原田宗典のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界各国の街角で体験する、少し不思議でとても温かいお話が盛り込まれた短篇集。変なお土産の話もてんこもり。本書は「春夏」。他に「秋冬」もあります。あなたは異国の街で一人過ごすとき、不意に訪れる奇妙な感情に苛まれたことはありますか?今にも自分が消えてしまいそうな、希薄なのに心をぐるぐるかき回すような感情。このまま自分が消えてしまっても誰にも気づかれず明日からまた何事もなく世界は回るかもしれない、予感と不安。そんな不安定なときには、少しぐらい不思議なことが起こってもあなたは気づかないのかもしれません。そんな"旅"にまつわる不思議をほんの見開き2ページにまとめた、小さな夢の話。読ん
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Posted by ブクログ
p121? 決断にあたっては、くよくよ悩むことはなかった。世間知らずの青二才だったせいもあるだろうが、三十秒で肚をくくることができた。同時に、これからは小説を書くということが自分自身にとって唯一の支えになっていくだろう、という予感があった。
事実、ぼくは大学二年生の晩夏から後の重苦しい七、八年間を、小説を書くのだというただ一つの大義名分によって支え続けた。原稿用紙の中だけが、ぼくにとっての唯一の逃げ場であり、希望でもあった。他にどこへ逃げることもできなかったし、ささやかな希望を抱くこともできなかったのである? 原田宗則も7年とか8年かかったんだあって。私もそれぐらいの期間を見越して頑張ろう