浦賀和宏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ストーリーよりもトリックを重視する類のミステリである。帯に「絶対に騙される!」とあるように、一部のトリックに感づいても、人物の関係や殺人の動機等、大半の内容は推測できなかった。そのような意味で、本格ミステリとして見れば良作といえるのだろう。ただ、ストーリーやキャラクタをそれぞれ見た場合はどうか。
論理的で話の筋は通っているが、現実的とは感じなかった。もちろん、創作物、特に本格ミステリにおいては現実性どうのでの批判はお門違いの部類に入ることはわかっている。しかし、現実性度外視のミステリは少なくとも私の好みではない。また設定上、キャラクタを深く掘り下げることはできないため、登場人物の魅力は必然的 -
Posted by ブクログ
浦賀和宏『ifの悲劇』角川文庫。
実験小説のようなパラレルワールドミステリー。そして、週刊標榜のライター・桑原銀次郎シリーズでもあった。奇をてらった感が強く、現実味が感じ取れなかった点で小説としては失敗だと思った。しかし、ミステリーとしてはそれなりの面白さはある。
北海道に住む小説家の加納豪が溺愛する妹の彩は婚約者の奥津の浮気を知り、自殺する。妹を死へ向かわせた奥津への復讐を誓った加納は奥津を殺害するも、遺体を車で運ぶ途中に交通事故を起こす。交通事故をきっかけに殺人が露呈した場合としなかった場合の二つの場合が交互に描かれ、やがて二つのストーリーは交わり、衝撃に真実が明らかになる。 -
Posted by ブクログ
銀次郎は元妻・聡美が巻き込まれた医療ミス裁判の取材を引き受ける。
いい加減なところもあり、意気地のないところもあるけれど、それでも無様な姿を晒したくないというほどにはプライドも持っている。
行動力もあり、一見記者に向いているようにも見える。
だが、思考回路は単純でご都合主義なところもあり、何よりも取材対象に対して妙にバカ正直な一面があって、けっして記者向きではないことがわかる。
自分が後味の悪い思いをしたくないから公正に振る舞おうとする。
そこに銀次郎が抱えている弱さが透けてみえるような気がしてしまう。
人はどこまで自分勝手なのだろう。
愛するということも、守るということも、相手の立場にたって