野村美月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ家庭環境、いじめ、引きこもる不幸な少女。
少女を閉ざされた空想の世界からつれ出すために、少年は孤独な戦いを繰り広げる。
少女漫画のようなべたべたな展開に少々ついていけない部分も感じながら読み進めました。
雨の公園や遊園地など、このシリーズでは一貫して可憐なシチュエーションを演出していくのかもしれません。
雨の似合う可憐な物語……といいたいけれど
ミステリ仕立てで怨霊なんかも出てくるから、
綺麗という前に全体的な印象が暗いです。
バックに幽霊がいるせいか解決の仕方も強引な気もする。
少女の恋の相手など、前作からは展開が変わってきましたね。
学校での悪霊騒ぎというのは文学少女で慣れてしまった -
Posted by ブクログ
ネタバレ本文354ページより引用
「おっ、ビッグバーガーの割引キャンペーンやってるな、食ってくか?悠人」
「さっきチョコパフェをたべたばかりだよ、お父さん」
「あれは、おやつ。こっちは夕めし」
「ゆうごはんは、おうちでたべるよていだから、だめ」
「子供が、かたいこと言うなよ!麻貴は、ファーストフードなんか食わせてくれないだろ。父さんが庶民の味を教えてやる」
「お父さん、いつしゅうしょくするのって、しつもんに、まだ答えてもらってません」
「だーーーーーっ、それ、小学生がする質問じゃねーって」
七月の土曜日。
ハンバーガーショップの前で、小さな男の子にやりこめられている流くんを、わたしは茫然と見てい -
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Posted by ブクログ
“わたしが不安を感じている間も、瞳ちゃんの目に浮かぶ憎しみは、手のつけようがないほどふくれ上がってゆく。ひりひりした空気が瞳ちゃんを包み、顔が苦痛にゆがみ、呼吸も荒くなる。
「櫂を裏切った相手を、あたしは絶対許さないっ!」
吐き出された言葉は、熱い渦のようだった。
瞳ちゃんが、こんなに激しい目つきをするなんて!こんなに憎しみをあらわにするなんて!わたしの体も渦に投げ込まれ、真っ赤な炎に炙られたみたいだった。息もできないほどに、鼓動が高まる。
瞳ちゃんが憎んでいるのは、先生?
忍成先生が、『こころ』の先生みたいに、櫂くんを裏切ったから?だから許せないと言っているの?
胸が灼けた鏃で、ぐちゃぐちゃ -
Posted by ブクログ
“「……あたし、彼氏なんていらない」
「中二でその発言は寂しいよ、舞花」
「だって、あたしだけ彼氏作ったら、お兄ちゃん、世話をしてくれる人がいなくなって可哀想だもの」
「同情してくれてありがとう」
お兄ちゃんがあたしを抱き寄せて、髪を撫でてくれる。
「お兄ちゃんに彼女ができるまで、あたしも彼氏なんか作らない」
どうして大西の顔が頭に浮かぶのか。わからなかった。
それに、どうして胸が酸っぱくなるのかも。
こんなに近くにお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんの香りを吸い込んでいるのに。
胸が、酸っぱい。
「うん……じゃあ舞花に彼氏ができるまで、お世話になろうかな」
お兄ちゃんが優しくつぶやく。
ずっとずっと -
Posted by ブクログ
“「怪物なんて、いない。人が怪物になるんじゃないか」
わたしを見つめる瞳は黒い翳りを帯びている。そこに胸を刺すような、痛みが浮かんでゆく。
「……もしかしたら、ぼくも怪物かもしれないよ」
一瞬、部屋の中がシンと冷たくなった。
怪物?
心葉先輩が?
窓の外は、赤と黒が混じりあったような暗い夕暮れの色に沈んでいた。それがだんだんと夜の闇の色に変化してゆく。人が怪物に変わってもおかしくないような、怪しい風景で……音楽室に二人きりで……。
わたしは夕日のように、ぽっと赤くなった。
「それって、わたしを襲いたくなっちゃったとかですか?大胆すぎです」
心葉先輩が、「へ?」と目をむく。
わたしは両手を頬にあ -
Posted by ブクログ
“「……心葉くん、今、どこを見てた」
「……えーと」
正直に答えたら、殴られるだろうか。
けど、遠子先輩は正直に答えなさいというように、上目遣いに睨んでいる。
「関東平野のような洗濯板です」
とたんに、ペットボトルが飛んできた。
「なによそれーっ!わたしの胸が、洗濯板で関東平野だって言うのーっ!」
水が、ばしゃりと降りかかる。
「うぅっ、ひどい!ひどいわ!わたしだって好きで洗濯板なんじゃ」
涙目の遠子先輩がさらにげんこつを振り上げたとき、部室のドアが、勢いよく開いた。”
牛園君の話と小鹿ちゃんの話が特によかった。
最後のちぃ視点の話とか素敵で、思わず泣いた。
ちぃと流人には幸せになってほしい