藤井光のレビュー一覧

  • 絶縁

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    アジアの作家の豪華ラインナップ。村田は相変わらずで、たまに読むとそのヘンさが心地よい。ハオ・ジンファンの作品は、彼女らしい寓話だがやや月並み。チョン・セランはさすが。こういう、ストレートに苦いテイストの作品も書くんだと思った。あとよいと思ったのは、ベトナムのグエン・ゴック・トゥと台湾のリエン・ミンウェイの作品。こうしてみると結局、日本と距離的に近い国々の作家に共感しやすいのかもしれない。

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    2023年03月03日
  • サブリナ

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    ・面白かった。ぺージをめくる手が止まらなかった。(そういうタイプの漫画では無いと思うけど)
    ・コマ割り均一になっていて、それが映画のフレームを思わせた。
    ・キャラクターがイラストチックである種記号的?な書き方をされていたので、逆に想像の余地が多くなった気ごした。
    ・そう、(面白い)映画を見ている気持ちだった。
    ・やりきれない…何ともおぉ…という余韻の作品だった。
    ・ラストシーンが良い
    ・前情報をあまり入れていなかったので、こんな話だと思わなかった。

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    2022年12月20日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    短編小説になると、自分の場合各話の背景を探るのにいちいち時間を要してしまう。
    しかし本書に関しては、その心配をする必要はない。どの話の背景もパンデミック中の出来事だから。

    1348年ペストから逃れるため、フィレンツェ郊外に逃亡した男女による創作話をまとめた『デカメロン』に倣い、21世紀を生きる計29の作家が本書のために29の物語を提供した。アメリカをはじめ、英語圏でも評価を得ている他言語の作家も参加しており、なかなかに国際色豊かだった。いつものように、心に引っかかった何篇かを引っ張り出したい。

    思えば2020年の惨めな生活を振り返らないまま、今日まで来てしまった。当時の自分のみならず、似た

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    2022年11月01日
  • きっとあなたは、あの本が好き。 連想でつながる読書ガイド

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    村上春樹が気になる人、伊坂幸太郎が気になる人といったこの本を読んだときに、似たような本だなと連想できるものを小説家や翻訳家、研究者の方々が紹介しあう対談集です。 ほとんど外国文学を紹介しているので、日本の小説を期待した人は少し物足りないかもしれません。でも、この中で紹介されている伊藤計劃さんの遺作である屍者の帝国は本当に面白いからおすすめですよ。太宰治のところで紹介されていた又吉直樹さんの火花はあまり好みじゃなかったなぁ。

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    2025年12月21日
  • 血を分けた子ども

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    全体としてとても面白かったけど、どれかピックアップして読むなら『血を分けた子ども』と『恩赦』がスリリング。

    以下はいくつか作品のまとめと感想。

    ●血を分けた子ども
    テラン(人間?)が、トリクというでっかい虫みたいな生き物に、奴隷的に囲われながら暮らしいている世界の話。過去は一方的な支配だったらしいが、今は共存の道を探る一派がトリクの政権で力を持ってるらしい。とはいえ、トリクはテランの体に卵を産みつけて幼虫を孵化させないと繁殖できず、そのためにテランの体が解剖同然の大きな傷を負うことは避けられない。テランの少年がその事実を目の当たりにし、大好きなトリクの子を自分の身に宿してあげるかどうか悩む

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    2022年09月29日
  • 血を分けた子ども

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    短編集5編、エッセイ2編、新作短編2編
    表題作のゾッとするような生理的に無理と感じる宇宙人との共存、生殖。そしてそこに生じる理解と絆のようなもの。人間に似た宇宙人ではなく全く思いがけない形で現れるバトラーの宇宙生命体に驚き、そのコンタクト相互理解の不毛と少しの希望が絶望感を救ってくれた。
    SFとしてはもちろん哲学倫理として面白い。エッセイもバトラーの書くことへの決意表明のようで力強い。

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    2022年09月08日
  • 血を分けた子ども

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    ネタバレ

    過去の短編とエッセイ、新作短編をまとめた本。
    表題作はネビュラ賞、サイエンス・フィクション・クロニクル賞、ローカス賞、ヒューゴー賞を受賞した、バトラーの短編の代表作。

    エッセイ二篇はどちらも「書くこと」について書かれていて、特に『書くという激情』はプリントして持ち歩きたいぐらい沁みる。大事なのは「粘ること。」

    短編の方では新作短編のどちらも好きだけど、特に『マーサ記』がよかった。神に選ばれたマーサが、人間にひとつだけ変化を与えて「いまほど破壊的でなく、より平和で持続する生き方」をするよう、神と対話しながら考える。到達するのが「眠るたびに見る夢に現実味を持たせ、個人の希望や興味を叶える夢を見

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    2022年09月05日
  • サブリナ

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    ネタバレ


    陰謀論とパラノイアと誹謗中傷。
    グラフィックノベルにあまり親しみがないので新鮮。文字数は多く、ショッキングな場面は見せず、サブリナの遺体も見せず、真相というか匂わせやほのめかしが散見されており、ドア越しに包丁を持った緊迫する場面ですらコマ割りは小さい。遠景を撮るため、カメラの位置が少し遠くなったときに舞台の全面が垣間見える程度で、基本的には同じようなトーンの絵が続く。
    暗闇と夢の際の効果というか、描き方が秀逸。最後の部分のその効果の使い方も恐ろしく、また小気味良い。
    まだ読みきれていない部分もありますが、悲劇に投げ出された登場人物の喪失と再生を描いた、優れたグラフィックノベルでした。

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    2022年08月07日
  • サブリナ

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    これは色んな意味でヤラれる。後の時代に最もこの時代がビビッドに刻み込まれた作品として振り返られるのでは無いか。

    陰鬱な物語が時間の経過によって、少しずつ良くなっていくような希望を持つようにも読めるし、結局のところ真実を見つけることはできないと民衆を嘲笑っているようにも読めるし、それこそがサブリナにとってはハッピーエンドのようにも読めたり。シンプルなフレームと線で幾重にも読みを誘発する恐ろしい作品。

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    2022年07月29日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    短編集なので、読み飽きなくて◎
    コロナに直接的に関係する話から、そうでないものまで意外にもバリエーションがある

    疲れや緊張を和らげてくれる
    癒しのある話が多いのは、よかった

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    2022年07月08日
  • ターミナルから荒れ地へ 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学

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     軽妙洒脱にアメリカ文学を語り、紹介していく。僕は、まるでラジオDJを聞いているような感覚を覚えた。

     奇想、大陸横断、戦争文学における父性の不在や英語を母語としない者による英語による創作。テーマごとに比較や比喩を織り交ぜ、本屋の書棚から抜き取り、手にもってみたくなるように読み解かれていく。

     僕が今まで読んだ本のうち、最も良かったと思う一冊『すべての見えない光』を翻訳されたのが、本書の著者でいらっしゃる。原作の持つ面白さはもちろんだが、翻訳者の藤井光さんの翻訳があってこその感動だったんだなと、強く思った。

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    2022年05月21日
  • デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語

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    ネタバレ

    面白かった。

    ニューヨーク・タイムズマガジンが、現代のデカメロンを作ったらどうかと、作家たちに声をかけ、
    7月には特集号になったというから、驚きのスピードだ。
    ケイトリン・ローバーによる序文にこうある。
    _人生でも指折りに恐ろしい経験のさらに深く放り込まれてはきても、作家たちが芸術作品を作っているのだと分かった。略
    最良の文学作品とは読み手を遠くに連れていくだけでなく、自分たちがどこにいるのかをはっきりと理解させてくれるものなのだ_


    合わない作者ももちろんいたけれど、
    どれもこれも本当にあの2020年の春の事を書いていて、リアルだった。
    不安と、現実逃避と、希望とが入り交じって。
    短い作

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    2022年02月07日
  • サブリナ

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    エイドリアントミネからもっとキャラクターをキャラ以前の同質性に還元したフラットな絵柄。でも内面を抱えているから、複雑な感情を持った人物が棒人間の中に閉じ込められてしまった、みたいな感覚になる。そのグロさが心地いい。話はめちゃくちゃ陰謀論。ラスト1ページ目がわからない。自動販売機の「諦めないで」を信じるかどうかで話が180度変わってしまう。それっぽい感想ブログはどれもつまらなく、この作品の陰謀論を信じている側の人のブログはあり得ないぐらいスリリングで面白い。たびたび挿入される間違い探しが、そうした読みそのものを批評している。

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    2021年12月06日
  • サブリナ

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    グラフィックノベル。独特な絵のタッチと、終始静かなトーンで進む物語に(良い意味で)違和感を感じ続けた。陰謀論か…冗談みたいなことが本当に起きているのかも…まさか…と心がグラグラする終わり。好きです。

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    2025年03月31日
  • ニッケル・ボーイズ

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    今でも解決できない人権問題の歴史
    カラー、経済力、権力、人間の根源
    にある欲望や、醜い部分、人類の歴史
    が始まって以来、繰り返している。
    なんとも悲しい。

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    2021年03月23日
  • ニッケル・ボーイズ

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    小説だけれど、事実を基にしている。2011年まで運営されていた少年院が舞台。主人公は何の罪も犯していない。ただ運が悪かっただけ。世界は変わると信じている。彼が、アフリカ系アメリカ人が、理不尽のただ中で生きていくことの苦さで、胃の腑が捻り上げられるよう。それでも、言葉の力が本を閉じさせない。
    物語の仕掛けが明かされたとき、それまで主人公エルウッドに絞られていた焦点が、一気に、理不尽に傷つき生きてきた人たち皆に合っていくような気持ちになる。
    人間はいつでも醜悪になれる。忘れてはいけない。

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    2021年01月31日
  • ニッケル・ボーイズ

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    アフリカ系アメリカ人のエルウッドは、ホテルの下働きをしている祖母に育てられた。従業員たちに可愛がられ、勉強もでき、先生から黒人が無償で学ぶことのできる大学への進学を勧められる。大学へ行くためにヒッチハイクした車は盗難車だった事から、共犯者として少年院に送られてしまう。そこはニッケルスクールという名前だったが、スクールとは名ばかり、虐待のまかり通る過酷な少年院だった。

    後年、閉校になったスクールから傷だらけの白骨が掘り出された事から、当時の院生に話題が集まる。
    スクールでの悲惨な日常と、不正を外部に知らせようとするエルウッドと、大人になった院生とが交互に描かれる。はたしてエルウッドはどうなった

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    2021年01月10日
  • ニッケル・ボーイズ

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    1960年代前半、公民権運動が徐々に活性化しつつあったアメリカを舞台に、優秀な学力を持つ黒人の高校生は無実の罪で少年院に送られる。そこは管理者である白人たちが物資の横流しで儲け、少しでも反抗する黒人少年を撲殺して無かったこととする地獄であった。

    この恐ろしい筋書きは空想のものではない。フロリダに存在し、100名以上の行方不明者を出したドジャー少年院がモデルになっている。施設が老朽化のために閉鎖され、暴力の痕跡も歴史に埋もれようとしていた中、ハリケーン後の敷地清掃で27名もの正体不明の遺骨が発見されたことによって、この少年院での恐ろしい暴力の実態が明るみに出ることとなった。

    本作『ニッケル・

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    2020年12月12日
  • サブリナ

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    一回読んだだけではまだよくわからないというのが正直な感想。アメリカ郊外と今の情報社会を描いた作品でまるで米国のサスペンスドラマといった趣き。

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    2020年06月05日
  • サブリナ

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    グラフィックだからこそ、無表情で信じがたいジョークを言ったり、人間同士のお互いを探り合っているちょっとした間がものすごく絶妙でゾクゾクした。私はこの本を、たまに眺めるヒーリング系素敵図鑑くらいに思って買っちゃったんだけど、そういうんじゃない。snsで繋がる、繋がる、繋がりこそこの世の平和!という空気、終わるかもな。また繋がらない世界が戻ってくるのかも。流行はまわるっていうし。そしたらそれでもいいなあsnsってその人のこと多面的に見えないから怖い、いいところだけ見せたり悪いとこだけ見えたり勘ぐったり。まるまるっと人を観察したいなあ。

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    2020年05月24日