中篇作品は何となく中途半端な余韻が残る。でも最近の作品を読むに、短篇や中篇がこの作者にはちょうどなんだろうと思ってしまう。表題作は、作者のライフワークでもある「秋好事件」がベースになっている。冤罪ものは嫌いではないのだが、少し都合が良すぎやしないか。二十六年費やした事件をたった二日でひっくり返そうとする展開に無理がありあり。シリーズを通して感じるノスタルジックな筆致は健在だが、もう少し深みがほしかった。「電車最中」は、真相よりもその経緯が面白く読めた。しかしラストの展開がいまいち理解できない。謎解きは二の次なのか?