語を使うことでドイツ人とばれるのを恐れる描写の対比。
また、ユッタがフランスのサン・マロで見た銘板(あれは実在だそうです)。そこにドイツ人兵士の名前はない。立場が変われば見えてくるものも違う。
ただ、1つ1 -
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Posted by ブクログ
理想的で立派な「アメリカ文学」を追い求める時代は終わり、移民作家の台頭によって変化しつつあるアメリカの小説たち。〈ターミナル化〉と〈荒れ地化〉をキーワードに、翻訳者が新しい時代の小説の地図を描く文学ガイド。
グローバル化によって「テクノロジーと移動が生み出す世界、かたやそれと同時に進行していく不毛化という両極」に身を置きながら書かれた世界文学(アメリカに限らない)の特徴を、著者は〈ターミナル化〉+〈荒れ地化〉と呼んでいる。ターミナルが多様性のポジティヴな面を指しているとすれば(その分ビジネスライクでもある)、荒れ地はポストアポカリプスSFが現実化したかのような混沌であり、従来の価値観では育 -
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Posted by ブクログ
絶縁がテーマの短編集。
期待していた村田沙耶香さんの短編も良かったが、意外に他の作家さんの短編が気に入った。
幼なじみの少女と結構良い仲だったのに、結局その少女とは結ばれることなく、小さい頃の少女との会話を思い出す主人公の話(「穴の中には雪蓮花が咲いている」)は、自分の思う通りには世の中は進まないということ、あともう一歩踏み出せていたらという後悔などの主人公の気持ちが押し寄せてくる。ただただ切ない。
「絶縁」では、仲の良かった先輩夫婦と主人公が、ある出来事をきっかけに疎遠になるという話。そんなことで人は袂を分けてしまうものなんだな…と思うが、譲れない思想は皆それぞれ持っている。それがたまた -
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Posted by ブクログ
少し難しい作品でした。
さらさら読める作品ではなく…
フェイクニュースや昨今のSNSのあり方などを想起させ、考えさせる…
911のことや銃乱射事件のことも絡ませ…
ストーリーが淡々と進むことが、より不気味に感じました。ちょっと怖い。
サブリナはタイトルロールだけれど、1つの素材で、それにまつわるお話。サブリナ自身でも、彼氏のテディでも、妹のサンドラでもなく、テディの友人カルヴィン・ローベルが主たる話でした。
カルヴィン、事務方の軍人。
カルヴィンの同僚も怖かったし、現実にいそう。
夢の表現方法は、なるほどなー、と思いました。
難しいけど、妙に心に引っかかるお話でした。 -