藤井光のレビュー一覧
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村上春樹/ルイス・キャロル/大島弓子/谷崎潤一郎/コナン・ドイル/J・R・R・トールキン/伊坂幸太郎/太宰治
どれかの名前にピンときたら読んでみてもいいかもしれない。
書評家、作家、翻訳家が10人。
ブコウスキーの訳者として知られる都甲幸治さんをホスト役にして1作家3人ずつの鼎談方式のブックガイド。
ブックガイド好きな上に本について語り合ってる人たちも好きな自分には楽しかった。
各テーマも興味深く、例えばキャロルは「あえて男三人で『不思議の国のアリス』を語る」とか太宰は「ダメ人間を描く小説の作者はダメ人間か」とか。
なるほど~と膝を打ちたくなるような考察もあって面白かった。いやあ、自分頭固いわ。
ただ他の方も書かれているようにネタバレも激しく、映画『ファイト・クラブ』のどんでん返しもしゃべってしまっているので、伏せ字にするとかネタバレ注意をいれるとかしてほしかった。
あと話題に上がった作品のリストもつけてほしかったな。
大島さんファンなのでミランダ・ジュライとケリー・リンクはひとまず読んでみようと思った。 -
Posted by ブクログ
芥川賞や直木賞なんて世界の文学賞のうちに入るのだろうか?日本の作家が書いた日本語の小説しか対象になっていないのに。なんてことを思ったけれども、読んでみました。今年も話題になっているのは、もちろんノーベル文学賞。村上春樹さんがとるかどうか、メディアで騒がれました。この本を読むとわかるのですが、その根拠になっているのがカフカ賞。この賞をとった人が二人、ノーベル文学賞をダブル受賞しているんだそうで、まだ受賞してないのが村上春樹なんだそうです。カフカ賞はチェコ語の翻訳が一冊は出ていないと受賞できないそうで、村上春樹がとった2006年は『海辺のカフカ』が翻訳された年。タイトルがよかった?
そのノーベル文学賞。世界的に開かれているような気しますが、実はヨーロッパの主要言語しか読めない人が選考委員なので、そうした言語で書くか翻訳版が優秀であること、北欧諸国出身だとさらに有利、とのこと。タイトル関連でいうなら『ノルウェイの森』に分がありそうなものだが、どうなっているんでしょう。それはさておき、8大文学賞として取り上げているのは次の賞です(開始年)。ちなみに、受賞対象が作品になっているのが、*のついている賞で、何もついていないのが、作家に与えられる賞です。<>内が本書で取り上げている作家名。
ノーベル文学賞(1901年)<アリス・マンロー、オルハン・パムク、V.S.ナイポール>
ゴンクール賞(1903年)*<マルグリット・デュラス、ミシェル・ウェルベック、パトリック・モディアノ>
ピュリツアー賞(1918年)<ジュンパ・ラヒリ、スティーヴン・ミルハウザー、E・P・ジョーンズ>
芥川賞(1935年)*<黒田夏子、小野正嗣、目取真俊>
直木賞(1935年)*<東山彰良、船戸与一、車谷長吉>
エルサレム賞(1963年)<J・M・クッツェー、イアン・マキューアン、イスマイル・カダレ>
ブッカー賞(1968年)*<ジョン・バンヴィル、マーガレット・アトウッド、ヒラリー・マンテル>
カフカ賞(2001年)<フィリップ・ロス、閻連科、エドュアルド・メンドサ>
この本は、都甲幸治さんを中心に、「小説家や書評家、翻訳家など本にまつわる様々な職業の人々に、一つの賞につき一冊ずつ、合計二四冊読んでもらい、全てを読んだ上、鼎談の形で論じてみたもの」。談話形式なので、口調がくだけていてとても読みやすい。鼎談の間には、都甲さんと、僕が翻訳本を選ぶ時の目安にしている翻訳家のひとりの藤井光さんのコラムもある。外国文学って、よく分からないけど、どんな本があるのだろうと考えている人には役に立ちそう。
で、はなから外国文学好きの人たちには、もっと面白いんじゃないかな。というのも、それぞれの賞の特徴についてふれたあと、その賞の受賞者たちの小説について三人が語るんだけれど、選ばれている作家の顔ぶれが、いいんです。今までにたくさんの人が受賞しているはずだけれど、この人たちを選んでくるあたりがすごいな。本当に本のことがよく分かっていて好きなんだなあ、と思います。
それぞれの賞につけたタイトルが、その賞の特徴を表していると思うので、下手に解説するより、それを紹介します(日本の賞は省略)。「これを獲ったら世界一?」(ノーベル賞)、「当たり作品の宝庫」(ブッカー賞)、「写真のように本を読む」(ゴンクール賞)、「アメリカとは何かを考える」(ピュリツアー賞)、「チェコの地元賞から世界の賞へ」(カフカ賞)、「理解するということについて」(エルサレム賞)。
今年ノーベル文学賞の受賞者に選ばれたボブ・ディランから音沙汰がないので、財団はさぞ気を揉んでいることだろうと思います。それもこれも、この賞の選考基準としていちばん全面に押し出しているのが「人類にとっての理想を目指す、世界でも傑出した文学者」というものだからです。「最近の受賞者の傾向を考えると、どうやらこの「人類にとっての理想」というのは、「人権擁護」や「国内で迫害されている人を描く」という意味」らしい。で、ボブ・ディランなわけです。そんなノーベル文学賞ですが、都甲さんがこう言っています。
今回紹介する三人はある意味「間違って獲っちゃった」人たちです(笑)。マンローはカナダのド田舎に住んでる普通のおばさんだし、パムクは『無垢の博物館』(早川書房、全二巻)のように変態的な話を面白く書く人だし、ナイポールはそもそもどの国の作家だと言いきれない。ノーベル文学賞を獲った立派な国民文学作家について国別対抗で語り合うんじゃなくて、「ノーベル文学賞獲ったにも関わらず、別の理由でいい作家です」という人たちを紹介したいです。
すべてにおいてこの調子。マンローもパムクもナイポールも、けっこう読んでいるので、都甲さんの言いたいことはよく分かる。特にマンローはすごい。「短篇一本を読んだだけで、長篇を一冊読み切ったくらいの気持ちにさせてくれる」(都甲)という評がすべてを語ってくれています。本当にその通り。パムクについて訳者の宮下遼さんがいう「それだけで短篇、中篇になりそうな話を、一つの長篇のなかに惜しげもなくいくつも投入していく気前のよさが、僕は好きです。こんなに西欧風な人間のくせに、そこだけトルコ的な御大気質を感じてしまって。ディテールの作り込まれた奇想こそが、物語の要諦だと思います」というのもまさにその通り。
この調子で紹介していると引用だらけになりそうなので、このへんでやめますが、ブッカー賞のところで、ジョン・バンヴィルの文章についていい話があります。毎日九時から一八時までオフィスで執筆に専念し、一日英語で二百語書けたらその日は成功だというのです。「バンヴィルはベンジャミン・ブラックという別名でミステリーも書いていますが、その時はパソコンを使って書くそうです。そのときは筆が速いらしい。バンヴィル名義は手書きで、極端に遅くなる」(都甲)。このこだわりがあの美しい文章を生むのですね。ブラック名義でチャンドラーの名作の続編を書いた『黒い瞳のブロンド』。チャンドラーには及びもつかないけど、ミステリとしてはけっこういけますよ。 -
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「アメリカ」が変化していること、がわかった。ヒスパニックやメキシカン、カリビアン(だったかな、カリビアンっていうのをわたしはドラマ「オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック」で知った)など移民が増えて、「白人」が少数になってきている、っていうのはきいていたけれども、そういう流れで「アメリカ文学」も変わってきているという。(ざっくりしすぎで、ちょっと違うかもしれないわたしなりのまとめですみません。)
そういう新しいアメリカ文学の紹介。
クラシックな流れをくむいわゆる普通の小説ではなくて、現代小説っていうのか、変わってる、奇想、とか、実験的なものが多い。
わたしはそういうのが苦手で、ほとんど読んでいないのだけれど。これからのアメリカ文学を知るには少しは読まないと、とか思った。
エッセイというか、創作っぽいエッセイ?もおもしろかった。著者の藤井光さんて、柴田元幸さんとか岸本佐知子さんとかみたいに、自分で書ける人なんだなあと。1980年生まれてって若い。。。 -
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村田沙耶香『無』 メモ
私たちが感じること、考えることは全て一つの象徴的存在から操作されている。私たちは得体のしれない大きな存在から受け取る電波によって思考し行動する。私たちの混沌の世界において思考と行動はすべて自分ではない存在の影響を受けているため、自分の責任ではない。判断を下したのは自分ではない。これが混沌……ではなく、これこそが無であるかもしれない。思い出せないことは無ではない。思い出せない中でも想起されることがことがある。混沌の世界にも無の世界にも優劣がある、優劣というトピックは私にとって最も興味のあるトピックだからそれに落とし込んで解釈する。ほかの人にとっての混沌と夢は違うのかも? -
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ネタバレビルゲイツのおすすめ。
まずはNetflixで。マークラファロは私の好きな俳優さんの1人です。
彼が出てる映画は面白いものが多いです。
その後に観たNetflixのドラマ、マニフェストでこの本がずっとテーブルに置いてあった。
それで気になり、今更ですが本も読むことにしました。
いつも思いますが、日本語で読めることに感謝です。
翻訳家さん、ありがとうございます。
見えない光とは、つながり。
悪い空気も同調させる空気もある。思想。
ネット、ラジオ、亡くなった人達。
自分の時間、人生を一生懸命に生きる。
自分の意思で。
国家や誰かの駒では無く。
何年、生きたかでは無く、自分の人生を生きたか。
日々やらされている事ではなく、自分で選んでしている人生。
物語を信じる。自分を信じる。
愛。
参考 海底2万マイル
ビルゲイツがお勧めの本って難しい。 -
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流石の村田沙耶香。「無」
ますます筆が冴える。これからは、このくらいの毒が吐ける作家でなくてはね。
「産んでしまった後は私が家畜だった。夫にとって私は古くて汚いけれど性欲処理ができて、放っておけば家事をしてくれる肉性機械道具だった。娘は私で性欲処理をすることはないが、いくら成長しで当然のように私を使いつづけた。でもいつか、未来では娘が私たちの道具になる、それだけが心の支えだった。」
痺れる〜!
ラシャムジャ「穴の中には雪蓮花が咲いている」
悲しくもふっくらした短編。これはこれで、好きだなあ。このふっくらした感じは人柄なのか、チベットという国が持つものなのか。
チョン・セラン「絶縁」
分断は経済格差だけでなく、価値観や倫理観にも表れてくる。もう絶縁しかないのか?
このような形の書物が世に出ること、そのことを祝福したい。
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アジアの女性作家九人によるアンソロジー。しかもテーマは「絶縁」。「しびれるテーマ」と村田沙耶香は言ったそうだが、確かに「しびれる」。なかなか、こんな本が存在するというだけで意義深いような、圧がある。ある特定の層には熱い支持を受けそうな一方、この価値観、というよりはこれに「しびれる」感覚って、普遍性ないかもしれないな…とも思う。
Audibleで聴取。朗読は、どの作品も独特の色が浮かび上がり、とても良かった。ただ終盤は私の集中力/モチベーションが枯渇してきて実はちゃんと聴けてない。いつかちゃんと読み直したい。
■村田沙耶香(日本、一九七九〜)『無』
うん。絶縁だ。村田沙耶香の絶縁だ。
■アルフィアン・サアット(シンガポール、一九七七〜)『妻』
絶縁どころか新しい縁を自分の意志で結ぼうとしたのに、絶縁だ。「するとサウダはだしぬけに、縄が切れてしまって井戸の中を落ちていくような感覚になった。」怖い。
■ 郝景芳(ハオ・ジンファン、中国、一九八四〜)『ポジティブレンガ』
これは絶縁と思い込んでいたところから始まっての、縁のつながりの確認、と感じた。
■ウィワット・ルートウィワットウォンサー(一九七八〜)『燃える』
タイの政治情勢についてものを知らなすぎ、ついていけてない感を味わいながらの本編だったが、訳者解説のおかげでなんとかキャッチアップ。
■韓麗珠(ホン・ライチュー、香港、一九七八〜)『秘密警察』
重かった。
■ラシャムジャ(チベット、一九七七〜)『穴の中には雪蓮花が咲いている』
「穴の中には雪蓮花(せつれんか)が咲いている」。覚えておこう。
■グエン・ゴック・トゥ(ベトナム、一九七六〜)『逃避』
親子の関係には犠牲がある、特に東アジアでは親が子どものために犠牲を払うことが暗黙の了解になっている。というあとがきのことば。
■連明偉(リエン・ミンウェイ、台湾、一九八三〜)『シェリスおばさんのアフタヌーンティー』
ちょっとスタンド・バイ・ミーを思い出した。
■チョン・セラン(韓国、一九八四〜)『絶縁』
なかなかストレート。(読み直し要。)