浦賀和宏のレビュー一覧

  • 彼女の血が溶けてゆく

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    ド派手なドラマではなく、強烈なキャラもいない。だからいっそう身近に起こりえる出来事のような気がする。

    結末が光のある方へ進む感じで終わる。
    浦賀さんが主人公のフリー記者と重なる。誠実な人柄が滲み出ている文章。

    急逝が悼まれる。
    また別の作品も読みたい。

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    2020年03月12日
  • Mの女

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    著者初読み。
    この作品も、他の作品の後ろで紹介されていたので、あらすじが気になって読んでみた。
    作家の冴子は高校時代の友人・亜美に久しぶりに連絡をもらい、定期的に食事などを重ねる仲に。
    ある時、亜美から恋人である「タケル」と言う男性を紹介される。この「タケル」が冴子の周囲で様々な行動を起こす。
    ある時は恋人を自殺に追い込み、ある時は従兄弟の妊娠中の妻を突き飛ばし、流産される。そして、冴子のところにも姿を現すようになり、冴子は独自で「タケル」とその関係者と思われるノンフィクション作家の泉堂莉菜にも疑惑の目を向ける。
    しかし、冴子が「タケル」の存在を確証した時に「タケル」が殺害され、その犯人として冴子は逮捕される。
    その後、書き手の視点は冴子から泉堂莉菜に移り、同じ事件がまた別の視点で描かれる。
    そして、それもラストにはまた視点が変わり…
    と何が真実か分からないミステリーの局地にある作品だと思うが、登場人物がみんな自分勝手で、自己的過ぎるのが、読んでて不快。読後感も悪かった。

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    2020年01月28日
  • Mの女

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    読みやすくて一気に読んだけどゾクゾクとして怖かった。オチに納得いったような…いってないような…
    他の本とリンクするって話は嫌いじゃないけど、なら発売させてからリンクさせて欲しい

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    2019年08月09日
  • カインの子どもたち

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    面白くはあったが,なんとも救いようのない結末・・・。
    あらすじ(背表紙より)
    数奇な絆を持つ女たち―時を超える真実を暴け。立石アキは死刑確定から40年以上拘置され続けている男の孫だ。祖父との血縁関係が原因で、子供の頃から人生に行きづまりを感じていた。しかし、彼女の運命は急転する。アキと同じく死刑囚の孫でジャーナリストの泉堂莉菜が、事件の新情報を手に突然接触してきたのだ。祖父らの冤罪を証明するため、「真犯人」を探し始めた二人だが―!?書き下ろし。

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    2019年03月18日
  • ifの悲劇

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    ネタバレ

    ○ 総合評価  ★★★☆☆
    〇 サプライズ ★★★☆☆
    〇 熱中度   ★★★☆☆
    〇 インパクト ★★★☆☆
    〇 キャラクター★★☆☆☆
    〇 読後感   ★★★☆☆
    〇 希少価値  ★☆☆☆☆
     「犯行直後に目撃者を殺した場合」と「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」の二つの設定に分けて「パラレルワールドを描いた作品」だと思わせることがミスディレクションになっている。
     プロローグで,「犯行直後に目撃者を殺した場合」の視点人物である花田欣也(加納豪)と編集者の間で「パラレルワールドをテーマにした小説を書きたいんです。」という会話をさせることで,自然と、この作品がパラレルワールドを書いた小説だと思わせている。
     実際は,パラレルワールドを描いているわけではなく,「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」は「犯行直後に目撃者を殺した場合」の30年後を描いている。そして,読者にパラレルワールドを描いていると誤信させるような仕掛けが随所に仕掛けられている。
     まず,プロローグの花田欣也(加納豪)と編集者の会話で「会話が重複する部分は省略するんです。」と言わせているところがポイント。これにより重複した会話が省略されていると思わせる。実際は,時代の違いが分かってしまうような読者を誤信させるために不都合な会話を省略している。登場人物の名前も誤解を生じさせるように設定。視点人物は「犯行直後に目撃者を殺した場合」では「花田欣也(加納豪)」。「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」では「加納卓也」。いずれも「加納さん」と呼ばせることで読者を誤解させる。また,加納卓也が花田欣也のマネージャーをしているという設定なので,「花田欣也の印税で生活している」など,「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」も「花田欣也(加納豪)」が視点人物だと誤信させようとしている。加納彩という名前も花田欣也(加納豪)の妹と娘の二人の名前として登場している。
     こういった仕掛けでパラレルワールドを描いていると思わせるが,話が進むにつれて違和感が出てくる。少しずつ,「犯行直後に目撃者を殺して場合」と「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」の視点人物や登場人物の描写にズレが出てくる。これをパラレルワールド特有のズレと読者に誤解させようとしているのだろう。実際,読んでいるときはそのような読み方をし,「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」のラストで混乱してしまった。
     それでは,この作品を読んで大きなサプライズを感じたかというと…それほどでもないのである。「混乱した」というのが素直な感情。何が起こっているのか分からなかったのである。この作品を読んでサプライズを感じようとすると,かなり注意深く読む必要がある。あまり注意深く読むと真相を見抜いてしまうので,適度に注意深く読まなければならない。そうすれば驚けるだろう。多くの人はさらっと読んで最後に混乱するのではないか。そういう作品である。
     混乱する原因は「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」4のラストで一気に聞いたことがない人物が登場する点にあると思う。エピローグでいろいろと明かされるがエピローグで初めて分かる情報もある。短い作品だから仕方がないのだが,短い描写で多数の情報を与えられると混乱する。「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」のラストは「加納卓也」の名前を出す程度にしておき,エピローグでもっと丁寧に説明すれば印象が変わったかもしれない。この場合は,冒頭で,さりげなく,奥津行彦と加納彩などの会話で,子どもができたら,「卓也」という名前にしたい…とか奥津行彦の子どもが「卓也」であるという伏線があれば,「あっ」と思って驚ける作品になっていたと思う。
     泡坂妻夫的というか,折原一的というか,その手の作者のような技巧の限りを尽くした作品。このような作風は好みなのだが,やや不満があるのは見せ方。一流のマジシャンは手品を知らない人でも驚けるような現象を起こすと思う。この作品は手品に詳しい人を驚かすような分かりにくい現象を起こしている手品のような作品。手品に詳しいマニアの評価が高くなりそうな作品だ。泡坂妻夫はこのような作品は書かなかったと思う。そういった意味では折原一の方に近い。★3かな。
    ○ 仕掛け
     パラレルワールドを描いた作品。パラレルワールドの描写において「会話が重複する部分は省略する」という点が叙述トリックに使われている。プロローグの花田欣也のセリフにより,パラレルワールドが描かれているように誤信させている。しかし,実際は時代が異なる。
    〇 「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」
     視点人物:花田欣也(加納豪)
     被害者1:加納彩(花田欣也(加納豪)の妹)
     被害者2:奥津行彦
     被害者3:猪澤五郎
     被害者1を殺害した犯人:羽賀琴菜
     被害者2を殺害した犯人:花田欣也(加納豪)
     被害者3を殺害した犯人:花田欣也(加納豪)
     時代:1986年
     奥津と書かれている人物→奥津行彦
    〇 「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」
     視点人物:加納卓也
     被害者1:奥津進也
     被害者2:鈴木太郎
     被害者3:花田欣也(加納豪)
     被害者1を殺害した人物:奥津卓也
     被害者2を殺害した人物:自殺
     被害者3を殺害した人物:奥津卓也
     時代:2016年
     奥津と書かれている人物→奥津新進也
    ○ 登場人物
    花田欽也(加納豪)
     ライトノベル作家。奥津行彦を殺害
    加納彩
     主人公の妹。主人公と近親相関をしていた。投身により死亡。警察は自殺として処理
    奥津行彦
     近親相関で生まれた子であり,奥津家に養子に出された。
    春子
     加納彩(妹)の会社の同僚
    羽賀琴菜
     奥津行彦の元恋人。羽賀琴菜の両親が興信所を使って奥津行彦を調べ,近親相関であることを知り,結婚を反対される。加納彩を殺害した犯人。琴菜は獄中で双子を出産する。この双子が「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」の主人公と殺害された奥津
    牧村
     興信所の調査員
    リン
     奥津育彦の母。近親相関を憎み奥津卓也と奥津進也に花田欣也(加納豪)殺害を進める。花田欣也(加納豪)殺害の事件の黒幕的存在
    西岡
     刑事。「犯行直後に目撃者を殺した場合」では中年
    和泉
     刑事。「犯行直後に目撃者を殺した場合」では若い方。「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」ではベテラン刑事として登場
    猪澤五郎
     「犯行直後に目撃者を殺した場合」で主人公が車でひき殺した人物。恐喝をしており,恐喝をするときは「鈴木某」と名乗る。
    蒼井
     Mというバーのバーテンダー
    秋津桃子
     Mというバーの常連。花田欣也(加納豪)と結婚する。
    加納卓也
     「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」の視点人物。最後に名前が明かされる。奥津行彦の子ども。双子の弟である奥津達也と花田欣也(加納豪)を殺害する。
    桑原銀次郎
     「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」に出てくるフリーランスのライター
    猪澤光蔵
     「犯行直後に目撃者を殺さなかった場合」に出てくる。週刊標榜にネタを持って行った人物
    ○ 犯行直後に目撃者を殺さなかった場合の仕掛け
    ○ 「ベテランと若手」の刑事が来ており,「和泉」という名前が出てくる。しかしベテランの方が「和泉」と分かるように描いていない。若手の方が「和泉」と誤信するように描いている。
    ○ 一人称は花田欣也(加納)ではなく,「奥津」として描かれている人物は奥津行彦の子ども。

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    2019年01月16日
  • ifの悲劇

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    2018年最後に読んだ本。設定は面白いんだけど、半分くらい読んだところでトリックがわかってしまった。伏線の置き方も、「これ伏線だよ、後で回収するよ」とばかりに書かれていて、興がさめる。その辺からトリックの本質も透けて見える。もっとさりげなく騙してほしい。

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    2019年01月01日
  • ifの悲劇

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    試みとしては面白いけれど、解決編が分かりにくい。もう一度読み直せば、なるほどここの記述かと腑に落ちるという楽しみ方ががあるのだろうけどそこまでする気は起きないな。

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    2018年11月13日
  • 頭蓋骨の中の楽園(下)

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    三件の女子大生首なし死体事件に続く例外の首なし死体と過去の小説家たちの首なし自殺。地に足を着けた物語を独立したミステリ的に楽しんでいたらシリーズ的不可思議さに突入して、脳の記憶の入れ替え実験や人為的に転生する浅倉幸恵等SF化して、裕子等シリーズキャラクターの名前も頻出したけれど把握が追い付かなかった。

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    2018年10月14日
  • 頭蓋骨の中の楽園(上)

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    小説と同名同方法の女子大生の首なし死体。被害者に好意を寄せていた僕こと穂波が妹の留美やクールな安藤直樹らと共に小説家のもとを訪れる。被害者の婚約者な刑事や二人目の被害者の同性愛の噂等も入り組んで引き込まれる。メタ的に書かれた小説家サイドがしっかり組み込まれてほっとした。清々しい風が吹き抜けるみたい。

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    2018年10月14日
  • 究極の純愛小説を、君に

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    AIに似たアルゴリズムに作中作を書かせるという発想はユニークであるものの、作中作中作まで登場して後半にならなければ全容が把握できない構成はややこしく、途中で読み進めるのがしんどくなった。
    最後まで読んでもスッキリ感には程遠く、疲れが残る作品でした。

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    2018年08月13日
  • ifの悲劇

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    主人公すら正しい答えを導き出すことが出来ず、読者のみが真実を知ることになるのかと思いながら読んでいた。パラレルで頭の中が構成されてしまったので、リニアとわかった瞬間、パニックになってしまい自分が一番真実がわからなくなってしまった。

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    2018年02月28日
  • 彼女の血が溶けてゆく

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    ネタバレ

     初めに言っておくと後味は悪い。
    序盤から中間辺りはフリーライターの男が愛した女の無罪を証明するために奔走するというありきたりな内容だが、終盤に近づくにつれてそんな単純な話ではないことを思い知らされる。そうだ、この著者の他の作品も読んだことがありその作品もこんな感じでした。
    展開としては個人的には思った通りに進んでいった印象でしたが、予想していても精神面にはグラッときますね。あと生物学・医学を多少かじっている人は入りやすいかなと感じますかね。
     著者の他の作品も読んでみようかは迷うところですかね。

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    2018年01月02日
  • ifの悲劇

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    あまり感心しない出来栄えと言いますか…特に最終章を読んでも驚くようなことはありませんでした…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

    なんかやたらと会話文が続いて、登場人物がしっちゃかめっちゃかに交錯するものですから、印象の薄い登場人物とか忘れちゃいますよ!? きちんと頭ん中で整理して読んでいかないと混乱しますねぇ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、それにしてもパラレルワールド?的な構成も組み込みつつ、きちんとミステリ作品に仕上げるんですから浦賀氏も変わったというか…初期の、思春期特有の鬱屈したアレとかはもう無くなった感がありますねぇ…。

    「記憶の果て」とか、自分は青春小説として読んでいたきらいがありますから…さようなら。

    ヽ(・ω・)/ズコー

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    2017年12月22日
  • 彼女の倖せを祈れない

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    ライターの銀次郎の同業者、青葉が殺された。青葉が特ダネを追っていたことを知った銀次郎はそのネタを探り始める。手がかりはカメラに写っていたボンデージ姿の女性。辿り着いた衝撃の真実――それは政界をも揺るがす、暴いてはいけない秘密だった。中毒性200パーセント! 思わず息が止まる、驚愕の大どんでん返しミステリ!

    【感想】

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    2017年07月27日
  • 彼女の血が溶けてゆく

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    ネタバレ

    【あらすじ】
    ライター・銀次郎は、元妻・聡美が引き起こした医療ミス事件の真相を探ることに。患者の女性は、自然と血が溶ける溶血を発症、治療の甲斐なく原因不明のまま死亡する。死因を探るうちに次々と明かされる、驚きの真実と張り巡らされた罠。はたして銀次郎は人々の深層心理に隠された真相にたどり着けるのか。ノンストップ・ミステリーの新境地。

    【感想】

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    2017年07月27日
  • ifの悲劇

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    初読の作家さんです。

    先入観という快速列車に乗せられて、違和感と混乱の残像を視界の端に感じつつ疾走。終着駅でご丁寧なアナウンスを受けている感じでした。各駅停車で始発駅まで戻る必要性を感じます。

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    2017年07月05日
  • ifの悲劇

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    ストーリーよりもトリックを重視する類のミステリである。帯に「絶対に騙される!」とあるように、一部のトリックに感づいても、人物の関係や殺人の動機等、大半の内容は推測できなかった。そのような意味で、本格ミステリとして見れば良作といえるのだろう。ただ、ストーリーやキャラクタをそれぞれ見た場合はどうか。

    論理的で話の筋は通っているが、現実的とは感じなかった。もちろん、創作物、特に本格ミステリにおいては現実性どうのでの批判はお門違いの部類に入ることはわかっている。しかし、現実性度外視のミステリは少なくとも私の好みではない。また設定上、キャラクタを深く掘り下げることはできないため、登場人物の魅力は必然的に低いものになっている。純粋にトリックを楽しむ読者諸氏にはお勧めであるが、起伏のあるストーリーとキャラクタとを求めている層には紹介しないタイプの作品である。

    私は読みやすく、起伏のある作品が好きなのだ。ストーリーあってのトリックなのだ。本作は"ifの世界"を交互に描く特殊なフォーマットであったことや、掘り下げられない複数のキャラクタの名前を覚えるのも困難であったことから、尋常でない混乱を伴う読書体験であった。一言でいえば、くたびれた。著者は私の苦手なパズルのような作品を執筆するタイプなのだろうという印象は抱いたが、一作で判断するのも早計である。今後、著者の通常のフォーマットで書かれた作品もチェックしてみようと思う。

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    2017年05月15日
  • 彼女の血が溶けてゆく

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    銀次郎は元妻・聡美が巻き込まれた医療ミス裁判の取材を引き受ける。
    いい加減なところもあり、意気地のないところもあるけれど、それでも無様な姿を晒したくないというほどにはプライドも持っている。
    行動力もあり、一見記者に向いているようにも見える。
    だが、思考回路は単純でご都合主義なところもあり、何よりも取材対象に対して妙にバカ正直な一面があって、けっして記者向きではないことがわかる。
    自分が後味の悪い思いをしたくないから公正に振る舞おうとする。
    そこに銀次郎が抱えている弱さが透けてみえるような気がしてしまう。
    人はどこまで自分勝手なのだろう。
    愛するということも、守るということも、相手の立場にたって考えられなければ意味がない。
    「愛」という免罪符をかかげて強要する行為は、どんなにそれが相手にとって有意義なものだとしても意味がない。
    同じように、「愛」を理由に自分を犠牲にする行為もまた意味がないもののような気がする。
    ただひとり、何者にも囚われない自由な精神で生きているミカの存在が救いだった。
    だから余計に最後に銀次郎がしようとしていることが、銀次郎の自己満足にしか思えなかった。
    この物語で一番身勝手だったのは、故意に人を陥れた人間であることは間違いない。
    けれど、それと同じくらいに身勝手だったのは銀次郎ではないだろうか。
    何となく釈然としないまま物語は終わってしまった。

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    2017年02月22日
  • とらわれびと

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    シリーズ4弾目。
    すっかりこのシリーズにハマって、浦賀作品ばかり読んでいる。

    今回はお腹を裂かれる殺人事件というまたまたショッキングな内容。
    一作目からここまでの繋がりが凄い。良く考えられるな。
    そして登場人物が皆おかしくなっていってる。
    まともな人は残っていないのかなー。

    今作はミステリとして読んでも割とスッキリと纏めてきているので、今までよりは読みやすいかも。
    でも少し気を抜くと混乱してしまいそう。

    よーく見てみると表紙が凄いな。

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    2016年10月31日
  • 彼女の倖せを祈れない

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    人には薦められないが、なかなか面白かった。
    最後に騙されていたと気づいたとき、一瞬頭が真っ白になった。
    ーーー
    ライターの銀次郎の同業者、青葉が殺された。青葉が特ダネを追っていたことを知った銀次郎はそのネタを探り始める。手がかりはカメラに写っていたボンデージ姿の女性。辿り着いた衝撃の真実ーーそれは政界をも揺るがす、暴いてはいけない秘密だった。読後、背筋が痺れ、頭が真っ白になること確実。思わず息が止まる、驚愕のエンタメミステリ!

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    2016年08月23日